2009年。アスミック・エースエンタテインメント/フジテレビジョン/ジェイ・ストーム。
マイケル・アリアス監督。
数日前にオリジナル版のドイツ映画、『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を見たばかりで、しかもかなり面白くて気に入った、というハードルが高くなった状態で見たせいもあるのか、
あるいは、ひどい出来ばえになっているんじゃないか、という不安要因があったこともあるのか、
まさかここまで良い、とは予想していなかったので、かなり素晴らしい映画を見た、という満足度も高まった。
海外へ出しても恥ずかしくないレベルの映画になっている。
長瀬智也と福田麻由子という組み合わせは、意外とうまくいくんじゃないか、と思ったことは予想を上回るコンビネーションの良さになって、これはキャスティングの勝利だろう、と思った。
オリジナルより出来が良い、とまでは思わなかったものの、コメディの要素は控えめにして、切なさに重点を置いた作り方になっていたのは、製作側のそういう要求があったのかも知れないが、そういう場合におちいりがちな、わざとらしさは感じられず、演出が特にすぐれているとも思わなかったものの、
元のオリジナルの演出自体が特にすぐれているわけでもなかったので、これはかなり優秀なリメイクになっているように感じた。
ドイツでなら不自然ではない、海を見に行く、という願いや、天国というキリスト教文化圏での観念、なども多少は強引さもあったように見えたが、とりあえずクリアしていた。
ロードムービーというのは、日本の道路環境では困難なジャンル映画だが、青山真治監督の『ユリイカ EUREKA』みたいに田舎の道路を使って、苦労の形跡はあったが、とりあえずちゃんと見ることが出来た。
オリジナル版を見ずに、いきなりこちらを先に見てしまうと、不自然さだけが目立って、つまらなく感じてしまうかも知れない。オリジナルを見て、期間をあけずにこのリメイク版を見たせいか、日本映画でリメイクすることの困難さを工夫しながら乗り越えてゆくさまが感動的で、実際のところ、オリジナル版より、このリメイク版のほうが長く記憶に残る映画になるような予感がする。
公式サイト(日本)
この映画の素晴らしさの60パーセントくらいは、福田麻由子ちゃんの貢献によるもののような気がする。
拳銃をかまえて、天井に向かってブッ放すシーンだけでも見る価値がある。
次々に衣装を着替えて、どれもかわいくて似合っているので、中年男二人組よりは、楽しさも増していた。
福田麻由子ちゃん出演映画としては、『Little DJ 小さな恋の物語』、『犬と私の10の約束』よりはるかに素晴らしくて、今のところの代表作がこの『ヘブンズ・ドア』ということになる。
かなり忠実なリメイクになっている一方で、いろいろ新しい要素を入れたり、省略されたエピソードもあって、全部うまく機能していたとは思わなかったものの、省略のしかたは案外的確だった。
ときどき発作を起こすマーチンの役を長瀬智也が演じていたが、フェンスに向かって倒れるシーンは運動神経の良さか、かなり真に迫ってうまかった。オリジナルのマーチンより倒れ方はうまい。
刑事役の三浦友和が『転々』に続いてあいかわらず素晴らしい。
悪役は、最近『容疑者Xの献身』、『GOTH』と活躍が目立ってきた長塚圭史で、K3ホールディングスという自己啓発セミナーの要素も入った怪しい企業で、いまどきの悪役に設定されていたが、いまひとつ現実性が薄かった。
クリス・クーパーみたいなおっさんギャング役は田中泯で、中東系ウィル・スミス役が大倉孝二という、妥当で納得できるキャスティングだった点も良かった。
(田中泯はフランス映画、『愛されるためにここにいる』の主役の老人に似ている。)
土屋アンナ、薬師丸裕子、北見敏之、和田聰宏、黄川田将也、柄本佑、その他チョイ役でいろいろな俳優が登場してきた。
果たしてエンディングに流れるボブ・ディランの『天国への扉』はどうなっているのか、と思ったら、アンジェラ・アキの独自に解釈して変更された日本語の歌詞は、ちょっとこれはないだろう、ボブ・ディランが知ったら怒り狂うに違いないというひどさがあって、違いすぎる、と思ったところもあったが、(毒舌ですみません、女性シンガー・ソングライターにはこだわりがあるもので)
小谷美紗子とか、矢野絇子とかのまともな歌詞を書ける歌手に担当させてシリアスなものになると、映画の軽さとはつりあわない感じなので、商売の都合上、仕方がないところだろう、と思った。
エンディングで、観客の中の高校生らしきカップルの男のほうがしくしく泣いているのにはちょっと笑えた。
マイケル・アリアス監督。
数日前にオリジナル版のドイツ映画、『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を見たばかりで、しかもかなり面白くて気に入った、というハードルが高くなった状態で見たせいもあるのか、
