海豚になった日 | らおぱんと呼ばれて

海豚になった日

ああ、一夜明けてまだ筋肉痛が、、。

何があったって、、昨日のことなんですが、、、。

実は例の 子供とプールに行く約束をしてしまったんですよ、、。

最初は曜日を一日早めに感じていて、昨日が土曜日かと思い不覚にも昨日の午後遅くと約束してしまいました。
後になって金曜日だと言うことに気が付いたのですが、あまりにも暑いので、

"まぁ、いいか、仕事を早めに終わらせて、4時ごろからでも泳ぐか、、"

と思って"約束"をそのままにしていたのですが、、、。

そしたら2時ごろに来ちゃったんですよね、、海パン一つ持って。

そこから先は大変でした、早く行こう、すぐ行こう、、と騒ぎまくって。

仕方なく、予定をすこし早めることになったのですが、問題はこの子が昨日に限って海パンだけしか持ってきて無いことです。

浮き輪と水中眼鏡はどうした?と訊くと家にある、、と言うので、一旦取りに帰るのも面倒なので、プールの近所にあるコンビにで買うことにしました。

さて、私のいる花園(マンション)にはプールが無いので、少し離れたところの花園まで泳ぎに行くことになります。昨日は3時過ぎごろにその花園に着きました。

近所のコンビ二には水中眼鏡はありましたが、浮き輪はさすがに購入できませんでした。いくらプールが近所にあるといっても、海の家とはわけが違いますので仕方がありません。

プールに行くと、ちょうど管理員が門を開けているところです。

良いタイミングだったので、"ほら見ろ、いくら早く来たってプールは開いてない"と改めて諭しました。(実は私も初めて知ったのですが、、)とりあえず花園の管理所でプールのチケットを購入し、サウナと兼用の脱衣所で着替えて、銭湯みたいにロッカーの鍵を手首につけてプールに入りました。

近所に市民プールもあるのですが、そこは人が凄いので、値段は倍以上しますがゆったり泳げるこのプールに昨年から来ています。今年は昨日が初泳ぎとなりました。


らおぱんと呼ばれて-プール

問題はここには子供用のプールが無いのです。

2箇所ほど浅い場所があるのですが、一つは扇状の緩やかな段が出来ていて、プールに入るところ。もう一つは上に屋根がついたところの下が3畳ほどのフラットになっていて、休憩場所として仕切った2方が温泉みたいに、水中で腰掛けられるように出来ています。他はすべて同じ水深で1.3mです。

ちなみにこの子は身長が1.2mも無いので、昨年最初に入ったときに、この休憩場所から知らずに踏み出し、一気に水没しました。

それ以来、浮き輪を装着しないとその場所から一歩も出なくなったのです。

そういうわけで、浮き輪が無い以上、その休憩場所にまるで湯治みたいに浸かったまま、腰掛けて動かなくなりました。

こお言う場合、人が少ないというのは返って不便です。

特に入り始めてしばらくは、他に中学生ぐらいの子供が4人ぐらいしか泳いでいません。気分はプライベートプールみたいですが、さすがに水に浸かった人様の子をほったらかして泳ぐわけにもいかないので、私も仕切りを隔てたその子の傍で、直立に浸かったまま思案に悩みました。

とりあえず座りっぱなしの状態から引きずりだすか、、と思い、腰掛の背もたれになっている仕切り越しに深い方側から手を伸ばして、抱いててあげるからこっちへおいでと呼びかけました。

それでも出て来ようとしないので、"お父さんみたいな事しないから、、"と言ってやると"本当だね?"と言ってやっと出てきてくれました。

昨年、この子のお父さんが後から来て、浮き輪をつけた状態で一緒に深い方へ出ていったのです。とても微笑ましい光景だったのですが、真ん中あたりで突然浮き輪を剥ぎ取られ、強制的に水泳の自己習得訓練を受けさせられていました。

まあ、そんなことしても泳げるようにはならないですよね、かえってトラウマになるので逆効果だと思います。

もっとも私の親父はそれに近い方法で、泳げるようになったと聞いています。なんでも子供のころ曾爺さんに釣りに誘われ、二人で小船に乗り海に出たところ、いきなり突き落とされたらしいですね。

