先週と先々週、トマティスのCAVという発声のワークショップに通っていた。


トマティス


「耳をよくすることで、声をよくすることができる」

というトマティス博士の理論のもとにできたこのメソッド。

昨年の10月に耳のトレーニングを終えて、

やっとやっと念願の発声トレーニングを受講することができた。


このメソッドにたどり着いたのは「なんとか声をよくしたい」という想いからだった。

研修所のどの授業でも「通らない声」「声が小さい」「何を言っているかわからない」

そう言われ続け、毎日発声練習をしたり、

ネットで声のことについて調べたり、

なぜ自分の声が小さいと言われるのか、通らないのか、

通る声はなんなのか、そもそも声ってなんなのか、

いろんなことを知識として取り入れ、試してみても、

結局言われることは「声が小さい」や「声量が足りない」だった。


原因を知りたいと思って、声の専門家と呼ばれる人に尋ねていったこともある。

でもそこで言われたのは「あなたは側弯症(背骨が曲がる病気)だからダメ」

というようなことだった。


声がダメと言われることで、自分の病気のことや、自分の存在を否定されたような気持になったし、

研修所を卒業するまでには「声が命」と呼ばれる俳優という仕事は自分には向いていないのだ、

とまで思うようになってしまっていた。


辛かったし、悲しかった。


でも四日間トマティスのCAVを受けて、

声に関するすべての謎が一気に解けていった!


まずは身体の使い方。

アレクサンダーテクニックのレッスンでも指摘されていた、

首が後ろに倒れる癖。(顎が上がっている状態)

そして首が前に出ている状態。(首が長いのでコントロールできていなかった)

この癖がわたしの本来の声を出すことを阻害していたらしい。


インストラクターの日原先生には

「あなたの声がダメなんじゃないの、あなたの首の位置がダメなのよ」

と言っていただいた。


「声がダメ」とわたしはずっと思いこんでいたけれど、

実は身体の使い方がよくなかっただけだったのだ。

そう考えると、「側弯症だからダメ」と指摘したあの専門家の人も、

側弯症だから身体の使い方が人と違うよ、と言いたかったのかもしれない。



あとは横隔膜の使い方。

お腹から声を出すということが具体的にどういうことなのか、

実際に日原先生を身体を触らせていただいて、

理解することができた。

ふわふわした印象の声は、

横隔膜をきちんと使えていなかったことが原因だった。


そして鼻腔共鳴。

ちょっと鼻に抜けたような印象の声は、

鼻腔共鳴が原因だった。

お腹から直接口に息が流れているイメージで声を出すとうまくいく。


他にもいろいろ。

セリフが相手にかかっていない状態や、

朗読の癖や、

悩んでいたものの原因のすべては具体的に存在するのだ。


演出家や講師の方にダメ出しをもらうと、

それを根性とか精神論でなんとかしようしていたけれど

(たとえば伝わらないと言われたら、力を入れてがんばって伝えようとする。とか)

実はもっと理論的な解決方法があるのだ。

それをいち早くみつけることが芝居を上達させるコツなのかもしれない。



とにかくCAVを受けていろんなことがつながってきた。

同時に三年間声のことで悩んで、苦しんでよかったな、とも思えた。


もし声がコンプレックスじゃなかったから、

こんなに声について深く追求していなかったはずだから。

「短所は長所」と日原先生は言ってくださったけれど、

これからは、短所だと思っていた自分の声を長所に変えたい。


でも、一番大切なのは、

「自分の身体を愛すること」

「自分の声を愛すること」

「自分自身をそのまま愛すること」


自分を愛で満たして、その溢れた愛で人に接すること。


一日も早くそれができるように、

これからも日々修行です。