この夏扇風機が壊れた。
生前母が使っていたものを譲り受けたものだった。
まだ夏盛りのころだったので、ホームセンターに見に行った
色んな種類がありどれにしようかと迷ったけど、一番安いのは昔と値段が変わらないのに驚いた。
私が小学生のときうちは母子家庭となり貧しかった。
その頃はまだエアコンが在る家はほとんどなく、私の家は扇風機もなかった。
寝る前はうちわであおぎながら眠りについたものだった。
ある日学校から帰ったら近所のおばさんが家にきていた。
さほど親しくしてたような人ではなく母も滅多に人などあげなかったから驚いたのを覚えている
その人もまた母子家庭だった
何の話をしていたのかその人は虚ろな目で遠くを見ていた。
そして突然扇風機が家にやってきたのだ。
聞けばこの前きていたおばさんから使っていた扇風機を1000円で買ってほしいといわれてて承諾したらしい。
扇風機のおかげで涼しく過ごせるようになったけど、あの親子はこれから暑くなるというのにどうやって過ごすのだろうと
子供心に心配したのだった。
新しい扇風機は静かで風も優しい、そしてエアコンもある。
快適に過ごせる今を母に伝えたいと写真に手を合わせる。