2008年。アメリカ/イギリス。"THE OTHER BOLEYN GIRL".
ジャスティン・チャドウィック監督。
16世紀のイングランドを舞台にしてエリザベスⅠ世誕生にまつわるスキャンダルに満ちた物語を描いた作品。
ケイト・ブランシェットが演じていたエリザベスⅠ世がどのような経過で誕生したのかが良くわかる映画になっていて、苦手な西欧の歴史ものコスチューム劇のわりには面白く見ることができた。
あまり評判の良くない映画だったので、DVD待ちにしようか、と思ったが、すでに見たこと自体を忘れていた『エリザベス:ゴールデン・エイジ』よりはかなり面白かった。
宮廷を舞台にした不倫メロドラマなので、物語の展開もドラマチックで、国王の世継ぎ問題がからんでいるために、不倫といっても、慰謝料請求などでは済まされるはずもなく、不倫がばれたら、断頭台で首を切り落とされて殺される、というむごたらしい最期が待っている。
実際は不倫していなくても、その疑いを持たれただけで、首を切り落とされて殺されてしまうところがすごい。
運命にほんろうされるブーリン家の姉妹を演じるのがスカーレット・ヨハンソンとナタリー・ポートマンで、二人の本格的演技派女優の熱演が物語を盛り上げていた。
スカーレット・ヨハンソンは、かなりがっかりさせられた『私がクマにキレた理由(わけ)』 のときとは、見違えるように素晴らしい演技を見せていて、新作の『ヴィッキー・クリスティナ・バルセロナ』(ウディ・アレン監督)への期待は高まった。
しかし、この映画に最大の貢献をしていたのは、魔性の女に近いキャラクターでアン・ブーリンを演じきったナタリー・ポートマンで、エリザベスⅠ世の母親となりながら、断頭台の上で短い生涯を閉じるまでを、役になりきって見せる姿には感動的なものがあった。
映画自体の出来はそれほど良くないのかも知れないが、二人の女優の演技競争を見比べながら見ていると、面白かった。
IMDb 公式サイト(日本)
権力欲に取りつかれた父親のせいで、国王ヘンリー8世(エリック・バナ)の愛人にさせられてしまう、二人のブーリンだったが、二人の女優の配役は交換可能にも見えた。
S・ヨハンソンがアン・ブーリンを、N・ポートマンがメアリー・ブーリンを演じても、二人とも見事に演じきって、面白い作品になっていたような気がした。
チャールズ皇太子並みに優柔不断で、落ち着きのない悩める国王を演じたエリック・バナ。
史実に忠実な物語かどうかは知らないが、現在のイギリス王室を見ていると、当時もこんな感じだったのだろう、と納得できる物語にはなっていた。
慎み深く、か弱いようで、芯の強いところもあるメアリー役のスカーレット・ヨハンソンだったが、この女優さんはふだんの自分のキャラクターとはかけ離れた役柄を演じるときに生き生きとして見えるタイプなのかも知れない。
妹メアリーへの愛と憎しみが入り混じった感情を持ちながら、王妃の座を勝ち取りエリザベスⅠ世を出産するが、不倫スキャンダルで処刑されてしまうアン・ブーリンを演じるナタリー・ポートマン、大河ドラマの主役みたいに、「私の素晴らしい演技を見てごらんなさい。」とでも言いたげな見得を切った演じっぷりが素晴らしかった。
フランスから帰国したときにフェミニストみたいに進歩的な女性になっていたところも面白かった。
一番かわいそうだったのは、姉妹の弟ジョージ(『ラスベガスをぶっつぶせ』のジム・スタージェス)で、アンのせいであらぬ疑いをかけられて、無実の罪で処刑されてしまった。
何となくナサニエル・ホーソン原作で、ヴィム・ヴェンダース監督の『緋文字』(1972年)(ドイツ文化センターで上映されたときは『真紅の文字』というタイトルだったような気がする。何度も映画化されている有名な物語だが、これしか見たことがないので。)を連想させられた。
