ニキビにも種類があり、またその症状も軽いものから重いものまであります。
ご自身の悩みについて冷静に捉える意味でも、ニキビについての正しい知識に触れることにしましょう。
まず、ニキビができる場所ですが、これは皆さんもご存じのように、毛穴のなかということになります。
脂性肌(オイリースキン)の方は、男性ホルモンの増加や体質によって皮脂腺の働きが活発になり、分泌される皮脂が多くなってしまいます。
この皮脂が、毛穴からきれいに排出されれば問題はないのですが、洗顔の不足や化粧をすることで、皮脂やアカなどが毛穴に押し込まれ、毛穴が詰まる状態になってしまうとニキビになるのです。
この毛穴が詰まる状態を、毛穴が角化しているともいいます。
この状態は、専門用語でコメド(面皰)といいますが、一般的には黒ニキビや白ニキビと呼ばれています。
毛穴が開いて詰まった皮脂やアカが来る組み合わせ見えるのが黒ニキビで、毛穴が閉じて盛り上がって白く見えるのが白ニキビです。
こうした黒ニキビや白ニキビをそのままにしておくと、詰まった皮脂やアカに桿菌が増殖して炎症を引き起こします。
これが赤く腫れたような赤ニキビの状態です。
この赤ニキビを放置しておくと炎症がひどくなって、周囲の組織にまで炎症が広がることもあります。
また、赤みが気になって潰すと、組織が傷ついてしまいます。
炎症や潰した跡がケロイド(火傷跡のような状態)のようになったり、クレーター(夏ミカンの皮のようなくぼみ)になってしまうと大変です。
このように、ひと口にニキビ治療といっても、ニキビができはじめている段階と黒ニキビや白ニキビ、赤ニキビの段階、そして赤いニキビ跡の段階、さらにケロイドやクレーターになった段階など、それぞれに合った治療が必要になってくるのです。
しかも現在、ニキビで悩んでいる方は、この各段階が同時進行しているのではないでしょうか。
ニキビには総合的な治療が必要だと述べたのは、こうした理由によるものなのです。
最初に、黒ニキビ、白ニキビの段階と、赤ニキビの段階とを分けて考えます。
黒ニキビ、白ニキビを治療するには、毛穴に詰まっている皮脂やアカを取り除いて通常の状態に戻すことと、新たに黒ニキビ、白ニキビができないように、皮脂の分泌を抑えて毛穴が詰まらないようにしなければなりません。
また、アクネ桿菌が増殖して炎症を起こし、ケロイドやクレーターなどのニキビ跡の原因となる赤ニキビにならないように注意します。
そのために必要なことは、お肌のコンディションをニキビ肌ともいわれる脂性肌(オイリースキン)から健康な肌に改善することが肝心です。
脂性肌が改善されれば、毛穴に皮脂やアカが溜まりにくくなります。
それとともに詰まった毛穴のフタになっている角栓を取り除く必要もあります。
こうしておけば、毛穴から皮脂やアカ(いわゆるニキビの芯)が排出されます。
黒ニキビ、白ニキビが炎症を起こさないようにするためには、先に述べたことと、アクネ桿菌の殺菌が重要なことになります。
赤ニキビの治療も、アクネ桿菌の殺菌と角栓を取り除いて、皮脂やアカを毛穴から排出することが最優先されます。
以上のことを整理すると、現在行われているニキビの治療は、
・皮脂肌を改善して、皮脂が過剰分泌しないようにする
・毛穴が詰まらないように、角栓を除去する
・毛穴のなかから、皮脂やアカを排出する
・黒ニキビ、白ニキビが赤ニキビにならないように、赤ニキビは炎症が治まるようにアクネ桿菌を殺菌する
といったことが必要になります。
ニキビの悩みは、四つの条件を満たす治療法があれば解決できます。
そして、その条件を満たす治療法のなかで、もっともシンプルなものが、美肌レーザーとニキビ・アクネスレーザーとの組み合わせ治療なのです。
美肌レーザーは、シワやタルミ、シミ、ソバカス、クスミ、アザなどを改善するだけでなく、肌質改善やお肌のコンディションを整える効果や開いた毛穴を引き締める効果があります。
また、ニキビ・アクネスレーザーは、塗り薬やレーザー・ピーリングでもなかなか治らなかったニキビに、高い効果を発揮する治療器です。
それもそのはずで、ニキビ・アクネスレーザーはアクネ桿菌の殺菌にもっとも効果があり、しかも身体には無害の光線を照射できるよう研究・開発されたものだからです。
