あなたは「育児をしない男を、父とは呼ばない」という厚生省(当時)のCMを覚えていますか?
ダンサーのSAMさんが、ご自身の子どもを抱えあげている姿が、話題となりました。
あのCMが作成されたのは1999年。
それから9年が経ちましたが、「父」と呼べる「男」は増えているのでしょうか?
人事院は、2006年度に子どもが生まれた国家公務員の29.8%(2,301人)が、同年度に育児休暇を利用していたという調査結果をまとめました。
政府は2005年から、男性公務員を対象に、出産に係る子または小学校就学前までの子を養育するために、最大で5日間取得できる育児休暇を創設しています。
また、育児のために、早出遅出勤務(育児を行うため1日の勤務時間の長さを変えることなく、始業・就業の時刻を繰り上げまたは繰り下げて勤務することができる制度)を行った男性は、465人にのぼりました。
では民間企業はどのような状況でしょうか。
「平成18年度女性雇用管理基本調査」によると、育児休暇取得の割合は、女性については、301人以上規模企業は94.1%、30~300人規模企業は80.2%でした。
一方で男性の取得率は30~300人規模企業が0.80%、301人以上規模企業は0.43%となっており、250人に1~2人程度がようやく取得している状況です。
これでも3年前の前回調査では、301人以上規模企業は0.13%でしたので、約3倍の増加となっています。
一方で男性の育児休暇取得を推進している企業もあります。
2007年の「にっけい子育て支援大賞」では、こうした企業が大賞を受賞しています。
帝人グループ様では、累計で43名が取得、国内企業ではトップクラスです。
株式会社東芝様では2007年9月までに17人が、中小企業として初めての受賞となった株式会社サタケ様では、2006年1月に第1号が出てから、これまでに10人が取得しています。
それでは男性は育児に関わりたくないのでしょうか?
そんなことはありません。
関わりたいのに関われない現状があります。
こども未来財団が実施した「子育てに関する意識」調査では、子育てにおける夫婦役割分担の「期待」と「実態」を尋ねています。
これによると、子育て分担は、「夫4:妻6」を「期待」する男女が最も多く、男性35.4%、女性40.0%を占めています。次に多かったのは「夫3:妻7」で、男性の26.8%、女性の32.0%、「夫5:妻5」も男性の17.3%、女性の19.4%が望んでいます。
しかし「実態」で一番多いのは「夫2:妻8」で、男性の31.2%、女性の29.3%。「夫4:妻6」は男性の9.6%、女性の13.6%しかおらず、「夫5:妻5」は男性の5.3%、女性の4.3%に過ぎません。
「育児に関わりたい」と思っていても、実際はなかなか関われないことが分かります。
人事院では育児休業を取得しなかった職員にも、調査を行っています。
取得促進のための改善点として、もっとも多かったのは「育児休業中の収入が確保されるようにする」で、66.0%を占めました。
その他「代替要員が確保されるようにする」が44.2%、「育児に対して職場の理解が得られるような啓発を行う」が36.8%となっており、「取りたくても収入・人員が確保されない、もしくは休業を取得しづらい環境があり、取れない」という状況が明らかになっています。
『父』になりたくてもなれない『男』の現実。
『父』と呼べる『男』を増やして、ワーク/ライフ・バランスを男女とも実現できる社会は、誰にとっても住みやすいはずですよね。
2008年2月23日/1月19日/1月17日/1月16日付「日本経済新聞」
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http://www.jinji.go.jp/kisya/0802/ryoritsu20.htm
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http://www.i-kosodate.net/mirai/ishiki/index.html
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http://www.teijin.co.jp/japanese/index.html
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http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
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http://www.satake-japan.co.jp/ja/