ダントツで今年の洋画No.1!( ̄▽ ̄)
初めてのインド映画。
といっても純然たるインド映画というより、ニューヨークを舞台にしたインド映画、でしょうか。
奇を衒わず、真っ直ぐに表現しましょう。
ものっすごい面白かった!観てよかった!
と、本作は手放しで評価できます。
笑って泣いて落ち込んでワクワクして感動して、皆に薦めたいヒューマン・エンターテインメント作品です♪
現地では2012年公開作品ですので、長らく時間をおいての日本公開になります。
今年もまだ4か月くらい残っているのであくまで暫定ですが、今年観たどの洋画よりも面白い作品でした。
やっぱり、人間を描くってそれ自体すごい娯楽だと思うんです。
本作はその最たる形だなぁと。
まぁ、どの人もここまでの大絶賛をするかは分からないけど、爽やかな感動が保証された一本です。
自分は基本メジャー作の方が観に行く作品数は多いですし、ハリウッド志向ではあります。
(ミニシアターは年間 の鑑賞本数の1/5くらいだと思います)
それでもミニシアター系の作品も同じように予告をチェックして、観たい!と思ったものは是が非でも観に行きます。
本作は一度予告を観ただけで、絶対に観に行こうと決めていました。
では、その予告をどうぞ。
♪♪映画『マダム・イン・ニューヨーク』予告編
ご覧頂ければ分かるように、意外とメジャーな匂い(もとい、万人が楽しめそうな雰囲気)を感じませんか?
最近インド映画の人気や国際的な評価が非常に高まっているのは御存知でしょか?
etc.
その一旦をこの作品も担っているといっても過言ではありません。
しかし。
それでも本作の日本での公開規模は非常に小さいです。
おそらくこの予告に辿り着くまでに、その『インド映画』というあまり馴染みのないジャンルこそが障壁となるのかぁと思います。
韓国産、ハリウッド産、あとは少しのヨーロッパ産(フランスとかドイツあたり)などの洋画は馴染みがある。
けど、インド…かぁ、という感じで多くの人が興味を持つのがまだ難しいのではないでしょうか。
それはこれからですね。
少しずつ観る人が増えて、ボリウッド映画への需要と供給が比例していく事に期待します。
さて。
その興味を持って映画館に足を運んだとして、次の障壁が『国境』です。
やっぱり映画ってその国独自の雰囲気や空気みたいなものがあると思うので、そこに馴染めないと始まりから終わりまで辛い時間になってしまう可能性があります。
それが自分の思う「映画の国境」です。
具体的に言うと、映画の中のとある出来事やセリフに対して登場人物が笑ったり落ち込んだり怒ったりっていうのが、なぜそこで笑う?怒る?泣く?と理解できなかったり、その基準が見えにくかったり。
セリフでも言葉選びだったり、登場人物達が最後に下す決断や選択だ ったりが、「なんで?」と理解できなかったり。
そういう事なのかなーと。
(だからこそ多分にアメリカナイズされたここ日本では、特にハリウッド映画が幅をきかせているのではとも思います)
もちろん、国産の映画でも物語への共感やキャラクターの感情の変化、主人公の決断などが理解できない作品はあると思います。
しかしこの「映画の国境」というのは、つきつめてしまえば確率の話なんだと思います。
国産の作品にも理解できない作品はある、けど外国の映画はその確率が高いのではないかと。
風習や各国の常識で、知識として分からない部分があっても、そういうもっと根底の部分にある物語の“感覚”みたいなものって、制作サイドがある意味当たり前のように作っているはずなんです。
その当然のように作品に反映されてる空 気や常識という障壁を越えられて、初めて楽しい楽しくない、面白い面白くないが判断できるんだと思います。
その辺り、本作について言うとなんだか感覚が近いのか、はたまたこの映画がたまたま日本人にもとても親しみやすい空気を出してるからなのか、非常に映画に“ノッて”いけました ( ̄▽ ̄)
主人公のシャシが嬉しい時には一緒に嬉しくなり、落ち込む時は一緒に落ち込み、憤る所は一緒に憤慨できる。
それが物語の一部分ではなく、全編を通して一貫しているのです。
変な言い回しですが、脚本家が主人公を落ち込ませたいと思って作ったエピソードや笑わせたいと思って用意したエピソードが、どれも共感しやすいんですね。
英語教室に通う決定的なシークエンス─────ニューヨークのカフェでうまく注文できないところなどは特にそうですね。
あとは、落ち込んだ主人公を励ます姪の優しさや励ましを含む言葉だったりも非常に共感できます。
それでは、自分が強くオススメする本作のあらすじをご紹介!
