珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
病院坂の首縊りの家  1979年(昭和54年)



 明治から戦前まで隆盛し、今は廃屋となっている法眼家での生首風鈴殺人事件に端を発しての連続殺人事件。次々とあばかれていく呪われた運命の糸にあやつられた怨念に満ちた複雑な人間模様。波乱のストーリー、意外な人物関係、息を呑むスリルとサスペンス。金田一耕助最後の、そして最大の難事件・・・。


 市川監督、石坂金田一シリーズの第5作で最終作品。原作の金田一耕助にとっても最後の事件となった「病院坂の首縊りの家」は、横溝作品中最長の超大作。原作の複雑異様な人物関係を映像化するのに苦心したという市川監督は、「本なら読み直したりして頭に入れていくこともできるが、映画としてはまさにやりにくい種類に属する。横溝さんの個性を損なわないように、複雑なストーリーをいったん簡単なものに解きほぐして、できあがった映画ではまた複雑に見せなければならない。勉強にもなる、やりがいのある苦労でしたが」と、語っている。


 本作のクレジットタイトルは前4作と異なり、あの有名な


  監       石

  督      

      崑


ではなく普通のクレジットタイトルだったのが逆に印象的でした。でもなぜか加藤武だけ

    加 藤

         

になっていたのが不思議でした。また、バックに流れるジャズの音楽がすごく良かったことも印象に残っています。

 この作品もシリーズ中では、不評が多い作品だと思いますが、私はかなり好きな作品です。最終作品ということもあるかと思いますが出演者全員がのびのびと演技しているように見え、全5作中、私は一番気楽に観れる作品です。しかし、内容(特に人物関係)はかなり複雑なので一度観ただけでは理解できませんでした。


 出演者では、草刈正雄の役が面白くて良かった事、そして、難しい二役を演じ、劇中で見事な歌声を披露してくれた桜田淳子が、ものすごくキレイで最高に良かったと思いました。また「犬神家」のあおい輝彦と小沢栄太郎や、8年ぶりの映画出演、佐久間良子と『椿三十郎』以来12年ぶりに復帰した入江たか子の出演など、最終作品を飾るにふさわしい出演者だったと思います。



珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・

珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
桜田淳子、佐久間良子、清水綋治、小沢栄太郎、河原裕昌(現、河原さぶ)

              三条美紀、加藤武、岡本信人、石坂浩二、草刈正雄

      


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・

珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
(金田一耕助)石坂浩二、(法眼弥生)佐久間良子


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
(法眼由香利?山内小雪?)桜田淳子


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
(本條直吉)清水綋治、(日夏黙太郎)草刈正雄


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
                (吉沢平次)ピーター


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
(山内敏男)あおい輝彦、(山内小雪)桜田淳子


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
(山内冬子)萩尾みどり、(風鈴工場の娘)草笛光子


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
              (加納巡査)大滝秀治


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
(古本屋、野呂十次)三木のり平



珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・

珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・

珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・

珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
撮影終了記念撮影。

砧(きぬた)の東宝撮影所広場にて。