観劇記・『ベター・ハーフ』 | 5番の日記~日々好日編~

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よってテーマは剛柔バラバラです。



作/演出:鴻上尚史
出演は4人だけ。風間俊介、真野恵里菜、中村 中、片桐 仁

鴻上さんの書き下ろし新作『ベター・ハーフ』

ベター・ハーフとは、自分が必要とする、もう1人の事。
ギリシャの古い考え方で、天国でひとつだった魂は、この世に生れる時に男性と女性に分けられて別々に生まれて来ます。
だから、現世で天国時代のもう片方の自分に出会うと、身も心もぴたりと相性が合うと言われ、その相方をベター・ハーフと呼ぶそうです。

「久しぶりに登場人物の少ない、たっぷりな恋愛物を書いてみたくなりました」
という鴻上さんのコメントが全て。


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インターネットで知り合った女性に、自分ではなくイケメンの部下・風間俊介の写真を送ってしまった片桐仁。
おかげで見知らぬ相手とデートする羽目になったしまった風間俊介ですが、約束の場所にやって来た相手・真野恵里菜も実は身代わりで、実際に片桐仁とネットでやりとりしていたのはトランスジェンダー(性同一性障害)の中村中でした。

この本物と代理の4人がくっついたり別れたりの恋愛模様が延々と繰り広げられます。
それぞれが、それぞれのベター・ハーフを探し求める物語。

第三舞台からの流れを汲むお馴染みオープニングのダンスシーン~前半はギャグが多いコメディ調、後半に向けて緩やかにシリアスになっていきますが、これまでの鴻上作品とは180度違って非常にストレート。

わかりやすすぎ。

ここ最近、再演ものかネット社会の話ばかりが続き、「鴻上さんもネタ切れか?」と思ってましたが、久々の書き下ろしは作風も演出もかなり変わってました。
連ドラの脚本を担当されてたので、同じく最大公約数向けに舵を切ったのでしょうか。

悪い事とは思いません。いまだに第三舞台に固執しているファンだけに向けた舞台を作り続けてもしかたないですからね。
売れてナンボ。この舞台はたぶん好評なはず。
ハロプロの真野恵里菜に「フェラ●オ」と連呼させただけでも歴史に残るでしょう
(;^_^A


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世の中で起きる自分の力ではどうしようもないものの1つが「恋愛」
たかが恋愛、ですが、人間関係や人格、経済も含め、人生の全てがそこに入ってます。
だから難しい…今流行りの医療ドラマや警察ものの話はそれなりに調べれば書けますが、恋愛ものだけは未経験者には書けませんし。

この作品のテーマになっている「ベター・ハーフ」
自分のベター・ハーフに出会った人、
たまたま出会った人をベター・ハーフだと思って過ごしている人、
出会ったけど、ベター・ハーフには恋人がいた人、
ベター・ハーフをまだ探している人…

人生色々。それはまぁ、悪くないんじゃないか?
と言う事ですね。


今回のチケットは、サンケイホールブリーゼの何と最前列の真ん中で。
芝居というのは、本当は「とちり席」と言われる席が良いんですが(前から順に“い・ろ・は・に・ほ・へ…”で、「とちり」は7列目~9列目)、ここまで近いと舞台全体が見えない…

あ、贅沢言っちゃいけませんね
こういう席はめったに当たらない。