デザインと付加価値の関係1 | Cleat からのメッセージ

デザインと付加価値の関係1

以前、付加価値の話をしました。
スターバックスのカップを例にとり、飲み口とブランドマークについてそれぞれの付加価値を説明したものです。
今回は、昔を振り返るシリーズで、もう一度この「付加価値」をお話したいと思います。

付加価値という言葉はコモディティーという言葉とセットにした方が、うまく説明できることに遅まきながら最近気づきました。コモディティーとは「日用品」を意味しており、経済の世界では一般的に価格競争に巻き込まれていて、高い収益を上げられない商材を指してこの言葉を使います。

辞書で見るとコモディティー自体には「日用品、便利なもの」といった表記しかなく、語源に遡っても「価値が低いもの」という言葉は見当たりませんが、エンジニアリングプラスティックをコモディティープラスティックというように、企画大量生産品で「薄利多売品」の代名詞から来たのかもしれません。(無知な私の勝手な想像です)

そこでコモディティーとデザインを組み合わせるとこんな言い方になりますね
「薄型テレビは既にコモディティー化が進んでいるため、当社はよりデザイン性を高めることでお客様に付加価値を提供しようと考えています」

この例文は、技術と価格で戦えなくなった会社を経営する者が、デザインをさも付加価値であるかのように語る危険なフレーズなのですが、それが未だに平気でまかり通っているから恐ろしいのです

今日もし経営者が「デザインが当社の付加価値である」と言う時は、その裏にその企業の個性ある顧客視点の継続的活動が無ければ言えないのだと私は思うのです

以前はデザインを施すこと自体が企業の個性である時代が確かにありました。それはデザインというものに対する知識がまだ蓄積されておらず、その扱い方を多くの企業が知らなかったからです

つまりデザインを製品に施すことが難しく、できる人が少なかった時はそれが付加価値だったのです。

(以下次号)