A.A.ミルン『クマのプーさん』 | 文学どうでしょう

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立宮翔太の読書ブログです。
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クマのプーさん (岩波少年文庫 (008))/A.A.ミルン

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A.A.ミルン『クマのプーさん』(岩波少年文庫)を読みました。


※ 阿川佐和子訳の新訳版『ウィニー・ザ・プー』で読み直しました。そちらの記事の方が新しいです。(2014.7.25)

→阿川佐和子訳『ウィニー・ザ・プー』(新潮モダン・クラシックス)

ムーミン読んでいる時に、ふとまた読みたくなって読んでみました。みなさんご存じでしょうか、クマのプーさん。ディズニーのアニメで知ってるよー、という方も、もしかしたら原作は読んだことがないかもしれませんね。

実は、ぼくはほとんどアニメは見てないんですよ。なので、あまり比較はできませんが、多分、原作はアニメよりもシュールな感じですね。つまり、ぼくが好きな笑いの感じです。面白いこと面白いこと。

プーさんの登場の場面からして傑作ですよ。表紙の挿絵を見つつ読んでみてください。引用してみます。書き出しの部分です。

 そうら、クマくんが、二階からおりてきますよ。バタン・バタン、バタン・バタン、頭を階段にぶつけながら、クリストファー・ロビンのあとについてね。(15ページ)


プ、プー!! かわいそすぎる!!

でも、大丈夫なんです。プーさんは、実は人形なんです。知ってましたか? プーも、プーの仲間たちも、クリストファー・ロビンの持っている人形なんですよ。

つまり、お父さんが息子に、息子の持っている人形の話を作って、その話をしてあげている、ということなんです。そこが完全なファンタジーと違うところです。プーさんの住んでいる世界があるわけではなくて、あくまで空想の話だと。

そのせいか、プーさんや登場人物は、クリストファー・ロビン以上の頭脳の持ち主はいないんです。ほとんど誰も字すら読めない。

「ばっかなクマのやつ!」(56ページ)とかなんとかばか扱いされているプーさんですが、プーさんだけでなく、みんなどことなくおかしいです(笑)。

色々好きな場面があるので、いくつかあげてみます。プーさんがウサギのところへ遊びに行って、穴の中でおなかいっぱいになるまで食べるんですよ。

おなかパンパンだから、穴から出るときに、はさまって、出られなくなる。プーさんまるでジョン太夫みたい(ジョン太夫が誰か分からない人は気にしないでいいです)。

謎の足跡をおいかけて、ひたすら木の周りをぐるぐる回ったり。謎の足跡て!

ゾゾをつかまえる話もよかったしなあ。ゾゾをつかまえるにいたる、プーとコブタのやり取りも傑作ですが、なによりプーの行動ですね。

ゾゾを捕まえる罠のためにハチミツ取りに行くんですが・・・、というあれですが、その後、なんであそこにまた行くんだっていうね。さっきお前あれしちゃったろ、と。

あ~あ、だからそうなると思ったよ、やれやれ、的なね。読んでない人には何がなんだか分からないでしょう。すみませんねどうも。気になった方は、ぜひぜひ本編を。

あっ、イーヨーの誕生会もよかったですね。プーさんは、ハチミツ入りの壺を、コブタは風船を持って行くんです。

ところが、イーヨーのところにたどり着くまでに色々あって・・・という話です。ここが一番好きですかね。とくにコブタ。コブタの考え方、笑えます。なぜに世界がと思うのかっていうね。

まあ、そんなこんなで、全然分からなかったでしょう? 紹介しきれないんです。ともかく、『くまのプーさん』はおすすめですよ。シュールで面白いです。

児童文学に興味のある方も、そうでない方も、ぜひぜひ。近い内に続編も読んでみます。