牛頭角屋村 その2 | らおぱんと呼ばれて

牛頭角屋村 その2

イースターの連休が明けてその翌日、香港に戻る予定でした。

いつもの様に午前中仕事をしてから出かけるので、午後最初のバスに乗り、早めに九龍湾での途中下車を企てるつもりだったのです。

ところが突然の事情で出発が遅れ、乗ったのは午後二番目のバスでした。
いや、何があったって、オバサンがうっかり昼飯つくっちゃったから、のんきにそれを平らげていたんですよ、作らないでって言ったのに、、。
「どうせバス乗るところで食べるんだろうから、なんで食べてから行っちゃダメなんだ?」、、なんて言うけど切符買って出発待ちながら食べるのと、食べてから行って切符買うんじゃ時間が、、、とにかく食べ物を無駄にするのは好くないので、作っちゃったのなら仕方が無い、食べましたよ、もう、、。


そんなわけで九龍湾のホームに降り立ったのは午後5時を少し過ぎていました。
街燈が点き始めてますけどまだ充分に明るいです。そそり立つ公営住宅の雄姿を見て先ず一安心。
それから乗ってきた地下鉄の進行方向へホームの端まで歩きました。やはりまだ工事は屋台まで及んで無いようです。


らおぱんと呼ばれて-工事


前述したウェブサイトに出ていた2月から取り壊すというのはあの辺から始めるってことなんでしょうね。
はて、あそこら辺は何があったのかな?記憶をたどると多分マーケットですね、なんかやたらと安いもの売ってたようなところでした。
確か広州へ出張するのに激安のバッグを一つそこで買ったことがあるのですが、往きの道中で破れ始めて帰りは抱えるようにして、帰ってきた記憶があります。それ以降二度と行きませんでしたが、跡形も無くなるとやはり寂しいものですね。


次にホームを反対方向へ歩きました。
徳福に住んでたときの棟は一つ前の駅、彩虹寄りにあったので改札も屋台へ行く歩道橋もそちら側を使っていたからです。そして駅の真ん中ぐらいまで歩いたところで発見しました、なんとテーブルを出して灯りを点けている屋台があるじゃないですか!、こりゃあ食える!ウン、食えるぞ!!。


らおぱんと呼ばれて-屋台1

こぶしを握りしめて歓喜すると同時に、不覚にも昼間のオバサンメシを平らげてしまったことが悔やまれました。おまけに今日のメシは何時にも増して硬めに炊かれていたようで、ここにたどり着くまでは胃もたれを堪えて来ましたから、、。


ホームから階段を下りていくと一眼のカメラを首から下げた人とすれ違いました。やはり平日でも来てるんですね、写真撮りに、、。

やがて改札を抜けてから歩道橋を渡るのですが、妙な違和感を覚えたのです。
そのときは大して気にもしなかったのですが、渡りきって階段を下りるときに前の方で「ア、サァユゥア、、、」と女の子の声を耳にしました。

私は"ふっ、こんなところにサメなどいるわけなかろう、何をバカな、、"と思っていたら階段を下りきったところでポツンと来ました。ああ、下雨と言っていたのか、言語のレベルもあの頃に戻ったみたいだ、、なんてのん気なことを考えていてはっと気がつきました。

"なんで歩道橋を下りたところで雨だって分るんだ?"

そうです先ほどの違和感とは、あの頃の歩道橋に屋根なんて無かったのです。この歩道橋は私の部屋から良く見えました。出勤時には駅へ向かって歩道橋を渡る人の量で、地下鉄の混み具合まで見当つきましたし、何よりも天気の悪い日にはカサのさし方で雨の強さも判断できたものです。出勤前に窓から歩道橋を見るのが習慣となっていたのですが、そんな日常の風景さえもすでに変化していたのですね。まあ、利用する人には便利になったわけだから別にいいですけど。だいたい雨が降ってこなければ私も気がつかなかったと思います、、、。

らおぱんと呼ばれて-団地4


細かいことはさておき、とにかく雨が降ってきては大変です。雨足と迫る夕闇を気にしながら、急ぎ先ほどの屋台が見えたところから中へ入りました。

らおぱんと呼ばれて-屋台2

ここはタクシー乗り場になってますね、ちょうど乗り降りするところの真横に良いたたずまいのが一軒ありました。でも、天幕が届いてないテーブルは、本降りになったらどうするのでしょうか?。

らおぱんと呼ばれて-屋台3

らおぱんと呼ばれて-屋台4


このブロックで営業しているのは駅から見えたところとタクシー乗り場横の2軒だけみたいです。そこで団地の下を通って次のブロックへと進みます。

らおぱんと呼ばれて-団地5


いきなりフェンスの中でバスケやってますね、ちなみにこの団地の中には学校もあります。駅から見えた屋台がある棟の隣がそれなので、ここはちょうど学校の裏に位置しています。この通路沿いの店は明かりが点いているところもありますが、ほとんどは閉っていました。すでに退去してしまったのか、それとももっと遅くなってから店を開けてテーブルを出すのでしょうか?

らおぱんと呼ばれて-団地6


ここが工事の始まっている区域と向き合う棟の内側です。この辺りですと営業している店舗は多いですね。この棟の表側が先ほど駅から降りた出口とは別側出口へ行く通路になっており、付近の住民の駅への通り道であるため人の往来は、いまだに途絶えることが無いからでしょう。

らおぱんと呼ばれて-屋台5

らおぱんと呼ばれて-通り裏


そしてこれが駅への通り道となっているところ。この通り沿いはほとんどの店が営業を続けています。この様子を見るともうすぐ取り壊されるとは信じられませんよね。

らおぱんと呼ばれて-通り表


これで端から端まで歩いてきました。6時を過ぎてますので、そろそろ晩飯を食べるところを考えたいのですが、屋台が出揃うにはまだちょっと早い。そこで一人で食べれる量はたかが知れているので、貴重な情報を提供してくれた人を感謝のディナーにお誘いするべく、会社に電話してみました。


電話で私の声を聞くなり彼女は、
「いま、どこに、、、?」
「実は、、九龍湾にいる、、。ほら、例のところ」
「(ため息まじりに)やっぱり、、遅いからまた皇崗あたりでバスにおいてかれたんじゃないかとも思ってたけど、、」


小言は言われましたが、仕事を片付けたらすぐに来ると言うことでお誘いを受けてくれました。もちろん屋台とは言ってませんがこの状況から覚悟は出来てるでしょう、とにかく九龍湾駅に着いたら電話スル、、と。


そんなわけで私は写真を撮り続けるために再び団地の中へと入って行きました。
よーし、今夜2軒は食うぞ、と心に決めて、、。



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