2006年。イギリス。"MISS POTTER".
   クリス・ヌーナン監督。
  ピーター・ラビットの絵本で世界中に知られているビアトリクス・ポターの、初めての本が出版されて100年を過ぎたことを記念して製作された伝記物語で、ビアトリクス・ポターの生涯にほとんど忠実に映画化されているらしい。

 テキサス生まれのテキサス育ちなのに完璧なイギリス英語を話せるレニー・ゼルウィガー、ユアン・マクレガー、エミリー・ワトソン、その他出演。
 1900年代初頭のイギリスの裕福な家庭に育ったミス・ポター(ゼルウィガー)は、子どもの頃から描き続けてきた動物たちの絵の物語を世間に発表したい、という野望があった。
 印刷技術の急速な発達の時期でもあり、彼女が絵を持ち込んだウォーン社は、ビアトリクスと、ピーター・ラビットの絵本を出版する契約を結ぶ。
 経営者のウォーン兄弟の弟ノーマン(ユアン・マクレガー)が担当になり、ノーマンの姉ミリー(エミリー・ワトソン)とも親しくなる。
 出会ったときからビアトリクスに想いを寄せていたように見えるノーマンは、ビアトリクスの母親の反対もあったが、ついにある日彼女にプロポーズする。

 ビアトリクスとノーマンとの恋は悲しい結末になってしまったが、その後もビアトリクス・ポターは絵本を描き続けた。
 全体にあっさりとして、こじんまりとまとまった作品で、レニー・ゼルウィガー、ユアン・マクレガーともに好演している。当時の風景を再現したセットや衣装も一流のスタッフによるものらしく、撮影も美しい。
 世界中に存在するピーター・ラビットのファンの気分を害さないように細心の注意を払って、ていねいに作られた映画、といった、感じの良い作品になっている。
 見ている間は気づかなかったが、自然保護活動の先駆者としての側面も強調されて、現在の社会経済状況への意義申し立てをする社会派映画という部分も目立たなく隠されているだった。
IMDb        公式サイト(日本)
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 出会った当初からビアトリクス(R・ゼルウィガー)に関心があったように見えるノーマン(E・マクレガー)は、キャラクター商品として売れることを確信する。途中でユアン・マクレガーが歌を歌うシーンもあり、うまいところを披露している。お互いにシャイな感じがこの時代特有のものなのか、昭和の日本映画みたいでもあり、微笑ましかった。
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 独身のミリー(エミリー・ワトソン)と話がはずみ、やがて二人は親友になる。
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 ノーマンは駅の停車場で、蒸気に包まれながら、思い切ってビアトリクスへプロポーズする。しかし、そのわずか1ヵ月後に、ビアトリクスのもとへ悲しい知らせが届く。
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 ビアトリクスは本が売れた収益で広大な農場を買い取った。商売人としても有能だったらしく、農場は次第に拡大していく。
 90分ちょっとの短い作品なので、展開は速く、あっという間に終わってしまったような気がする。これはもう少し長くしても良かった。
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 ミス・ポターが使っていた絵画道具も忠実に再現されているらしい。CGを使って絵が動き出したり、それにビアトリクスが話しかけたりする場面がアクセントになっている。
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 エンディングで流れる歌が素晴らしい、レニー・ゼルウィガーが歌っているのかと思ったら、Katie Meluaというプロのフォーク・シンガーだった。
角川エンタテインメント
ミス・ポター (初回限定生産 特製パッケージ)

リチャード・モルトビー Jr., 酒井 紀子
ミス・ポター (竹書房文庫 DR 202)
サントラ
ミス・ポター・オリジナル・サウンドトラック
カミラ ハリナン, Camilla Hallinan, 上野 和子
ピーターラビットとビアトリクス・ポターの世界