伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』 | 文学どうでしょう

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陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)/伊坂 幸太郎

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伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』(祥伝社文庫)を読みました。

これもなかなかに面白いです。なにより、キャラクターがすごくいいんです。相手が嘘をついているかどうかが分かる成瀬、ぺらぺらと喋る響野、すご腕のスリの久遠、何秒経ったかをずっと自然に数えている雪子。

この4人は銀行強盗のプロなんです。そしていつものように銀行を襲って、帰ってくる途中で事故にあう。正確に言うと事故にあいそうになるんですが、相手の集団に車を奪われてしまうんですね。盗んだ金も一緒に。

どうやら、その相手というのが、最近流行の現金輸送車強盗の犯人らしいんです。久遠がいつの間にかスっていた相手の一人の財布から、運転免許証が出て来ます。

とりあえずその住所に行ってみようということで、その運転免許証に書かれている家に行くと、思いがけぬことが起こっていて・・・。というお話です。

ストーリーもオチも面白いクライム・サスペンスものなんですが、何よりキャラクターがいいんですよねえ。クールな成瀬もいいんですが、響野のうさんくささがたまりません(笑)。

叙述の形式というか、章立てがちょっと特殊で読みづらかったりもしますが、慣れてくると、ぐいぐい読んでいけます。

あとちょっと一言、言わせてください。ぼくは滅多に、「物申す!」的なことは言わない人間ですが、映画化のオチはひどすぎます。

小説版で十分素晴らしい出来なのに、あえて改変というか改悪する意味が分かりません。しかもそれが古い映画のオチのパクりなんですよね。あれはよくないです。

まあそれだけです。続編のようなものも近いうちに読んでみますね。