2008年 アメリカ 〔ドラマ〕 122分

○監督・製作 : ロン・ハワード

○脚本・原作・製作総指揮 : ピーター・モーガン

○出演 : フランク・ランジェラ、マイケル・シーン、ケヴィン・ベーコン、レベッカ・ホール、トビー・ジョーンズ ほか



≪あらすじ≫

ウォーターゲート事件で失脚したニクソン大統領。

その辞任中継の視聴率の高さに目をつけた

人気テレビ司会者・フロストは、

ニクソンへの1対1のインタビュー番組を企画。

ニクソン側も扱いやすいフロスト相手のインタビューを

名誉回復の機会ととらえ、

法外なギャラで出演契約を結んだ。

フロストは事件に対する謝罪の言葉を引き出すべく、

ゼルニックとレストンをブレーンに迎え、

質問の練り上げ作業に入るのだが……。
(quotation from goo映画)



≪レビュー≫★★★☆☆(※ネタバレあります)

実際に放映され大反響を呼んだテレビ番組の裏側を、

脚色を交えて描いた作品。


ウォーターゲート事件のことはリアルタイムでは知らず、

世界史で少し習った程度だったのですが、

冒頭で事件の概要が示されたので

すんなり入っていけました。


事件の核心部分を突き、

ニクソンから非を認める言葉を引き出したい

フロスト(M・シーン)と、

フロストをうまくかわして

政界復帰の足がかりをつかみたい

ニクソン(F・ランジェラ)。

それぞれ莫大な借金と前代未聞のスキャンダルという

大きなものを背負っての、後のない戦い。

2人の心理戦はなかなか見応えがあり、

楽しませてくれました。

特に、本番前の数秒の間に交わす言葉が

その後のインタビューの優劣を左右する

大きなポイントとなっていて、興味深かったです。


劇中でも例えられているように、2人の攻防は

百戦練磨の熟練VS新進気鋭の若者の

ボクシングを思わせます。

冒頭からフロストにボディブローを与え、

隙を見せずにそのまま自分のペースに持ちこむニクソンはさすが。

一方のフロストも、

最終インタビュー前にフロストがかけてきた電話にヒントを得、

緻密な情報戦術で巻き返しを図り、

底力を見せてくれます。


また、昔ながらの紐靴をはくニクソンに対し、

当時は斬新だった(はずの)グッチのビットモカシンを好むフロスト。

2人を表す象徴的な小物としてクローズアップされた革靴が

心に残りました。

グッチをうらやましがるニクソンがかわいらしくも思えたり。


ともあれ、昨年の舞台でも同じ役を演じたという主役2人は

息が合っていて、特にフランク・ランジェラは抜群の存在感でした。

際どい質問を受けたときの「間」も良かったです。

あと、久々に見た気がするケヴィン・ベーコンは、

なんだかおじさんになっちゃったなぁと

少しせつないような気持ちになりました。


物足りなかった点としては、最大の見せ場である

核心部分に関するフロストの追及が思ったほどではなく、

意外にあっさりニクソンが謝罪してしまったこと。

それと、ニクソンが「フロストに電話をかけたことは

酔っていて覚えていない」というくだりがしっくりこなかったこと

(このエピソード自体は脚色らしいです。)。


でも、総合的にみてなかなかの作品だと思います。

★3つです。



<公式サイト>

http://www.frost-nixon.jp/