1985年。アメリカ。"CRIMEWAVE".
  サム・ライミ監督
 今年の8月にようやくDVDが発売されたサム・ライミの約25年前の作品で、脚本はサム・ライミとコーエン兄弟が共同で書いている。
 コーエン兄弟の『赤ちゃん泥棒』や『ブラッド・シンプル』と同じような楽しさのある映画で、以前にVHSのテープで見たときはもっと面白かった記憶があったが、
 『スペル』の後に見てみると、ジェリー・ルイスのコメディ映画を見たときと同じような感覚、面白いが笑えない、ギャグがベタ過ぎるからかも知れない。

 物語は無実の罪で処刑寸前の死刑囚が回想形式で物語る犯罪コメディで、詰め込みすぎにさえ思われるほどに、くどいギャグがこれでもかと押し寄せてくる。
 サム・ライミの意外な上品さと、ヒッチコックの映画が大好きだという想いが恥ずかしげもなくさらけ出されていて、すがすがしさの残る、笑うことはなかったが楽しい映画だった。
      IMDb
映画の感想文日記-crimewave1
 電気椅子での死刑が実行されるのを楽しみに待つ人々でごった返す刑務所内で、連続殺人の容疑を着せられたビック(リード・バーニー)は自分の無実を最後まで訴え続ける。
 誰も聞いてはいないが、事件のてん末をビックは回想し始める。
 リード・バーニーという俳優はこの映画でしか知らなかったが、現在までテレビ業界を中心に活躍しているらしい。
映画の感想文日記-crimewave2
 事件の発端は不動産の不正取引に関与した不動産屋が、殺し屋を雇って共同経営者を殺そうとしたことにあった。
 電話帳に「どんなサイズでも殺します」と広告を出していた間抜けな殺人請負業者2人組が、あやまって共同経営者と一緒に依頼主である不動産屋も殺してしまったことから次々に連続殺人が発生する。
 この映画の実質的な主役である殺し屋2人組の強烈なキャラクターが面白い要素のほとんどを担っている。
 不死身の巨体で突進してくるファロン(ポール・スミス)と、ヒッピーくずれのアーサー(ブライオン・ジェームス)の二人の怪演技がすばらしい。
映画の感想文日記-crimewave4
 過去のふしだらな生活を反省して修道院に入っていたナンシー(シェリー・J・ウィルソン)だったが、ビックが死刑になるというニュースを知り、あわてて無実の罪を証言するために処刑場に向かう。
映画の感想文日記-crimewave3
 『死霊のはらわた』シリーズでサム・ライミ・ファミリーに加わった、というより『プレスリーVSミイラ男』 (2002年)でのエルビス・プレスリー役の名演が忘れがたいブルース・キャンベルも悪徳業者の役で登場する。
映画の感想文日記-crimewave5
 武術の心得もある正義の紳士、ミスター・ヤーマン(ジョン・ハーディ)は、ひげそりの途中だったにも関わらず、殺し屋ファロンに果敢に戦いをいどむが、あっけなく殺されてしまった。
 ミスター・ヤーマンが車にひかれて笑い顔のまま死んでいる姿が最大の見どころかも知れない。
映画の感想文日記-crimewave6
 殺人に使われるアーサーの電流装置が小道具として良く出来ていて面白かった。
 アーサー役のブライオン・ジェームス氏は1999年に54歳の若さで惜しくも亡くなっている。
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