さらに、ニキビ・アクネスレーザーは、レーザー・ピーリングや塗り薬と比べて、短期間でアクネ桿菌を殺菌することができます。
このように、美肌レーザーとニキビ・アクネスレーザーの組み合わせ治療は、ニキビで悩んでいる方にとっては非常に有効なのです。
次に、基本的なニキビ治療である美肌レーザーとニキビ・アクネスレーザーのニキビ退治効果を、さらに高めるためのプラスアルファの治療について説明しましょう。
まず、美肌・アクネスレーザーという美肌レーザーとニキビ・アクネスレーザーとの組み合わせ治療と同じような効果を持つ治療器があります。
ニキビ体質の方には、ニキビができやすい部位がある程度決まっていることがあり、そうした部位に追加治療としてこの美肌・アクネスレーザーを使用するのです。
美肌レーザーとニキビ・アクネスレーザーの組み合わせ治療のほうが効果は高いのですが、手軽な治療を希望される方には、美肌・アクネスレーザーをお勧めすることがあります。
高濃度のローションや誘導体、イオン導入機という、より吸収効率の高い治療法が登場してから、ビタミンCを含有した塗り薬がにわかに脚光を浴びるようになりました。
こうしたアイテムは、小ジワ解消や美白効果だけでなく、抗酸化作用や殺菌作用などもあり、ニキビ治療への効果も認められています。
わたしたちのクリニックでは、美肌レーザーとニキビ・アクネスレーザーの組み合わせ治療を基本として、オプションに美肌・アクネスレーザー、高濃度ビタミンCや誘導体のイオン導入などを加えてニキビの徹底治療を行っています。
これまで、あまりにも多くの治療法を説明しましたから、読者のなかには、「この全部の治療をしなければいけないの?」という疑問を抱かれる方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、実際にはそうではなく、美肌レーザーだけで十分満足されている方、ニキビ・アクネスレーザーだけできれいにニキビを改善された方、過去には、レーザー・ピーリングの治療だけを継続的に行って、効果を上げた方もいらっしゃいます。
その一方で、基本の組み合わせ治療に、いくつかのオプション治療を追加して、ようやくニキビが完治した方もいらっしゃいます。
当然のことですが、症状や体質、肌質によって、治療内容や治療回数は違ってくるのです。そのため、最初に診察や検査をした後で、患者さまの希望や都合を反映させた個別の治療プログラムを作成しています。
治療期間中、経過の観察結果によっては、そのプログラムを修正することもあるのです。
こうした手間のかかる治療計画を立てていくのは、ニキビはきちんと正しい治療をしなければ、すぐにまた症状が戻ってしまう可能性が高い皮膚の病気だからこそです。
また、ニキビが治ってもニキビで炎症を起こした皮膚が赤くなってしまったり、ニキビ跡が残っていることがあります。
ニキビの総合的な徹底治療というからには、こうしたニキビの炎症の跡や、皮膚に残った跡も改善する治療法を用意しています。
まず、美肌レーザーですが、進行中のニキビだけでなく、ニキビの炎症で皮膚に残った赤みやデコボコの跡にもある程度の効果を発揮します。
赤みが残ったニキビの炎症の跡は、赤アザや赤ら顔の治療に用いる赤アザ・赤ら顔・血管収縮レーザーがぴったりと適応します。
赤アザ・赤ら顔・血管収縮レーザーは、皮膚の赤みを取る効果が抜きん出ており、赤いニキビ跡だけでなく、赤ニキビの改善にも効果があります。
デコボコになった皮膚の改善は、従来は治すことができないとされていましたが、若返り用の医療レーザーを使うことで、かなりの改善効果が得られるようになってきました。
デコボコの皮膚に対して、もっとも大きな効果が期待できるのは肌質改善レーザーやシワ・タルミ取りレーザー、美白レーザーの治療で、痛んだ皮膚の表面を改善しながら、真皮層のコラーゲンやエラスチンの産出を促して、スキン・テクスチャーを改善していきます。
肌質改善レーザーやシワ・タルミ取りレーザー、美白レーザーでの治療は、痛みやダウンタイムが最小限に抑えられていながら、高いスキン・テクスチャーの改善効果が得られるのです。