№23

日付:2007/10/27

タイトル:クローズ ZERO

監督:三池崇史

劇場名:小田原コロナシネマワールド シネマ1

パンフレット:あり(\600)

評価:★★★


私の世代で不良高校生達のやんちゃな日々を描いた作品の代表格といえば「ビー・バップ・ハイスクール」な訳で、きうちかずひろ氏が喧嘩上等の日常をちゃんと描いていたうちは実に面白かった。当時私の地元福岡では、リーゼントじゃない不良なんてただのシャバ僧しか考えられなかったものです。


ところが原作の人気にあやかって清水宏次朗&仲村トオルのコンビを起用して実写化された映画版はというと、悪ガキ高校生のリアルな日常から離れ”青春映画”化したことにより、実につまらないものになってしまった。


彼ら不良学生の「リアル」さと「凄み」の体現と、映画自体が決してヤクザ映画もどきに陥らないだけの節度(基本は”ガキの喧嘩”なんですから)、この双方を映画で両立させるのはとても難しそうです。「日常をリアルに」と書きましたが、映画という表現方法の中でのリアルさは、現実世界のそれよりも1~2段高いテンションが必要になる訳ですし。


ちなみに私が個人的にシビれた”不良のケンカ”映画№1はというと、「ウォリアーズ」(ウォルター・ヒル監督)。やっぱ物騒な国は迫力が違いました(笑)。邦画なら井筒和生監督の「ガキ帝国」も良かった(こういう映画は時代性にも左右される為、今観てどうか判りませんが)。この手の映画はスクリーンから危ない香りを漂わせる事が出来る監督でなければ務まらないと思います。


三池崇史監督作品、初めて観ましたがテンション高いです。危ないオーラを十分に漂わす事が出来る監督のようですが、作品自体は”日常のリアル”さではなく非日常的な疾走感溢れる作品でした。悪ガキを演じる若手俳優達はどれも生き生きとスクリーン狭しと暴れ放題、いっそのこと大人全員と女子を排除しちゃえば良かったのにとも思いましたが(特に女子の扱いが実に中途半端で青臭いです)、原作を未読なのでその世界観全ては把握できていません。


原作のファンと小栗旬目当ての女子だけに独占させておくのは少々もったいないと感じました。


クローズ ZERO
クローズ ZERO

驚いたのは鈴蘭男子高最強の男、芹沢を演じる山田孝之。底知れない芸域の幅を感じました。


 

クローズ ZERO
クローズ ZERO

やっぱりこういう映画を観ると血湧き肉躍ります。きうち氏自らメガホンを取った「BE-BOP HIGHSCHOOL」や井筒和生監督の「岸和田少年愚連隊」あたりも観てみたくなりました。