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電気用品安全法へのご意見について 02.26.2006

http://www.yasuienv.net/PSEOpinion.htm
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(1)法律というもの(一般論)

 今回の法律を、一般人として理解するには、経済産業省がHPに提示している範囲で十分である。法律の専門家でもない一般人が、分かりにくい法律の文章や1000ページにも及ぶような付属文書を読み下さなければならないとしたら、それは、経済産業省の怠慢である。一般人を対象とする法律の普及は、十分に行う必要がある。

→十分であるはずだ。しかし、これまで電気用品安全法(電気用品取締法)が及ばなかった(少なくとも及ぶと認識されていなかった)業種に対象が広がり、事前にあらたな対応を行わなければ事業を継続することが困難であることは提示されていない。十分ではなかったから、われわれは時には誤解したりもしながら深刻な議論をし、1000ページにも及ぶ付属文書を読み下さざるをえない事態となっている。


(2)この法律の目的は何か

 「電気用品の製造、輸入、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止する」、となっている。

→「この法律」が電気用品取締法および電気用品安全法であるならば、法の目的はその通り。しかし、危険や障害発生の防止はPSE導入以前からの目的であることに留意しなければならない。PSE導入の法改正の目的は、「民間事業者の自主的な活動を促進すること」ではであって、従来から「危険や障害発生の防止」は取り締まりがなされていた。

 中古品販売業が、製造者の届出を行ったとして、この法律の目的である安全性の確保を実現するために何が実行可能か。特定電気用品以外であれば、(1)外観、(2)絶縁耐力、(3)通電試験、程度をそれなりの範囲内でこなせば十分だというのが、この法律の示す「常識的な解釈」であり、この範囲を超したら、事業の阻害になるだろう。

 すなわち、ショートによる発火の可能性をこの法律の言う危険性の大きな部分であると考え、かつ障害としては、大電流が流れることによる副作用(人に対しては火傷・感電、電気系については停電など)だと考え、(1)外観、(3)通電試験によって、明らかに「危険な製品」は排除し、それだけでは分からない材質の劣化による安全性への危惧を(2)絶縁耐力で調べよう、といった考え方だと思われる。これは、妥当な妥協点なのではないか


→これらの要件は、特定電気用品以外の製造業に対して求められていることであって、材料の選択、機器の設計などすべての責任を負わなければならない大企業(製造業)に求められていることである。「中古品販売業のような事業者が、自主的な活動として何ができるか。その範囲は自ずから限られている」と言うならば、上記(1)~(3)の要件から、さらに限定されなければ妥当とは言えない。まして、中古品販売業が扱う電気用品は、材料の選択、機器の設計などすべての責任を負わなければならない大企業(製造業)の製造時に検査されたものである。
そして、中古品販売業者が製造業者の届出を行って検査を行った場合、責任は中古品販売業者に負わされてしまう。

(3)リユースの阻害になるか

 そのためには、今回の法律によって、どのような商品が有効に使用(リユース?)されず廃棄に追い込まれるのか、例示が必要である。ビンテージ電子楽器、真空管式アンプなどは明らかされているが、それ以外の品目では、具体的な商品を上げた詳細な議論がなされないのが不思議である。

→これまでリユースされていたほぼすべての電気用品であって、それを具体的に挙げることにどんな意味があるのか不思議である。


(4)製品の知的財産権と抵触するか

 上に述べた範囲を超えた改造、すなわち、安全性に無関係な改造を行って、中古製品販売業が自己の商品として販売することは、この法律の主旨を逸脱するだろう。すなわち、知的財産権の問題になるだろう。

→その、「だろう」が、「これこれこういう法、こういう判決などによって「上に述べた範囲を超えた改造についてのみ~問題になる」と書き直されなければ、なんの意味もない。なお、作業の目的や安全性は知的財産の保護とは基本的に無関係である。


(5)社会の仕組みが変わることによって、特定の個人が不利益をこうむる

→多少はしょうがないけど、周知されないまま在庫が全部売れなくなるという不利益は避けられるべきだと思いますが。

(6)「売れないものはゴミという表現」は不適当か

→ああ、これはどうでもいいです。

(7)パソコンを例外としたことが納得できない

 なぜパソコンが除外されたのか、その理由は知らない。

→ならば、よけいなことを言わない。

(8)検査機関を作って、天下り先を増やしただけだ 

→まあ、これはどうでもいい。中古業者に製造業者と同等の検査と責任を負わせる理由が説明されていないからいろいろ推測されるのはやむを得ないところでしょう。

(9)自主的な取り組みになってから、事故が増えている

→調べてください。後者であったとしても、それを検査システムがチェックしきれないのならば、検査システムにも問題がないとは言い切れない。

(10)現在の中古品販売業に、チェックをする能力などない

→そんなことを言った覚えはぼくにはないし、そんな意見も見たことはないですが、それはともかく、チェックする能力は必要でしょう。しかし、電気用品安全法が求める製造業としての水準が適正だとは思わない。

(11)最後に、再び一般論

 今回、メディアがどのようなスタンスで記事を書いたのか、それは間接的な大問題である。某新聞から電話があって、「今回の電気用品安全法は、リユースを阻害するから変な法律だ、というコメントを述べろ」、という要請があったが、実は、その時点では、この法律についてよく知らなかった。その記者による説明を聞いて、当然、逆にお説教をすることになった。どうも、環境問題というものの本質について、どのぐらい正しく状況を判断しているのか、その点で問題があるように思える。

→おそらくまだよくわかっていないであろう記者からの説明を聞いただけで二つもエントリしてるのでしょうか?