さすがにプールと違い、必死になるので"気が付いたら泳げるようになっていた、、"とお爺さんから聞きました。本人はそれについて黙して語らずでしたので、どうやらそおいう事が本当にあったのでしょう。

さて、抱きかかえた状態でプールの中ほどへ進みました。こちらの小学校では水泳を教えないそうなので、なんとか基礎だけでもと思い、うつぶせの状態を下から手で支えてけのびの姿勢を覚えさせようとしました。それを覚えたらバタ足、、と順序を追って教えるつもりだったのですが、まず顔を水に浸けることを怖がるので姿勢がつくれない。

結局私にしがみつくことになるので、どうするかな、、と思っていたら、、ふと閃きました。

背中から肩に捕まらせた状態で私が泳いだらどうだろう、、と。

早速試したのですが、先ず背負った状態で平泳ぎをしてみました。息継ぎに頭を上げると顔に当たるかもしれないので、息が切れたら立って背負いの姿勢をとる。
これがうまく行き、喜んでいました。

ちょうど海底少年マリンかトリトンが海豚(イルカ)の背びれに捕まって泳ぐような感じです。

ところが数回やってみるうちに、腕を立てて顔を上げようとしてくるんですよね、、足もちょうど馬乗りになるような姿勢になってしまうわけですが、ほんとにイルカの背中にのるような感じに、、いや、これは見えてたわけではないのでイメージ的にですけど、とにかく肩の方に重さを感じて気が付いたら底が見えるくらい沈んでいました。

慌てて立ち上がってプハっと息を吸うと背中の方でもプハっと聞こえて、続いて猛烈にむせていました。

イルカの背に乗った少年をイメージしていましたが、実際は白鯨のエイハブ船長みたいになっていたようです。

"潜っちゃダメ、、潜らないで、、"と言うので、"腕立てて顔上げようとしちゃちゃダメだよ、沈んじゃうから、、"と言い聞かせました。

その後は顔を上げようとはしなかったようです。その状態でしばらく泳いでから、次は息を止めさせ、やや深度を取って泳いでみました。
ところが最初にそれを試したとき、ずるっと落ちて、振り返ると水中でもがいていました。

慌てて抱き上げましたが、うっかりしていました、息がそんなに続くわけ無かったのです。

そんな感じで途中数分ベンチに座って休みを取りながら、泳ぎ続けました。気が付くと人も増えてきましたので、プールへ入る段のついているところへ移動したのです。

するとその段の縁に捕まって顔を水に浸け、足を伸ばした姿勢で、縁沿いに手で移動するようになりました。それをこちらも潜って見ていると、時々Vサインなんか出してくるじゃないですか、、。

背中に捕まらせて泳いだので、体が水を切る姿勢を覚えたのでしょう。ただ、もがき苦しんでいた時とは違いえらい進歩です。

やがて日が傾いてきたのでプールを出ました。水から上がって気が付いたのですが、体が恐ろしく重たいのです。やはり子供と言えども背中に乗せて泳ぐと相当筋肉を使うんでしょうね、、。ちょうど何とか養成ギブスとか、鉄下駄履いて修行するみたいに。

着替えて携帯をみるとすでに5時半になっていて、その子のお母さんからの着信が入っていました。
電話をすると晩ご飯したくして待ってるからとのこと。

さあ、帰ろうと手をつないで、歩くと"お腹が空いた、、"とぐずるのでしょうがないから水中眼鏡を買ったコンビニでお菓子を食べさせました。

ちょうどプールで泳いでいた少年たちも、店の前でアイスを食べています。

らおぱんと呼ばれて-コンビニの前

なんとなく子供のころを思い出す懐かしい光景だったので、思わず写真に収めました。よくプールの後で駄菓子屋にこんな感じでたむろしたものです。

その後はこの子の家まで行き、例によってご馳走になって、お父さんと世間話に花が咲いてビールもけっこう飲んでしまいました。

帰りはもう、、全身が火照ったような感覚で帰ってきましたね、、。