2008年。アメリカ。"STARSHIP TROOPERS 3 :MARAUDER".
エド・ニューマイヤー監督。
 ポール・バーホーベン監督の人でなしぶりが発揮された第1作目の精神を受け継いだというシリーズ第3作目。
 第2作目(見ていない)はケーブル・テレビ専用のビデオ映画として製作された低予算の作品だったらしいが、予算が前作の3倍になったというこの映画も、果たしてまともな映画として製作されたものかどうかは疑わしい。
 公式サイトは日本にしか存在せず、IMDBでも評価すら出ていない、
 ということは世界中でほとんど誰もこの作品を見ていない、ということになる。劇場公開されているのは日本だけなのかも知れない。

 しかし、意外によく出来ていて面白かった。第1作目にあった心ない演出を目指そうとした努力の跡は見られる。
 低予算なのは相変わらずだが、苦労してスケールを大きく見せようとしているチープさが独特の味を生み出しているようにも見える。
 ウルトラ右翼の微妙さ(ナチス親衛隊の制服や行進の映像を見てカッコいいと思ってしまう感覚)とバカバカしさを強調した形式は、軍隊への勧誘ビデオという形でときどき現れるのは第1作目と同じだったが、今回は多少センスが劣るようにも見える。
 人気歌手でもあるオマー・アノーキ総司令官の歌う戦意高揚歌のヒット曲、『死に日和』はおかしかった。

 物語は怪物バグスの侵攻をくい止める最前線にいるジョニー・リコ大佐(キャスパー・ヴァン・ディーン)をオマー・アノーキ連邦軍総司令官(スティーヴン・ホーガン)が視察に訪れる場面から始まる。
 反戦活動家の公開処刑をテレビで生中継したり、神聖なものやスピリチュアルなものなどを侮辱することに明け暮れる物語の展開はそこそこに面白かったが、
 バグスとの対決シーンや、殺される兵士のグロテスクな演出などは控えめで、予算の限界を感じた。
 同じ低予算でもジョン・カーペンター監督の『ゴースト・オブ・マーズ』みたいに、火星版西部劇みたいな傑作を作ることは可能なので、大した作品でないことに間違いはないが、入場料金程度の満足度は得られた。
     IMDb        公式サイト(日本)
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 第1作目に出演していたキャスパー・ヴァン・ディーンが10年ぶりに登場する。今年40歳になるらしいが、プロフィールを見ると、B級低予算映画やケーブル・テレビ用のビデオ映画にばかり出演している。
 日本だとVシネマ専門俳優みたいな立ち位置なのだろうか。
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 連邦軍総司令官であり哲学者でもあり人気歌手でもありながら、スピリチュアルなものに目覚めてしまったオマー・アノーキの奇妙な行動の謎が物語の要となっている。
 オマー・アノーキは実は...という物語。
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 低予算でもCGはそれなりに迫力のある画面になっている。ひょっとしたら何かの使いまわしかも知れないが。
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 砂漠に不時着した数人の人間ドラマが『フライト・オブ・フェニックス』みたいに描かれる。
 リーダー格のローラ(ジョリーン・ブラロック)はカッコいい。
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  ローラと彼女の恋人ディックス・ハウザー将軍(ボリス・コドジョー)のキス・シーンの背景が、新型爆弾で惑星を丸ごと吹き飛ばす場面になっているなど、意地の悪い演出はある程度は成功していたように見えた。
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