『キリング・ミー・ソフトリー』 2001年/アメリカ/101min
監督:チェン・カイコー 出演:ヘザー・グラハム、ジョセフ・ファインズ


中国の巨匠、陳凱歌監督のハリウッド進出作。


アリスは同棲中のジェイクと満たされた日々を送っていた。しかし彼女は出会ってしまう。それはいつもと変わらない朝、横断歩道でふと視線を交わした男アダム。彼によってアリスはまんまと官能の罠にはめられた。身も心も奪われて衝動的に結婚を。めくるめく快楽の日々。そこに1通の脅迫めいた手紙。次第に募るアダムへの不信感・・。


殺される程の愛に溺れて
LOVE IS BLIND とはよく言ったもの。愛は盲目。アリスはまさに盲目だった。街角でただ視線を交わしただけの男に果てしなく溺れてしまう。瞬時にして深く。アダムと出会い、他の何も見えなくなったアリスは、他人にも己の理性にもBLINDになった。そして初めて彼の本性を疑い始めた時、それは裸足で掛け込んだ警察署、マジックミラーの向こうにアダムの姿を見て怯えながら「ブラインドをおろして!」と叫ぶアリス。LOVE IS BLINDが招いた皮肉な結末。


アダムにとっての愛の形とは
アダム。彼の愛は、ただ少し激しかっただけ。ただ少し人より強すぎただけ。その肉体は激しくとも心は誰より優しかったのかもしれない。けれど盲目に一途な愛は時に人を壊す。脳を、そして感覚を。登山家のアダムは雪山を征服するようにしか女を愛することができない男。平地しか知らない女はついていけない。ふたりは結局、出会うべきではなかったのかもしれない。けれど迸る情熱を、身体は決して忘れないのだろう。


2002.02.24 ワーナーマイカルシネマズにて鑑賞