「エクソシスト」や「ヘルハウス」が公開され、スプーン曲げをやるインチキ手品師がやって来たりした1970年代。
後半に差し掛かってもオカルトブームが続いていましたが、そんな中、”パラサイコシリーズ”と銘打った3作品が公開されました。
その1作目がかの有名なブライアン・デ・パルマ監督の「キャリー」です。
続いて「家」、「オードリー・ローズ」
.......ここまで知ってる人は少ないかもしれません。とにかくどんどんマイナーになっていきます(笑)
そして、そんなオカルトブームの同じ夏に公開された日本映画がこれ。
「HOUSE ハウス」(1977年/東宝)
監督:大林宣彦
脚本:桂千穂
出演:池上季実子、大場久美子、松原愛、神保美喜、南田洋子 他
洋画が「家」で?
邦画が「ハウス」?
こりゃまた恥ずかしい便乗映画なんだろうなぁと思ってたら、こいつが違いました。
確かに洋画”パラサイコシリーズ”の「家」も、家が人間を食う話なんですが、こっちの方は、首や手が宙を舞い、血しぶき飛び散るスプラッターなのに、絶妙な編集(コラージュと言った方がいい)でコメディに変換されており、「飛び出す絵本」で「不思議の国のアリス」を見ているような感じになってます。
物語は、夏休みに田舎の伯母さんの家に遊びに行った7人の女子高生(女子大生?)たちの体験で、登場人物の名前がオシャレ(池上季実子)、ファンタ(大場久美子)、メロディ、マック、クンフーなど、完全に童話の世界。
彼女らを出迎えた伯母さん・南田洋子は、荒れ果てた洋館に住んでいて車イス生活をしています。
池上季実子らは手分けして掃除や食事作りをするのですが、そのうちに1人の姿が消えてしまいます。
そしてまた1人......
女の子が消えるたびになぜか伯母さんは元気になって行き、車イスに座っていたはずがいつの間にか歩けるようになり。
ネタバレしてしまいますと、
実は伯母さんはとっくに死んでいて、姿を見せているのは生き霊だったんです。
そして、秘密を知ってしまった女子高生たちとの戦いが始まります。
監督の大林宣彦はこの作品が劇場映画デビューで、長らくCМを撮っていた人。
15秒だか30秒だかでインパクトあるものを見せないといけない世界にいただけあって、目まぐるしく場面が変わり、切り貼りしたような独特の特殊効果がいい感じです。
「写真が動く事が映画の原点」だと言うだけあります。
ちなみに
本家ハリウッドの「家」は
何ともコメントしようがない駄作で(笑)
大林宣彦は、日本の映画監督ではおそらく、撮影所の出身ではない最初の人だと思います。
この映画の成功が今日の基になっていますね。