ジャスティン・チャドウィック監督。
16世紀のイングランドを舞台にしてエリザベスⅠ世誕生にまつわるスキャンダルに満ちた物語を描いた作品。
ケイト・ブランシェットが演じていたエリザベスⅠ世がどのような経過で誕生したのかが良くわかる映画になっていて、苦手な西欧の歴史ものコスチューム劇のわりには面白く見ることができた。
あまり評判の良くない映画だったので、DVD待ちにしようか、と思ったが、すでに見たこと自体を忘れていた『エリザベス:ゴールデン・エイジ』よりはかなり面白かった。
宮廷を舞台にした不倫メロドラマなので、物語の展開もドラマチックで、国王の世継ぎ問題がからんでいるために、不倫といっても、慰謝料請求などでは済まされるはずもなく、不倫がばれたら、断頭台で首を切り落とされて殺される、というむごたらしい最期が待っている。
実際は不倫していなくても、その疑いを持たれただけで、首を切り落とされて殺されてしまうところがすごい。
運命にほんろうされるブーリン家の姉妹を演じるのがスカーレット・ヨハンソンとナタリー・ポートマンで、二人の本格的演技派女優の熱演が物語を盛り上げていた。
スカーレット・ヨハンソンは、かなりがっかりさせられた『私がクマにキレた理由(わけ)』 のときとは、見違えるように素晴らしい演技を見せていて、新作の『ヴィッキー・クリスティナ・バルセロナ』(ウディ・アレン監督)への期待は高まった。
しかし、この映画に最大の貢献をしていたのは、魔性の女に近いキャラクターでアン・ブーリンを演じきったナタリー・ポートマンで、エリザベスⅠ世の母親となりながら、断頭台の上で短い生涯を閉じるまでを、役になりきって見せる姿には感動的なものがあった。
映画自体の出来はそれほど良くないのかも知れないが、二人の女優の演技競争を見比べながら見ていると、面白かった。
IMDb 公式サイト(日本)
権力欲に取りつかれた父親のせいで、国王ヘンリー8世(エリック・バナ)の愛人にさせられてしまう、二人のブーリンだったが、二人の女優の配役は交換可能にも見えた。
S・ヨハンソンがアン・ブーリンを、N・ポートマンがメアリー・ブーリンを演じても、二人とも見事に演じきって、面白い作品になっていたような気がした。
チャールズ皇太子並みに優柔不断で、落ち着きのない悩める国王を演じたエリック・バナ。
史実に忠実な物語かどうかは知らないが、現在のイギリス王室を見ていると、当時もこんな感じだったのだろう、と納得できる物語にはなっていた。
慎み深く、か弱いようで、芯の強いところもあるメアリー役のスカーレット・ヨハンソンだったが、この女優さんはふだんの自分のキャラクターとはかけ離れた役柄を演じるときに生き生きとして見えるタイプなのかも知れない。
妹メアリーへの愛と憎しみが入り混じった感情を持ちながら、王妃の座を勝ち取りエリザベスⅠ世を出産するが、不倫スキャンダルで処刑されてしまうアン・ブーリンを演じるナタリー・ポートマン、大河ドラマの主役みたいに、「私の素晴らしい演技を見てごらんなさい。」とでも言いたげな見得を切った演じっぷりが素晴らしかった。
フランスから帰国したときにフェミニストみたいに進歩的な女性になっていたところも面白かった。
一番かわいそうだったのは、姉妹の弟ジョージ(『ラスベガスをぶっつぶせ』のジム・スタージェス)で、アンのせいであらぬ疑いをかけられて、無実の罪で処刑されてしまった。
何となくナサニエル・ホーソン原作で、ヴィム・ヴェンダース監督の『緋文字』(1972年)(ドイツ文化センターで上映されたときは『真紅の文字』というタイトルだったような気がする。何度も映画化されている有名な物語だが、これしか見たことがないので。)を連想させられた。
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