2007年。イギリス。"Run Fatboy Run".
  デヴィッド・シュワイマー監督。
 サイモン・ペッグ主演。失われた愛を取り戻すために、運動不足のメタボ男がロンドンのマラソン大会に出場しようと無謀な努力をする姿を描いたイギリスっぽいほのぼのしたヒューマン・ラブコメディ。

 『フレンズ』のロスことデヴィッド・シュワイマーの劇場用映画としては初監督作品らしい。『フレンズ』のエピソードのいくつかを演出したりもしていたらしいので、意外と手慣れた感じのコメディ映画になっていた。
 脚本にも参加しているサイモン・ペッグとデヴィッド・シュワイマーは『ビッグ・トラブル』(2006)という映画でも共演していたが、その現場で意気投合したのか、ここでもサイモン・ペッグのアドリブっぽいせりふを採用するなど仲の良さそうな雰囲気が作品にも反映しているように見えた。

 『ビッグ・トラブル』みたいなブラックな笑いの作品かと思ったら、思いっきり『フレンズ』っぽい多少の下ネタをはさみ込みつつ、あたたかな気分になれるラブコメディだった。ちょっと拍子抜けした部分もあったが、多彩な登場人物のくせのあるキャラクターを生かしてあり、流れる音楽がUKものばかりで、知らない曲ばかりだったが、スカからロック、R&Bまで幅広くセンスの良い選曲だったので、まあまあ満足した。
 ナイキがスポンサーらしく、あちこちにナイキのロゴマークが飾りつけられていた。
   IMDb      公式サイト(UK)
映画の感想文日記-fatboy1
 結婚式当日に妊娠した妻を置いて、恐怖のあまり結婚生活から逃げ出してしまったダメ男デニス(サイモン・ペッグ)は、その後は高級下着店の警備員をしながら月に1度だけ息子に面会に行くわびしい生活を過ごしていた。
 自分から逃げ出しておきながら、美しさを変わらず維持している元妻への未練がましい気持ちを持っている。
映画の感想文日記-fatboy2
 元妻のリビー(タンディ・ニュートン)にはすでに、アメリカ人で大企業の役員を務めるイケメンのエリートでマラソンが趣味だというウィット(ハンク・アザリア)という恋人がいた。ウィットは顔にメイクまでしており、高級スポーツジムに毎日通うことを日課としていた。
 デニスはウィットにあらゆる面で勝ち目がないことに打ちのめされる。
映画の感想文日記-fatboy3
 デニスの唯一の話し相手は息子のジェイク(マシュー・フェントン)だけだった。ジェイクはデニスになついており、父親を大切な存在だと感じている。しかし、ウィットはパーティーの席でリビーに公開プロポーズをしてしまい、リビーは「イエス」と返事してしまった。
映画の感想文日記-fatboy6
 悪友のゴードン(ディラン・モーラン)がデニスに、ウィットも出場する「ナイキ・リバー・ラン」というマラソン大会に出場してリビーを見返してやれ、と助言する。ゴードンはデニスが42.195キロ完走できるかどうかで闇賭博に大金を賭ける。そのためデニスの鬼コーチとなり、特訓を開始する。
映画の感想文日記-fatboy4
 いろいろあって、「勃起不全症候群」の人々の慈善団体のために走ることになったデニスだったが、ウィットへのライバル意識のあまり前半からとばし過ぎて、ウィットとぶつかり足首をねんざしてしまう。
 デニスの起死回生の一発を狙ったマラソンは挫折してしまうのか。
映画の感想文日記-fatboy5
 すべてのメタボ男たちはあふれ出る涙をぬぐおうともせずに泣きむせぶだろうと思われる感動的なフィナーレが訪れた。完璧に見えたウィットの化けの皮もはがれて、全部ハッピーエンドとなった。
映画の感想文日記-fatboy7
 今回はデヴィッド・シュワイマーは監督のみで、出演はしていない。
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