あるいは、ひどい出来ばえになっているんじゃないか、という不安要因があったこともあるのか、
まさかここまで良い、とは予想していなかったので、かなり素晴らしい映画を見た、という満足度も高まった。
海外へ出しても恥ずかしくないレベルの映画になっている。
長瀬智也と福田麻由子という組み合わせは、意外とうまくいくんじゃないか、と思ったことは予想を上回るコンビネーションの良さになって、これはキャスティングの勝利だろう、と思った。
オリジナルより出来が良い、とまでは思わなかったものの、コメディの要素は控えめにして、切なさに重点を置いた作り方になっていたのは、製作側のそういう要求があったのかも知れないが、そういう場合におちいりがちな、わざとらしさは感じられず、演出が特にすぐれているとも思わなかったものの、
元のオリジナルの演出自体が特にすぐれているわけでもなかったので、これはかなり優秀なリメイクになっているように感じた。
ドイツでなら不自然ではない、海を見に行く、という願いや、天国というキリスト教文化圏での観念、なども多少は強引さもあったように見えたが、とりあえずクリアしていた。
ロードムービーというのは、日本の道路環境では困難なジャンル映画だが、青山真治監督の『ユリイカ EUREKA』みたいに田舎の道路を使って、苦労の形跡はあったが、とりあえずちゃんと見ることが出来た。
オリジナル版を見ずに、いきなりこちらを先に見てしまうと、不自然さだけが目立って、つまらなく感じてしまうかも知れない。オリジナルを見て、期間をあけずにこのリメイク版を見たせいか、日本映画でリメイクすることの困難さを工夫しながら乗り越えてゆくさまが感動的で、実際のところ、オリジナル版より、このリメイク版のほうが長く記憶に残る映画になるような予感がする。
公式サイト(日本)
![映画の感想文日記-heavensdoor1](https://stat.ameba.jp/user_images/3d/d8/10138631528.jpg?caw=800)
この映画の素晴らしさの60パーセントくらいは、福田麻由子ちゃんの貢献によるもののような気がする。
拳銃をかまえて、天井に向かってブッ放すシーンだけでも見る価値がある。
次々に衣装を着替えて、どれもかわいくて似合っているので、中年男二人組よりは、楽しさも増していた。
福田麻由子ちゃん出演映画としては、『Little DJ 小さな恋の物語』、『犬と私の10の約束』よりはるかに素晴らしくて、今のところの代表作がこの『ヘブンズ・ドア』ということになる。
![映画の感想文日記-heavensdoor2](https://stat.ameba.jp/user_images/0d/47/10138631529.jpg?caw=800)
かなり忠実なリメイクになっている一方で、いろいろ新しい要素を入れたり、省略されたエピソードもあって、全部うまく機能していたとは思わなかったものの、省略のしかたは案外的確だった。
ときどき発作を起こすマーチンの役を長瀬智也が演じていたが、フェンスに向かって倒れるシーンは運動神経の良さか、かなり真に迫ってうまかった。オリジナルのマーチンより倒れ方はうまい。
![映画の感想文日記-heavensdoor3](https://stat.ameba.jp/user_images/54/32/10138631532.jpg?caw=800)
刑事役の三浦友和が『転々』に続いてあいかわらず素晴らしい。
悪役は、最近『容疑者Xの献身』、『GOTH』と活躍が目立ってきた長塚圭史で、K3ホールディングスという自己啓発セミナーの要素も入った怪しい企業で、いまどきの悪役に設定されていたが、いまひとつ現実性が薄かった。
クリス・クーパーみたいなおっさんギャング役は田中泯で、中東系ウィル・スミス役が大倉孝二という、妥当で納得できるキャスティングだった点も良かった。
(田中泯はフランス映画、『愛されるためにここにいる』の主役の老人に似ている。)
土屋アンナ、薬師丸裕子、北見敏之、和田聰宏、黄川田将也、柄本佑、その他チョイ役でいろいろな俳優が登場してきた。
![映画の感想文日記-heavensdoor4](https://stat.ameba.jp/user_images/ca/df/10138631533.jpg?caw=800)
果たしてエンディングに流れるボブ・ディランの『天国への扉』はどうなっているのか、と思ったら、アンジェラ・アキの独自に解釈して変更された日本語の歌詞は、ちょっとこれはないだろう、ボブ・ディランが知ったら怒り狂うに違いないというひどさがあって、違いすぎる、と思ったところもあったが、(毒舌ですみません、女性シンガー・ソングライターにはこだわりがあるもので)
小谷美紗子とか、矢野絇子とかのまともな歌詞を書ける歌手に担当させてシリアスなものになると、映画の軽さとはつりあわない感じなので、商売の都合上、仕方がないところだろう、と思った。
エンディングで、観客の中の高校生らしきカップルの男のほうがしくしく泣いているのにはちょっと笑えた。