2006年。「シムソンズ」製作委員会。
  佐藤祐一監督。
 北海道の常呂町(北見市)で結成され、2002年のソルトレイク・シティ冬季オリンピックで、カーリング女子日本代表として出場した「シムソンズ」をモデルにして作られた作品。
 この映画を見てよかったことは、よくわからなかったカーリングのルールや試合運びが、何となく理解できたような気になったことだった。
 それまでは、見た感じからスポーツというより遊びの一種のように思われて、これならボーリングをオリンピックの種目に加えたほうが良いんじゃないか、とも思ったりしていた。
 しかし、チームワークと、頭脳、想像以上にハードな体力と運動神経が要求されるスポーツであることは理解できた。

 監督は『キサラギ』の演出家だったが、これを見て、やはり、『スマイル 聖夜の奇跡』の陣内孝則監督の方が演出家としては1枚上手であることが明らかになった。
 一見、地味な競技なので、試合のシーンを盛り上げるのに苦労した形跡があったが、あらかじめ、わかりやすくルールを解説した後で、試合の経過をカメラの配置を変えながら、ロング・ショット中心に的確に映し出す、という工夫はされていて、スポーツが題材の映画なのにスポーツの場面がわかりにくい、といったストレスは感じることがなかった。
 が、これは実際のカーリングの試合映像の撮影方法をそのまま流用したものかも知れない。

 実在の「シムソンズ」の物語とはぜんぜん違うらしいが、スポーツを題材にした青春映画として、前半は登場人物のそれぞれにむかつきながら、後半は次第にチームとしての自覚が出てくるにつれて、面白くなってくる、という手堅い作りで、脇のさまざまな登場人物がいまひとつ生かされていないような気はしたものの、
 スポーツ青春映画であれば、多少あらが目立っても気にしないので、面白かった。
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 前半で完全なアマチュアという設定のシムソンズとともに、カーリングのルールと、競技の上で大事な点を学んでいく。
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 コーチ役は大泉洋。キャラクターを抑えて演じていたのか、それほど印象に残る場面はなかった。過去の自分が出場した試合の結果について、屈折した感情を持っている人物。
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 『スマイル 聖夜の奇跡』にも出ていた松重豊がテレビ・ディレクター役で出演。
 昨年見た日本映画には、光石研か松重豊か田中要次の誰かが必ず出ていたような印象がある。ちょっと、この3人は映画に出すぎているような気がする。
 おととしくらいに、映画やテレビを見るたびに大杉連が出ていて、いいかげんウンザリしたときに近い。
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 みんながあこがれるカーリングのスター選手、マサト(田中圭)。どこかで見た顔だと思ったら『包帯クラブ』に出ていた俳優だった。
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 カーリングは4人で行うスポーツだというのも、この映画で初めて知った。主役の加藤ローサは『スマイル 聖夜の奇跡』にも出ていたので、つい比較してしまうが、やはり『スマイル』の方が圧倒的にすぐれた映画だった。
 星井七瀬は『幸福のスイッチ』 に出ていたと思ったら、それは中村静香という別の俳優だった。
 カーリング経験者を演じる藤井美菜。畜産農家の娘を演じる高橋真唯(この漢字でまいと読む)。
 スポーツ青春ものに欠かせないキャラクターの描き分けはそれなりにうまくいっていたようだった。
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 わざわざ出演した割に大した見せ場もなかった夏八木勲。他に、森下愛子、徳井優、高田延彦、宇梶剛士、山本浩司、丸山智巳などが出演。
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
シムソンズ 青春版 (完全限定生産)