2009年 アメリカ 〔ドラマ〕 152分

○監督・脚本 : クエンティン・タランティーノ

○出演 : ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、ダニエル・ブリュール、イーライ・ロス、ダイアン・クルーガー、ジュリー・ドレフュス ほか



≪あらすじ≫

1944年6月、ドイツ占領下のフランス。

映画館主のミミューはドイツ軍の英雄フレデリックに言い寄られ、

挙げ句にナチスのプロパガンダ映画を

プレミア上映させられることになった。

その事実をつかんだイギリス軍はナチス諸共映画館を爆破すべく

アルド中尉率いる“イングロリアス・バスターズ”を動員し、

スパイのブリジッドと接触を図らせる。

一方ナチスでは“ユダヤ・ハンター”の異名をとるランダ大佐が動き出し…。

(quotation from goo映画)



≪レビュー≫★★☆☆☆

ナチス占領下のフランスを舞台に、

アメリカ系ユダヤ人を中心に構成された

連合軍の特殊部隊“バスターズ”と

家族を殺害されたユダヤ人の少女が

それぞれ別計画でナチス壊滅を目論む姿を描いたもの。

イタリア映画『地獄のバスターズ』にヒントを得ているそうです。


“面白さタランかったら、全額返金しバスターズ”なる

返金キャンペーンを実施し、

よほどの自信作だと思われた本作。

5章立ての脚本はよく練られ、皮肉、毒舌、遊び心たっぷり。

タランティーノ監督らしい凝りようで

最後まで飽きることなく観ることができました。


中心人物であるアルド中尉、ショシャナ、ランダ大佐を演じるのは

それぞれブラッド・ピット(米)、メラニー・ロラン(仏)、

クリストフ・ヴァルツ(独)という国際色豊かな顔ぶれ。

キャラクターと同じ言語を母国語とする俳優を集め、

実際、劇中で英語、フランス語、ドイツ語等が飛び交うのが

斬新で面白かったです。


特にクリストフ・ヴァルツは素晴らしく、

冷徹で嫌味っぽく、有無を言わせない存在感が

全体を引き締めていたように思います。

一応主演はブラッド・ピットですが、

彼を食ってしまっていました。


そういう諸々に鑑みエンタテインメント性は高いと思うものの、

個人的にはタイプでない作品です。

ヒトラーやゲッペルスら実在の人物、

ホロコーストという痛ましい史実を織り込みながら、

それを完全に脚色し、ブラックユーモアで包んでいるこの感じが

好きになれません。

その辺を割り切って楽しめないのは

私の頭が固いんでしょうけどあせる


随所にこだわりを感じる緻密なつくりで

出来はなかなかだと思われるこの作品。

その場では楽しめますが後に残るものはなく、

意外なほどあっけないラスト等、大味に感じる部分も。

好みが分かれそうですが、

自分としては★2つです(2.8)。



<公式サイト>

http://i-basterds.com/