皆さんは「はぐれ猿」 という言葉を知っているでしょうか?


たまに、山の中から一匹だけで町中に降りてきてニュースになっていたりします。


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http://www.sankei.com/west/news/140508/wst1405080009-n1.html



実は、このはぐれ猿という存在は、

子供の自立や、親の子離れを理解する上で非常に参考になります。



私が購読している西山茂さんという方のメルマガに、こんな説明が書いてありました。

いくらか加筆しています。




猿はもともと群れで生活をしていますが、成長して青年になったオス猿は群れを追放されます。

成長して男性ホルモンが充実してくると、若いオス猿は発情してトラブルを起こすためです。


追放されたオス猿は一人猿とか、はぐれ猿とか呼ばれ、苦難の旅を強いられます。

その厳しい試練を乗り越えたオス猿だけが群れに戻り、ボス猿と対決する資格を得ます。

苦難の旅の途中で得た経験と知識が、群れの存続と発展に役立つ仕組みになっています。



しかし若いオス猿にとって、死ぬかもしれないひとり旅に出ることは嫌なことです。

それをさせるために、猿の本能は群れのメンバーといさかいを起こすようなホルモンの嵐を若い猿の体に起こすのです。


これは人間にも残っていて、思春期の反抗はこの名残りです。

また若い雌猿もこの時期、危険な行動に駆り立てられる衝動があります。

若い女性がジェットコースターが好きなのは、この衝動のせいなのです。

とにかく、これは冒険の旅への誘いです。


人間にもそのような本能が残っていますが、日本ではどこへも行く力がないという閉塞感を持った若者が増えています。

そういう自己否定の気持ちを持った若者は、冒険の旅に出る勇気がありません。

そうなると生まれ育った町で閉塞感を持ちながら、暴力的な衝動を抱えて生きていくことになります。


凶悪な事件の背景には、このような「自己否定」による「閉塞感」が大きな陰として存在しているのに気付いている人も少なくないでしょう。



ヒトという動物の成長過程においては、反抗期から自立するというのが自然な順序です。

しかし、日本社会・資本主義経済はそうやすやすと自立をさせてはくれなかったり、

あるいは、しなくても生きていくには問題のないような環境に恵まれているのかもしれません。



とはいえ、生物とは環境の変化に対応することで生き延びてきた複雑な有機物です。

ありとあらゆる環境の変化は、生物にとって身体的変化を引き起こします。


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環境が悪化すると、遺伝子が発動して肉体が変化する動物の本能


蝗害を起こすバッタを飛蝗、トビバッタ、ワタリバッタ(英語では「locust」)という。

また、飛蝗の群生行動を飛蝗現象と呼ぶ。
飛蝗現象下にあるワタリバッタの群れが航空機の飛行を妨げる場合すらある。

群生行動をしているバッタは、水稲や畑作作物などに限らず、全ての草本類(紙や綿などの植物由来の製品にまで被害が及ぶ)を短時間のうちに食べ尽くしてしまう。

当然、被害地域の食糧生産はできなくなるため、住民の間に食糧不足や飢饉をもたらす事が多い。また、大発生したバッタは大量の卵を産むため、数年連続して発生するのが特徴。


バッタは蝗害を起こす前に、普段の「孤独相」と呼ばれる体(普通のバッタのこと)から、「群生相」と呼ばれる移動に適した体に変化する。

これを相変異と呼ぶ。

群生相の孤独相に対する外見上の特徴は、
孤独相に比べて暗色になる。
翅が長くなる。
足が短くなる。
頭幅が大きくなる。
胸部の上が孤独相は膨らんでいるのに対し、群生相はへこんでいる。
(電子顕微鏡で見ると)触角の感覚子の数が減少している。

群生相、孤独相はそれぞれ生まれつきのものである。

ただし両親の遺伝子の組み合わせによるものではなく、親が暮らした集団の密度によるものであり、それも親がフェロモンのような分泌液の刺激を受けたわけではなく、別の個体との接触が主な原因と言われている。

つまり親が暮らす集団の密度が増えすぎると、これは群れの環境が悪化していると「バッタの本能」が発動して、すべてを食い尽くすバッタに変化させるのです。

すなわち、群れのリセットです。


猫にも似たような本能があります。

生まれてすぐの子猫を人間が見ると、親猫は子猫を食い殺すことがあります。

人間に見られるということは、子猫を育てる環境にないと本能が判断するためです。

人間にも、猿の本能があります。

環境が悪化していると感じられたとき、若い猿たちに冒険の旅に多くでるよう促すために、猿の特定遺伝子を発動させるのです。

この遺伝子が発動すると、集団行動を嫌悪する、あるいは集団行動ができにくい性格になってしまいます。

最近、自閉症などが特定遺伝子の発動によるものだという研究結果が報告されています。

「自閉症やアスペルガー症候群など対人関係を築くのが苦手な自閉スペクトラム症の多くは、胎児の神経の発達に関わる特定の遺伝子の異常が原因となっているとする研究成果を九州大学の研究グループが発表しました。

自閉スペクトラム症の根本的な治療法の開発につながるのではないかと注目されます。

九州大学の中山敬一主幹教授らのグループは、自閉スペクトラム症の患者の多くに胎児の段階で神経の発達に関わる「CHD8」という遺伝子の異常があることに注目し、

この遺伝子に異常があるマウスを作り出したところ、仲間のマウスとのコミュニケーションの時間が短くなるなど自閉スペクトラム症に特徴的な症状が再現出来たということです。

そしてマウスの脳の中を詳しく調べたところ「CHD8」に異常があることでREST(レスト)と呼ばれるたんぱく質が過剰に働き、その結果、神経の発達が遅れていることがわかったということです」





説明が長くなりましたが、結論です。

自閉症は遺伝子的にヒトに備わった生存機能の一つであり、

子供の環境が合わないことでと発症する可能性があります。


現代の日本は、社会に合わない症状を自閉症と読んでいるだけにすぎません。


「病気」扱いして病院の中に閉じ込めることではなく、

より良い環境を作ってあげることが大人のするべき対応ではないかと思います。