出来る範囲で出来る事を。何が出来る? | 音楽リスナーとPCユーザのための著作権パブコメ準備号

出来る範囲で出来る事を。何が出来る?

出来る範囲で出来る事を。何が出来る?

とりあえず、4月以降も旧法の基準をクリアしたPSEマークなし電気用品を販売できる状況を作ることが、目標となります。どのようなかたちで販売を可能にするかによって、様々な問題がついてきます。すべての問題をクリアするには時間がかかります。それは当面、移行措置期間の延長を求めるというかたちにならざるを得ないかもしれません。

「移行措置期間の延長」が可能な立場・手段は限られています。
1)国会議員による議員立法・法改正
2)経産省によるガイドラインの策定
3)経産大臣による承認(第27条第2項第1号。ただし「特定用途」)
4)電気用品安全法対象非対象等会議による指定品目の対象リストの変更(その品目の製造事業者による自主)

3)4)は、特定の品目に限るのでなければ、実現可能性が低そうです。1)2)も簡単ではありません(それぞれについて、他のエントリで多少検証しています)。

2)の場合、経産省へ要望を伝え、実情に合わせてるべく交渉する必要があります。直接交渉にあたるのは、中古用品販売業や音楽家の団体、あるいは消費者団体ということになります。商工会議所や古物商組合、さらには政党だって、交渉にあたる窓口となりえます。すでに団結して要望を出し、交渉をしようとしているところもありますから、直接害を被る事業者は身近な団体に訴えるところからはじめるのがよいと思われます。ただし、大規模な中古チェーン店、小規模のリサイクルショップ、事業用機器やオーディオやゲームなど限定的な品目を扱う事業、音楽家…事業・立場によって求めるべきポイントは異なる可能性はあります。違いを超えて連絡を取り合うことと、限定的なメンバーで成り立っているにもかかわらずすべてを代表しているかのような振る舞いを避けることが望まれます。こちらも参照「PSE問題を考える会 :http://members.aol.com/pse20060401/pse.improve.htm

1)の場合、つまり、この法律を何とかしたいと思っている人が要望を伝える先は国会議員ですから、有権者として誰でもお願いすることができます。もちろん中古販売業者でも。重要なのは、結果として議員立法による法改正という手段にならなくても、国会議員が電気用品安全法の問題点を認めることで、2)などの手段で「移行措置期間延長」などの結果を得ることができることです。どのような問題があるか、いかに自分(たち)が困るか、いかに経産省の説明がアテにならないか、といったことをぶつけることで、状況を変えることができます。

他にも出来ることはあります。

たとえば、署名。
危機意識はネットが先行しましたが、テレビや新聞の報道も増えてきました。JSPAの電子署名は限定的な分野の適用除外を求めるものであるにもかかわらず7万の署名を集めました(すでに終了)。
現在第二次の署名活動を行っている「PSE法(電気用品安全法)の改正を求めます。:http://sound.jp/pse/ 」は、JSPAと異なり、憲法第16条「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」 および請願法が規定する請願のための署名で、紹介議員を経て提出され記録に残るものです。
自分の署名だけで終わる必要はありません。報道を見て、危機感を持った人たちは大勢いるはずです。ネットにアクセスしない人、あるいはまとめサイトや署名サイトにたどりつけない人も多いでしょう。自筆または捺印が必要ですから、署名を集めるためには、誰かが動かなければいけません。署名用紙を持って街へでること、なじみの店に協力してもらうこと。何かがしたい、と思っているなら、それも一つの出来ること、です。その姿が、その数が、他の「出来ること」を後押しします。

たとえば、周知。
報道が増えてきたといっても、まだまだ十分周知されているとはいえません。知っていても、たいしたことはないとたかをくくっているかもしれないし、経産省の発言や説明を鵜呑みにしているかもしれません。ブログでも、友人にでも、こういうことがあると伝えることも、出来ることの一つです。チェーンメールのような手段は避けるべきでしょうし、嘘をついてまでコトを大袈裟にすることも避けるべきでしょう。そのためには適切な説明ができるよう、自ら法を知ることも必要です。誰かの疑問に答えること、誰かの独断を正すことも、あなたに出来ることの一つです。

逆に、視聴者/読者として報道に働きかけることもできるでしょう。とりあげてくれたことへの感謝と、とりあげた内容への疑問をメディアに伝えること。メディアは視聴者/読者の反応を待っています。反応が大きければ、続けて取り上げてくれるかも知れません。彼らが問題点を理解すれば、危機感も増します。

個人として経産省に向かい合うことも不可能ではありません。本省でも地元の経済産業局でも、電話するなり会いに行くなりすることも出来ることです。その場合、可能な限り録音し、音源や書き起こしを公開することが望ましい。経産省の説明は、人によって食い違いを見せています。記録として公開することで、ある程度でもそのやりとりが現実のものだという信憑性が増し、また多くの人が検証可能になります。めんどくさいと思いますが、よろしくお願いします。その手間が、他の「出来ること」の資料になります。

いろんなことが動き出しています。報道や集会、HPの更新など、いろんな情報をまとめることも「出来ること」の一つです。既に「電気用品安全法@2chまとめ :http://www8.atwiki.jp/denkianzen/ 」があって誰でも編集出来る。自分で作ってもいい。いろんなまとめサイトがあっていい。

「考えること」「検証すること」も出来ることの一つです。抜け道を考えることは、現時点でそれほど効果的ではありません。それを不可能にする見解を出されたら終わりです。4月まで心の中にしまっておいてください。むしろ必要なのは、経産省が言っている通りに対応することがいかにばかげているかというシュミレーションです。販売業者ならば、何をしなければいけないかを。電気に詳しいなら、適合義務や自主検査を。法に詳しいならPL法や特許法との関係を。大きな図書館が近くにあるなら、古い電気用品取締法関係の雑誌記事や書籍を当たってみるのもいいでしょう。経産省の説明の齟齬と問題点を洗い出し、公式な資料によって矛盾を示すこと。どれほど常識はずれでも、どれほど無理があっても、条文上不可能でないことは経産省の解釈が正しくなってしまいます。司法に問うにはクリアしなければいけない条件があり、決着に時間がかかりすぎます。
常識はずれであることを具体的に示すこと、発言や法令集の記述などを参照しつつ無理を例示出来る矛盾にまでもっていくこと。そうした作業が、他の「出来ること」行っていく上での武器となります。