2007年。アメリカ。"WE ALL SCREAM FOR ICE CREAM".
トム・ホランド監督。
 人々が寝静まった真夜中に、街のどこからか、やさしげな響きの声が、眠れない子どもたちの耳に届く。
 「さあ、子どもたち、夜中にこっそり食べるアイスクリームはおいしいよ。みんなのためにアイスクリームのおじさんがやって来たよ。」
 子どもたちはその声に導かれるように、親の目を盗んで、こっそりと家の外に出る。
 アイスクリーム・カーからピエロのメイクをしたアイスクリーム・マンが姿を現し、世にも珍しい、おいしいアイスクリームを子どもに手渡す。
 アイスクリームの頭の部分を食べた瞬間、その子どもの自宅では、父親の身体がアイスクリームのように溶けて流れ出し、父親は死んでしまう。アイスクリームになって溶けてしまったので、死体もないお葬式となった。

 20年ぶりに街に帰ってきたレインは、大人たちが噂しているアイスクリーム殺人事件の話を聞いた瞬間、20年前に起こった、ある忌まわしい事件のことを想い出した。
 レインたち悪がきグループは、アイスクリーム・マンのバスターをからかおうとして、坂道に停車していたアイスクリーム・カーのブレーキをはずすという度が過ぎたいたずらを仕出かした。
 それによって哀れなバスターは車の下敷きとなって死んでいた。
 アイスクリーム殺人の犠牲者は、レインたち悪がきグループのメンバーに限られていた。
 「バスターがよみがえって、俺たちに復讐するためにやって来たのだ。次に殺されるのは俺かも知れない。」
 そして、ある夜、ついにレインの家の近くからアイスクリーム・マンの声が聞こえてきた。レインの息子がこっそり、家を抜け出して、アイスクリーム・カーに近づいてゆく姿をレインは見た。
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 アイスクリーム・マンと聞いたら、ジョナサン・リッチマン&モダン・ラヴァーズの"ICE CREAM MAN"という1度聴いたら、忘れられない曲を思い出す。
 ジョナサン・リッチマンを知ったのは、キャメロン・ディアズとベン・スティラーとが出演した『メリーに首ったけ』での謎のギター弾きのおじさんとして出演している姿を見たのが最初だった。
 そのときはまさかプロの歌手で芸暦30年くらいある人物だとは思わなかったが、デビュー当時から変わらず、NHKのど自慢に出演する町のお調子者の青年みたいなスタイルで現在も現役で活動している、ということに素晴らしさを感じて、CDをいくつか聴いてみたら、初期の頃の『アイスクリーム・マン』などふざけているのか真剣なのか、全くわからない曲の数々には感銘を受けた。
 オタール・イオセリアーニ監督の映画とも共通する危険思想が潜んでいるようにも聞こえる。
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 優しい微笑みとメイクで隠されているが、ピエロ(『デビルズ・リジェクト』 のウィリアム・フォーサイス)の眼は復讐に燃える残忍で凶悪な輝きを放っていた。
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 レイン(リー・ターゲセン)は、バスターの復讐を阻止するために、あるアイデアを思いつく。
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 アイスクリームと化して溶けてしまった父親を呆然として眺める子ども。
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 レインたち悪がきグループの中で、リーダー格だったバージル(コリン・カニンガム)だけが独身で、「俺には子どもがいないから、バスターに復讐されることもない。」と安心していたが、ある日、レインの目の前でおそろしい死に方をする。
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 正体を現したバスターとレインとの宿命の対決が始まった。
 『マスター・オブ・ホラー』というアメリカのホラー専門チャンネル用に作られた13本のテレビ用映画の第2弾の中の1本だが、全部は見ていないからわからないものの、タイトルだけは1番魅力的だったが、おそらくこれが1番くだらなくて、つまらない、と思う。
ウィリアム・フォーサイス/13 thirteen アイスクリーム殺人事件
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