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■『マダム・イン・ニューヨーク』あらすじ
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主人公・シャシは、二人の子供と忙しいビジネスマンの夫のために尽くす主婦。
料理もできて優しく、美人でユーモアもある。
彼女が作るお菓子「ラドゥ」は大好評で、周りからの信頼も厚い。
そんな彼女の最大の悩み─────それは、家族の中で自分だけ「英語」ができないこと。
今の時代、インドでは多くの人が英語が出来て当たり前。
事あるごとに夫や子供たちにからかわれ傷つき、落ち込み、更に娘の親子面談に同行した結果「今時英語ができない母親なんてお母さんくらいしかいない!」と言われてしまう。
娘に恥をかかせた事も、そんな娘の心無い一言も含め、日に日に彼女のコンプレックスは強くなっていくばかり…。
そんなある日、N.Y.に暮らす姉から姪の結婚式の手伝いを頼まれ、彼女は家族より一足先に一人でN.Y.へ旅立つ事になる。
初めての海外─────。
英語ができない彼女は、飛行機内でCAとうまく話せず、入国審査で戸惑い、カフェでコーヒーすら頼めず、すっかり打ちひしがれてしまう。
そんな彼女の目に飛び込んできたのは「4週間で英語が話せる!」という英会話学校の広告だった。
家族はもちろん、N.Y.の姉たちにも内緒で学校に通う決意をする彼女。
仲間とともに英語を学んでいくうちに、夫に頼るだけの専業主婦から、ひとりの人間としてのプライドに目覚め、自信を取り戻し始めていた─────。
ざっとあらすじはこんなところです。
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■物語について
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話として何か「今までにない!」とか「新鮮味がある!」とかそういう作品ではありません。
物語自体は王道を辿りながらも、1人の主婦がだんだんと自分に自信を付けていく話を、ユーモアを挟みつつ丁寧に創り込んだ結果、良作になった────そんな映画です。
一番好きなのは、シャシが通う英語教室の先生と生徒の群像劇。
もうね、どの登場人物もキャラクターが立っていて、そしてその魅力をしっかり活かした脚本になっているんです。
もちろん主人公シャシを中心にした物語ですので、思いっきり前面には出てこないものの、映画をより盛り上げるサイドディッシュ(サブ的なエピソード)として笑いを生み、感動を生んでいます。
・ゲイのアメリカ人先生
・Sっ気のある中国人
・シェフを目指すフランス人
・無口なアフリカ出身の黒人青年
・お喋りなインド人
・ザ・おばさんなスペイン人
・野卑だけど実はイイ奴系インド人
彼らが成長する姿や距離が縮まっていく様子がとっても気持ちよく、そして自然に描かれています。
何かができるようになっていくワクワク感と、それを一緒になって追体験できる素晴らしい演出によって本作が成り立っていると思います。
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■キャスト/キャラクター
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ほんっとこの女優さん、綺麗じゃないですか?( ̄▽ ̄)
シュリ・デヴィさん、なんと50歳!
とてもそうとは思えない。。。
日本で言うところの「吉永小百合」さんのような存在で、インドでは知らない人はいないらしいですね。
70年代~90年代にかけて、コメディからサスペンス、アクション、ロマンスなどジャンルを問わず引っ張りだこの人気女優として活躍していたそうです。
彼女は結婚を機に休業して2児の母として子育てに専念していたんですが、本作のオファーを快諾し、なんと15年ぶりにスクリーン復帰。
「麗しい人」という表現が世の中にはありますが、彼女にはそんな表現がぴったりじゃないかなぁとも思います。
そんな彼女演じるシャシは息子と一緒に定番のおふざけネタがある設定でして、それがなんと、かのマイケル・ジャクソンのモノマネ(笑)
MJの「Pow!!!」というのを二人でふざけてやるんですが、それがやや崩れた…というかとっても下手っぴで、その愛嬌のあること!
家族同士のネタなので、似てる似てないではなく、なんとも楽しそうな雰囲気が伝わってくる訳です♪
あと、シャシがN.Y.へ向かう飛行機の中、CAとの会話や初めての飛行機で戸惑う中、隣に座る男性が英語の翻訳や機内の説明など、ひじょーーにコミカルにシャシのサポートをしてくれます。
それがこのシーン!
♪♪Amitabh Bachchan's Courteous Behaviour With Shashi - English Vinglish
この助けてくれる面白ジェントルマンはインドの映画俳優、映画プロデューサー、歌手でアミターブ・バッチャンという方です。
第81回アカデミー賞で作品賞を含む8部門を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』で、劇中の登場するクイズ第一問目の正解回答が「アミターブ・バッチャン」でしたが、それはまさにこの人のこと。
スラムドッグ~を観ていた時は「まぁ、インドで有名な方なのかなー」くらいに思ってましたが、有名も有名超有名(笑)
インド版「クイズ・ミリオネア」の初代総合司会者だそうです。
数年越しに本作でそのビジュアルにお目にかかれて、ちょっと興奮しましたw
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■音楽/ミュージカルシーン
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音楽、よかったですねぇ♪
非常に馴染みやすいメロディや歌詞で何度か挿入歌が挟まれるんですが、その時の主人公の状況や心情を表現した歌詞になっており、おそらく映画オリジナル用に、且つ、それぞれのシーンで使うために書き下ろされているんじゃないかなと思います。
そして、インド映画の最大の特徴といえば、そう「ミュージカルシーン」!
ただ、本作のそれは非常に要素として薄いというか、シーンの中から突然誰かが歌いだすというようなものではありません。
パーティの前日、音楽をかけながらの準備中、段々と皆も楽しくなり、気付いたら前夜祭のように皆で楽しく歌い踊るというような自然な形で挿入されています。
自分はミュージカル映画が大好きな方なので、そこだけは少し物足りなかったですが、ミュージカルが苦手という方には朗報じゃないでしょうか。
すんなりとヒューマンドラマに浸る事ができます♪
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■あとがき
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土日や祝日に何か楽しい予定があるとしましょう。
最初はどこどこに行って、次はあそこに行って、最後はここにいって。
どんな予定も(ノープランな日じゃなければ)そのあとの楽しみがあったりして、次のところへ遊びに行こう、次のところへ食べに行こう、次のところへ観に行こうとなると思うんです。
しかし。
実は『マダム・イン・ニューヨーク』を観た日は、その次にもまた他のを観に行こうと思っていたんですが、本作を観たせいでその日一日分の満足を得てしまったというか(笑)
この気分をこの後の別の作品で変えちゃうのも勿体無いなと思い、そのまま直帰(笑)
自分なりにこの作品にどれほどの満足感が得られたかを表現すると、そういうことです♪
初めてのインド映画、本作から入ってみてはいかがですか?(^ν^)
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■予告編
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