2007年。アスミック・エース。
 蜷川幸雄の娘、蜷川実花監督。 安野モヨコ原作。 タナダユキ脚本。
土屋アンナ、成宮寛貴、菅野美穂、木村佳乃、椎名桔平、永瀬正敏、小泉今日子、石橋連司、夏木マリ、安藤政信、津田寛治、大森南朋、小栗旬、その他出演。有名人のカメオ出演も多い。
 音楽は椎名林檎の曲が全編に流れる。
 椎名林檎は苦手だったが、それほど悪くないと思い直した。小島麻由美ほどの才能も歌手としての魅力もないのに、企画と宣伝だけで人気歌手になっただけ、というイメージがあったが、案外いけるということが発見だった。小島麻由美と違って、CDを金を払って買うほどの魅力は感じなかったが。

 最初の方では最近パッとしない菅野美穂が久しぶりに存在感のあるところを示して素晴らしかった。
 土屋アンナのワンマンショーっぽい映画だが、脇役が充実しているので、退屈せずに見ることができた。夏木マリ、石橋連司、成宮寛貴、安藤政信が特に強く印象に残る。
 しかし、最も大事な蜷川実花監督の演出家としての力量には大きな疑問がある。2時間弱のそれほど長くない作品なのに、異常に長く感じた。編集に問題があったのかもしれない。
 蜷川実花は写真家なだけに画面のすべてがスティール写真にできるほどに光と影を計算した画面設計がアマチュアの自分にでも感じとれる。
 最近だとアルノー・デプレシャン監督の『キングス&クイーン』が2時間30分の作品だったのが、実際に感じた時間は50分くらいだった、この『さくらん』は1時間51分だったが、体感した時間は2時間30分くらい。これはかなり問題がありそうな気がする。
 何となく『嫌われ松子の一生』を連想したが、あれよりは断然すぐれた映画だった。と思う。
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土屋アンナと石橋連司、最近の石橋連司は『花よりもなほ』のときもそうだったが、急に素晴らしい俳優になったような印象が強い。
 土屋アンナは当然最初から最後までカッコいい。
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はじめの方で出演する菅野美穂、この女優さんが見事だったので、これでこの映画のトーンが決まったような感じがした。
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けっこう出番は多かったのに印象が薄い永瀬正敏、元妻の小泉今日子も出演しているが、2人が同じフレームに入ることはさすがになかった。
 長谷川和彦監督の『連合赤軍』の企画はどうなってしまったのだろう、赤軍兵士を演じるには年齢的に無理が出てきたようにも思われるが。
さくらん (出演 土屋アンナ)
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さくらん ~花魁音楽画巻~
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