ごくありふれた中古品/リサイクル品がなくなるということは。 | 音楽リスナーとPCユーザのための著作権パブコメ準備号

ごくありふれた中古品/リサイクル品がなくなるということは。

中古品/リサイクル品がなくなるということは。

現在使われている電気用品は、ほぼ間違いなく買い取ってもらえなくなった。PSEマークは付いていないし、付いていなければ買い取った店は売る事ができない。新たに「製造」しなおしてPSEマークを付ける価値がある電器製品はそう多くないだろうし、「製造」しなおせる店も多くはないだろう。買い換えサイクルが早い人にとって、買い取り価格分は次の購入の資金の一部になる。古い電器製品で、プレミアがつかないようなものなら、タダみたいな値段でも、たとえタダでも引き取ってもらえれば、処分のための手間と費用が助かる。

店には、PSEマークが付いたものしか売られていない。つまり、ごく最近販売されたもので、早くも誰かが何らかの理由で手放したものしか売られていない。数や種類はそう多くないだろうし、新しく数が少ないものの価格はそれほど下がりはしない。
そもそも、どれくらいの店が残るのだろうか。現在の一般的な中古市場が回復するまでどれくらいかかるか。しばらくは中古品の仕入れはできない。買い取りを望む消費者は、これからその商品を買い換える時期を迎え、その商品を使うのだ。店主は自分の店を見渡してみてほしい。その製品が発売されてから今まで、どれくらいの期間が経っているのか。その平均的な年数が経った頃には、それなりに品揃えは整うだろう。一番古いものが作られてから今までの年数が再び経過する頃、ようやく今と同じになる。それまで耐える事が出来る店は限られる。4月1日をもって、在庫の多くは価値がなくなり、おそらく廃棄するにも保持するにも金がかかる。一般的な中古品/リサイクル品を買う場合、その理由のほとんどは価格である。多少古くても気にしなくて、最新の機能がついていなくても実用的な機能さえあるならば不自由はしない。しかし、手ごろな価格の品物は、当分の間、手に入らなくなる。

電器製品を買い換えようと思ったときに、使っている物は買い取ってもらえない、中古で安く手に入れる事もできないという状態で、何が出来るのだろうか。新しいものを買えばいいと製造者は言うだろうけれど、欲しいものを好きに買えるならば苦労はしない。生活が苦しければ、新しいものを買う余裕はない。他に金を使いたいことがあるならば、新しいものを買う余裕はない。余裕があっても、割高感があれば買う気がしない。買わなければ、販売を禁止しなければいけないほど危険らしいPSEマーク無しの古い電器製品を使い続ける事になる。5年前の製品に買い換える事で15年前の製品を使い続けるよりもマシになっていたはずの安全性や利便性は得られない。やむを得ず買ってしまえば、電器製品の製造者は喜ぶかも知れないけれど、生活は苦しくなり、他の消費活動が抑制される。買い換えの時には常に新しいものを買う余裕がある人たちには安全と最新の機能を、そうでない人たちには危険か、もしくはさらなる困窮を。