ALONE TOGETHER (双葉文庫)/本多 孝好
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本多孝好『ALONE TOGETHER』(双葉文庫)を読みました。
当時、『MISSING』で衝撃を受けて、続けて読んだのが、この『ALONE TOGETHER』です。
長編ということで期待していたのですが、すごく村上春樹っぽさを感じたのを覚えています。
いま読み返しても、その印象は間違っていなかったと思うのですが、分析すると、ぼくの感じた村上春樹っぽさというのは、次の2点です。
(1)主人公が常に受け身で、ぼんやりしているわりには、なんだかんだいってできるやつなこと。
(2) 会話のユニークさ。特に、皮肉や妙なたとえで相手のセリフに応対するところ。
まあその辺り、どう感じるかは、みなさんにおまかせします。
簡単にあらすじを紹介しましょう。
〈僕〉は大学を辞めて、フリースクールみたいなところで働いています。恋人らしき女性もいます。しかし両親の死など、抱えているものがあるせいか、どこか心を閉ざしている感じです。
ある時、大学時代の教授に、1人の少女のことを調べて、見守るよう頼まれます。その医学部の教授は、担当患者だったその少女の母親を、故意に殺した疑いがもたれているんです。事件に隠された真相とは・・・? というお話です。
〈僕〉には不思議な能力があって、相手と波長をあわせることができるんです。ちょっと説明が難しいですが、スピリチュアルな感じですね。
そうして、少女との関わりや、フリースクールでの出来事、恋人との関係など、様々なものが描かれます。やがて、様々な真実が明らかになっていきます。
やはり重要なのは主人公の能力のことで、それがいい能力としてではなく、「呪い」の要素として描かれていることは、注目に値します。
そこの部分で色々考えさせられるわけですが、ぼくはなかなか主人公に共感できず、深い感動はなかったです。ミステリ要素はなかなか面白いと思いますけども。
続いては、『正義のミカタ』を紹介します。