ちょっとばかり「塩」の話題 になりましたので、

かるぅく探究とばかりに絵本をひとつ手にとってみたのですね。
「世界を動かした塩の物語」という本です。


世界を動かした塩の物語/マーク カーランスキー


まずは「塩」とはなんぞやから入るのですけれど、

「塩とは塩化ナトリウム、すなわち塩素とナトリウムの化合物である」
ということでして、さすがにこれくらいは、理科がからっきりできなくても知っているわけです。

が、なにぶん絵本ですから、塩素のこともナトリウムのことも説明してくれるのですよ。


塩素・・・・・・猛毒を発する気体
ナトリウム・・・・・・変化をおこしやすく、かんたんに発火する金属


えっ?猛毒と発火?!
知らなかったぁ・・・

きっと化学をちゃんと勉強してきた人には何でもないことなんでしょうけれど。


猛毒と発火と聞いて、「あの、塩が?!」と思ってしまうこと自体、

もはやお子様同然の知識というべきでしょうが、
その猛毒と発火が化合物として安定的に結び付いたものが「塩」というわけで、
もはや毒も爆発もないということでありました。

そりゃそうですよね、魚の塩焼きなぞは火がぼうぼうですけど、料理に支障はありませんから。


というようなものでありますけれど、体の中にはこの塩の成分が入っているわけでして、
たいたい普通の大人で250グラム(食卓塩の小ビン2本半くらいだそうで)の

塩分を持っているそうなのですね。

で、これが常に消費されるので、これまた常に補い続けなければならないと。


このように人間に絶対的に不可欠な代物でありながら、

現代ほどに製塩技術が進んでいない昔むかしには「塩」は大変な貴重品であったというわけです。


紀元前250年ごろの中国でのお話が紹介されています。
今でいう四川省のあたりで地下に濃い塩水溜りが発見され、

これを組み上げよう穴をほっていくと、穴から火が噴き出したり、爆発がおきたり・・・。


当時の人たちは、てっきり地下の大事な塩を龍が守っているのだと信じたような、の、で、す、よ。

おお、やっぱりここでも龍(ドラゴン)が塩を守っていたか!!
洋の東西を問いませんなぁ。
(爆発の正体は、天然ガスだったらしいですが・・・)


ところで、塩の貴重さの証しという点では、こんな話もありました。
フランス王の食卓には「ネフ」と呼ばれる船の形をした飾り容器が置かれていたそうなのですけれど、
この中身が塩だったということなのですね。


貴金属で作られたという、この特別な容器がいつも王の食卓に置かれていたのは、
船が国家を表し、そこに入った塩が保護と健康のシンボル、

つまりは健康な王によって守られる国の安定を示すものであったということです。


また、アメリカの独立戦争も実は塩がらみだったとか、

インドの独立運動の幕開けも塩がらみの話だとか、
今やスーパーでもコンビニでも簡単に手に入る「塩」ではありますが、
絶対的必需品なだけに歴史的にエピソードには事欠かないようなのでありました。


あ、簡単に手に入ると言いましたけれど、さすがに日本の塩自給率15%というのは、
食料自給率と同様に考えておかねばならんことではないでしょうかね。