さて、スウェーデンからフィンランドへの移動と相成りました。
この移動手段に関しては北欧関連のガイドブックの全て(たぶん!)でご推奨状態なのが、
フェリーの利用ではなかろうかと。


それもストックホルム~ヘルシンキの航路を行くタリンク・シリヤ・ラインが
必ずと言っていいほど紹介されてますね。


両国を結ぶ航路にはも一つヴァイキング・ライン(現地的にはヴィーキングだったような)があって
二社競合状態にあるにも関わらず、ほぼ間違いなくタリンク・シリヤ・ラインが紹介されるのは、
競合とはいえ実際にはヴァイキング・ラインがいささか見劣りするのかも知れません。


まあ、見た目もまっ白いタリンク・シリヤ・ラインがとてもスマートな印象であるのに対して、
ヴァイキング・ラインの赤はちと野暮ったいふうでもあろうかと。


Viking Line


されど個人的にはいささかへそ曲がりなたちでもあり、迷わずヴァインキング・ラインを利用することに。
そして航路もストックホルムから直接ヘルシンキを目指すのでなくしてトゥルク行きに乗船しますと、
およそ日本人を見かけることがない…やはり皆タリンク・シリヤのヘルシンキ行きにでも乗ってるのでしょうか。


とまれ、時間を少々巻き戻して、ストックホルム中央駅の上にあるバス・ターミナルから始めます。
このターミナルにはヴァイキング・ラインのカウンターがありまして、
フェリー・ターミナルへの連絡バス乗車券の購入すると、

フェリー自体の乗船手続きも一緒にやってくれるのですね。


バスは出航時刻20:00の1時間25分前に出発します。
中途半端な時間ですけれど、おそらくはフェリー・ターミナルに出航の1時間前に

到着することからの逆算ですね、きっと。


というわけで、バスを降りるともはやボーディング・パスを持っておりますから、
そそくさと乗船して…と思いましたら、そうはスムーズに行かないようで。

皆考えることは同じなのか、

トゥルク行きの船は3番ゲートからと知るや続々と人が並んでいくという。


いったん並んだものの一向に列が動かないので、フェリー・ターミナルをひと回りしようかと思っても、
いつの間にやら後ろにずらりと通路幅いっぱいに並んだ人で進退極まった状態。

ひたすら乗船を待つしかないということに。


とにかく「船ってこんなに乗るんだなぁ」という行列ですから、

ゲートは45分前くらいには開くかな…開かない。
30分前ってのが妥当なところかな…開かない。


結局、出航20分前に山のように荷物を抱えた人々が
怒涛のように船に雪崩れ込んだという形容がぴったりでありましたよ。


飛行機なんかと違って、持ち込み荷物が本当に大きくて大きい。
それぞれのキャビンまで移動する船内エレベータがまた大混雑。


幸いにして自分自身の客室はボーディング・ブリッジのひとつ上の階でしたので、階段であがりましたが。
まあ、こんなばたばたがタリンク・シリア・ラインの方ではもそっとスムーズに行ったりするとしたら、
そりゃあ評価は上でしょうねえ。


とまれ落ち着いた先はこんな客室でありまして、本来ここは4ベッドルームなんですが、

一人で入ってちっさいビジネスホテルの雰囲気。


4ベッド・キャビン


窓なしの内側に向いた部屋はやはり安いのですけれど、

せめて朝起きたらまず日の光を拝みたいものと外側にしました。


と、部屋に入っていささかリラックス…とくつろぎかけたところに、
どうも部屋のドアの取っ手ががちゃがちゃとうるさい…。


出航間際でまだまだたくさんの人が狭い通路を右往左往している状況でしたから、
危ないこともなかろうとドアを開けてみますと、

バックパッカーの外人女性(こちらの方が外人か?)が戸惑い顔。


それもそのはず、その人が出したボーディング・パスには

まさにその部屋番号が書かれていたのですね。


ただ、ボーディング・パスそのものがルーム・キーになってますから、
自分のでは開いたのに彼女のでは開かない…ということは、

彼女のボーディング・パスが何かおかしいということに。


彼女の方でもすっかりくつろいでるふうの外人(これは自分のことですが)が

すでに荷解きしている様子を見て、早速に通路にいた案内係を捕まえて

何とかしてくれろと話を始めたようす。
いやあ、怖そうなおっさんでなくってよかったよかった。


ところで、トゥルク行きの船はストックホルムを20時に出航して、トゥルク到着が翌朝7時。
ですが、スウェーデン、フィンランド間には時差が1時間ありますので、

トゥルクの7時はストックホルムの6時なんですね。


北欧ガイドブックでは、いろんなお楽しみのあるクルーズを満喫しよう!

みたいな紹介になってたりしますけれど、個人的には寝ることが第一義でして、

寝ている間に運んでくれる、ああ何とありがたいと思っていたわけです。


もっとも、最初から船内のお楽しみ(レストランで食事をし、ショーを見ながらカクテルを傾け…とか)を

求めるならばやっぱりヘルシンキ行き(16時30分発翌朝10時10分着)くらいの時間がなくてはですよねえ。


…ということで船内の様子を紹介するような要素の持ち合わせもなく、
食事も貧相ながら持ち込んだものでそそくさと済ませたのでありました。
(ただし!売店ではアルコール度数5%のいわゆるビールを買えましたですよ、ようやく)


とうに出航し、売店でビールを買って食事も済ませ…ということで、夜の10時くらいになった頃でしょうか、
階上のオープン・デッキに出てみますと、全く波もないような海をしずしずと船は進んでおりまして、
ちょうど日が落ち切る頃合いでありました。


バルト海に日は落ちて…


船内はまだまだ賑わいの最中でしたけれど、
翌朝トゥルクに着いたら着いたでやりたいことはいろいろあるので、
しっかりと睡眠をとるべく部屋に戻ったのでありましたよ。


そうして、船はバルト海を行く…。


船はバルト海を行く…