少しお話を整理しますと・・・
まずチベットという国についてです。
チベットといえば、1950年に中国の武力侵攻を受け、その後中国政府に武力で併合をされてしまった国です。
このチベット侵攻の際には、チベット人の20%にあたる120万人もの人々が中国の人民解放軍によって殺され、チベット仏教の寺院も破壊されつくしました。
この際、時のチベット政府はインドに亡命し、チベット亡命政府というものを設置して現在も存在しています。

そして、
チベット独立を回復させたくない中国は、もちろんこのチベット亡命政府と、その最高指導者であるダライラマ14世の動向に神経を尖らせており、ダライ・ラマ14世と外国の要人があう事を妨害し、時に力づくで阻止をしたりという事を繰り返しています。

ところで皆さんは、このダライラマ14世が昨年の11月に来日し、東日本大震災の被災地を回り、被災者を励まし力づけ、祈りを捧げてくれていた事実があることをご存知でしょうか。
ほぼ全てのマスコミが、タイムリーなニュースとして来日を報じていなかったのでご存じない方も多いと思います。
私自身も、ある不自然な報道を深読みするまで気が付きませんでした。
その不自然な報道は、「幸せの国ブータン」の国王夫妻の来日です。

じつはダライラマ14世の来日と同時期に、ブータン国王夫妻が来日していました。
確かに親日国家であり、美しい夫妻の来日はニュース性がありますが、それにしても連日連夜そればかりを報じたてていて、マスコミのいつものパターンから何かから目をそらそうとしているんじゃねーか?と思い、いろいろ調べてやっとダライラマ14世の来日記事を見つけたほどでした。

ちなみにこの際、某テレビ局のディレクターをしている友人に
「今のマスコミの報道、やっぱダライラマが被災地入りして被災者を励ましていることへの目隠し?」
と尋ねると、
「・・・嫌なこと聞くね。」
とだけ返事がありました。

日本のマスコミは、本当にこの程度です。
あ、ちなみにその友人は、その報道体制に呆れ疑問を持っている人間ですので・・・念のため。

前置きが長くなりました。
そのように被災地入りして被災者を励ましたダライラマ14世。
来日中に仙台市長の奥山恵美子氏に面会を申し入れたのですが、門前払いにしたと毎日新聞が報じています。

仙台市:昨秋来訪のダライ・ラマの要請に面会断る パンダ貸し出しに配慮か /宮城
http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20120223ddlk04010184000c.html 

ちなみに奥山氏は社民党と民主党の支持を受けて当選した方なので、おそらくソッチ系の方でしょうね。

さらに仙台市は、現在中国にパンダの貸し出しを要請しています。
娯楽が数少なかった上野動物園の時代ならともかく、パンダを呼んで復興を盛り上げようという発想が、もう驚くべきセンスの酷い、驚くべき発想の貧困さと現実感のなさですが、この本来なら被災者に使われるべきお金は、パンダの年間レンタル代として9000万円、中国に支払われる事になります。
エサ代などの維持費を合わせると、年間軽く1億円以上の費用です。

もし本当にこんな愚策を実現させる為に中国に配慮し、被災地を訪ねてくれたチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世との面談を断ったのだとしたら、こんな政治家を皆さんは許せるでしょうか。

もちろん表向きは「時間が合わなかった」と釈明しているだけですが、ただ、驚くべき事に仙台市は、「市長に会うかどうかの判断を求める前に担当者が断った」と言い訳しています。

チベット仏教の最高指導者で、一国の国王にも相当する人がみずから祈りを捧げる為に来日してくれた上に、現地の首長への表敬訪問を申し出てくれたのを、担当者が一存で断ったというわけです。
もしこれが事実なら、奥山市長は、時間をずらしてダライ・ラマ14世に会うわけがないという市長の価値観が現場に十分伝わっていたのでしょうね。
そのような政治観をしっかりと部下に教育をしていたのでもない限り、こんな政治的にセンシティブな問題を部下が一存で決めるわけがありませんので・・・。

私の居住する市で市長がこんなまねをしたら、私は怒りの余り必ず行動を起すと思います。
こんな無礼な振る舞い、皆さんはどう思われるでしょうか・・・。