2007年。 松竹。
 松岡錠司監督。 松尾スズキ脚本。リリー・フランキー原作。
オダギリジョー、樹木希林、小林薫、内田也哉子、渡辺美佐子、佐々木すみえ、松たか子、その他出演。
ちょい役で有名俳優やタレントが次々に登場してくる。
 連続テレビドラマになり、2時間ドラマにもなり、今回が3度目の映像化。テレビ版は見ておらず、原作も買ったままに読まないまま放置状態になっていたので、せめて原作を読んでからにした方が良いのかとも思ったが、
 リリー・フランキーのエッセイ集はけっこう読んでいた。特に映画のコラムを集めた、変わった装丁の『日本のみなさんさようなら』や、中原昌也の『エーガ界に捧ぐ』のイラストや対談で、親しみを感じてはいた人物だった。

 松竹の製作で、母親が亡くなる物語となると、リリー・フランキーも『日本のみなさんさようなら』で書いていた小津安二郎監督の『東京物語』をつい連想してしまう。(書いていたのは『東京物語』ではなかったかもしれない。)
 しかし、リリー・フランキーは小津安二郎のあの映画はあまり好きではないらしい。子供の視点から両親の物語を語る映画といえばジョン・フォード監督の『わが谷は緑なりき』を連想するが、
 神話のように語られる子供時代の物語は、同じ炭鉱が舞台ということもあり、『わが谷は緑なりき』を思わせる。

 21世紀の国民文学第一号といわれる小説の映画化だけに、手堅く、抑制をきかせて、きっちり作った映画という印象がある。演技には評価の高い俳優ばかりを集めてあるので、見どころは多い。
 数多くの韓国製「泣かせ」映画を、『マラソン』以外は、クールに見てきたので、泣くほどのこともないだろうと思い、
 オダギリジョーと樹木希林や、渡辺美佐子など、さすがにうまいなあ、などと思っていたら、小林薫が病室に駆け込むシーンで不意打ちを受けてしまい、ついホロリとしてしまった。しかし、後半はいいタイミングで、なごみキャラの勝地涼が出てきてくれるので、特に「泣かせ」映画という印象もなく、よくできた映画だと思った。監督は『バタアシ金魚』の演出家だった。
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この原作と映画によって、同じタイトルの江國香織の小説と、その映画化作品が、おそらく埋もれてしまうだろうことが予想されるので、それらが不憫に思われる。
 リリー・フランキー自身はおそらくこの映画より、『ブラック・ブック』の方が好きだろう。
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親子だけに内田也哉子と樹木希林はそっくりだった。
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関西出身のはずの小林薫の九州弁が一番やばかった、この俳優はうま過ぎる。
 原作は『en-taxi』というけっこう過激なメンバーが集まった雑誌に連載されていたが、読んでいない、リリー・フランキーと福田和也のどっちが親不孝かを競うような対談には笑った記憶があるが。
VAP independent(VAP)(D)
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