せっかくの4連休だというのに

将棋のA級順位戦最終局のBS中継は

今年はNHKではなくスカパー!になってしまった

それを知ったのは当日のことだった。

うちはケーブルTVなので、

スカパー!にダブって加入するわけにはいかない。

もっとも、ニコ生を観ればよかっただけだが

それに気がついたときにはすでに満員、というのは

いつものこと。

ただ、今年はそれほどのドラマも起こらず。

挑戦はスンナリと羽生三冠、

降級候補は全員敗れ、下から二人が降級と。

ただしこの1年、私自身あまり

NHK以外の将棋を観てなかったせいもあり、

そこまでのめり込めなかったということもある。

月額加入の名人戦サイトも、

今回を含め数えるほどしか観なかった。

 

1日(=映画の日)ということもあり

昼間は映画を観に行った。

岩波ホールの『八月の鯨』。

初めて公開されたときに観ておらず、

高野悦子さんの訃報に接して、

これは観なければと思った。

奇しくも亡くなったのは、

ホールの創立記念日だったという。

一番後ろの左右に1人だけ座れる席があり、

左の方に座る。

1人でも映画を楽しんでいいのだ、という

粋な計らいに感じる。

 

 

 

 

 

 

 

あえて何の予備知識もなく観たが、

この映画の場合、

映画についての予備知識でなく、

ハリウッド映画全体についての予備知識、

往年の名作を観倒すことが

最大のハードルとなっている。

従って私には、

淀川長治氏のように感涙にむせぶことはできない。

一時期、グリフィスの『イントレランス』が

ブームになった際に、

リリアン・ギッシュの名前ぐらいは記憶したけれど

てっきり姉妹役のお姉さんだと

最後まで思っていたほどだ。

 

それでも

各役者の抜群の存在感は、

スクリーンを通してひしひしと伝わってきた。

結局最後まで、事件らしい事件は

ほとんど全く起こらないにもかかわらず、

退屈しないどころか、画面に引き込まれる。

演技を超越した、『名人伝』いうところの

「不射之射」もかくや。

 

鯨もとうとう現れなかったが、

妹が鯨はもう行ってしまったわ、と言うのに対し、

姉が「そうとも限らないわ」

と言うラストが、心に焼き付いて離れない。

人生、最後の最後まで希望を失ってはいけない、

というメッセージが、しかし

そんな野暮ったい話でなくさらりと言われるのが、

何とも沁みる。

 

 

 

岩波ホールの映画は、

それこそ十数年ぶりに観たけれど

学部時代に中国語の先生の薦めで

『芙蓉鎮』を観たのを始め、

もっといくつか観たつもりでいたが、

パンフの上映リストを見ると

どうもあとは『宋家の三姉妹』だけらしく、

わずかに他の館で

『旅芸人の記録』を観ただけのようだ。

それだけ

他の館とは違うインパクトを与えてくれてるのと、

神保町にしょっちゅう足を運んでいるので

前を通るだけで

観たつもりになっていたのかも。