2001年。ドイツ。"BELLA MARTHA".
サンドラ・ネットブレック監督・脚本。音楽はキース・ジャレットその他によるこじゃれたジャズ。
 秋にキャサリン・ゼタ・ジョーンズ主演で、『幸せのレシピ』という題でリメイク版が公開される、国際的な大ヒット映画だったらしいが、全く知らなかった。
 腕のいい独身の美人女性シェフが主人公の物語なので、軽い感じの、恋愛コメディみたいなものを想像していたら、 意外に地味な、しみじみとしたヒューマン・ドラマに恋物語を混ぜたような作品で、何となく、『Dear フランキー』 を連想させられる感じの良いものだった。

 小さな町でレストランのシェフを務めるマーサのもとに姉が交通事故で亡くなったという知らせが届く。
 残された娘は軽傷だったが、ショックから拒食症になった姉の娘を預かったマーサは、姉と別れた元の夫の連絡先をさがしながら、娘の世話をするうちに、次第に娘に愛情を持つようになり、別れがつらくなる。
 レストランに新しい従業員としてやって来たイタリア人男性マリオとの対立が、やがて愛に変わり、ふたりの恋の行方はどうなるのか、イタリアの父親の家に去ることになった姉の娘は、そのままいなくなってしまうのか、という物語。
 IMDb
mostly1
 料理の腕は町で一番だと自負するマーサ(マルティナ・ゲデック)が仕切るレストランに、産休で休むレアの代わりに、陽気なイタリア人マリオ(セルジオ・カステリット)が現われ、ペースを乱されたマーサはマリオを追い出そうとするが、どこかさびしげな影があり、繊細な気配りをするマリオに次第にひかれてゆく。
mostly2
 マーサは姉(監督本人が演じる)の娘リナ(新人子役)をしばらく預かるが、リナは心を閉ざして、マーサになつこうとせず、反抗的な行動に出る。
mostly3
 マーサが定期的にセラピーを受ける精神分析医(August Zimer)。彼もマーサにひそかに想いを寄せているようにも見えたが、エンディングで再び登場する。
mostly4
 マーサのアパートの階下に引っ越してきた建築家でバツイチのサム(Ulrich Thomsen)。彼もマーサに気がありそうに見えた。
mostly5
 さがしていたリナの父親(Diego Ribon)が姿を現し、イタリアへ引き取って帰ると、マーサに告げる。
mostly6
 マーサはリナに涙ながらに別れを告げる。しかし、映画はここでは終わらずに、地味ながらこじゃれた終わり方をする。
おそらく、リメイク版も地味に良い作品になっていそうな気がするが、IMDBでの点数が、この作品は7.4と高得点なのに、リメイク版("NO RESERVATIONS")は6.5と、あまり良い評価を受けていないのが気になる。
東芝デジタルフロンティア
マーサの幸せレシピ