2006年。アメリカ。"THE WICKER MAN".
ニール・ラビュート監督・脚本。ニコラス・ケイジ製作・主演。
 伝説のパンク・ロック・バンド、ザ・ラモーンズ(The Ramones)のジョニー・ラモーン(2004年死去、ラモーンズのメンバーはすでに4名中3名が死亡している)が親友のニコラス・ケイジに見せたこの映画のオリジナル版(1973年)を見て、
 感激したニコラス・ケイジが自らプロデューサーとなり、主演もした作品、らしい。
 しかし、ケイジ氏のせっかくの熱意もむなしく、ラジー賞5部門にノミネートされた、変てこ映画の代表例みたいな扱いを受けてしまっている。

 オリジナル版を見た人によると、「あれはちょっと、とんでもないよ。」というすごい映画らしいが、オリジナル版のDVDはすでに廃盤で、調べてみると中古品が4万円前後で取り引きされているようだった。レンタル店には当然置いてないので、見ることが出来ないので、これは再発売を期待するか、AMAZON.USAか、AMAZON.UK(10ドル前後で売られている)で字幕なしのものを購入するしか手段がない。

 このリメイク版は、オリジナルを知らないからか、それほど悪い作品でははないように思えた。
 特に、オープニングから、島へ行くまでのエピソードには、何かとんでもないことが起こりそうな期待をさせるものがあった。
 が、熊の着ぐるみを着て走り回るニコラス・ケイジの姿には、これは狙ったギャグなのか、それともまじめにやっているのか理解に苦しむ。後半は、ギャグともシリアスとも判断不可能な場面が多く、これがラジー賞ノミネートの理由なのだろう。
 最後にいけにえになってしまうニコラス・ケイジの悪あがきする姿は、思い出すだけでも笑いがこみ上げてくるので、ホラー映画ではなく、コメディ映画として宣伝すれば、意外と高い評価を受けたのではないか、とも思った。
 IMDb     公式サイト(日本)
wick1
 白バイ警官としてまじめに働くエドワード(N・ケイジ)は、ある日、事故にあった不思議な母と娘を救出しようとするが、自動車が爆発炎上してしまう。しかし、事故現場から死体は発見されなかった。
 この謎が後半で明らかになるのかと思ったら、結局ほったらかしにされてしまい、エドワードが繰り返し見る悪夢の場面のために作られたエピソードとして機能していた。
wick2
 数年前に突然失踪した婚約者ウィロー(ケイト・ビーハン)から、娘が行方不明なので助けてほしいという手紙が突然届き、エドワードはウィローの故郷サマーズアイルという離島を訪れる。
 その島には女性の姿しかなく、シスター・サマーズアイル(エレン・バースティン)が教祖のように君臨する、原始宗教の島だった。
wick3
 異教徒たちの中でどうやらいけにえにされるらしい娘を救おうと闘うエドワードは、実はいけにえはエドワード自身だったことを知るが、時はすでに遅く、エドワードは暴れまわって抵抗するが(このあたりの一連のシーンが、なぜか、かなり笑えてしまう)、ついに捕らえられ、蜂の巣の拷問を受ける(最大の失笑シーン)。
wick4
 巨大な人間をかたどったかご(これをウィッカーマンと呼ぶらしい)に入れられ、エドワードの娘自ら火を点けて、哀れなエドワードは火あぶりにされる。
 オリジナル版には、エロとグロの要素があったらしいが、このリメイクにはエロもグロもない代わりにギャグがあった。キリスト教批判的な要素もあったらしいが、そういう部分は全く感じられないものになっている。悪評が目立つ作品にしては、そこそこに面白かった。

スティングレイ
ウィッカーマン 特別完全版
アニプレックス
ウィッカーマン