論理と状況が否定していてもすべては還流盤禁止の法改正のおかげらしい | 音楽リスナーとPCユーザのための著作権パブコメ準備号

論理と状況が否定していてもすべては還流盤禁止の法改正のおかげらしい

asahi.com:中国へ邦楽正規CDの波 逆輸入禁止機に値下げ攻勢
http://www.asahi.com/international/update/0210/003.html

は、最初から最後までむちゃくちゃな記事でした。

上海にいる記者が法改正の経緯知らないのはわからんでもないけど、緊急性のあるネタじゃないんだから、ちゃんとチェックしてもらわないと。原稿を書く上での下調べする力も論理構成能力もない方が朝日の記者にはなれないと思うのですが、どこかから金でももらったか、どこかから原稿ごともらったか、もちろんそんなことはないでしょうし、むむむ。


すでにみなさんツッコミ入れてますが、お、おれにも書かせて!ってことで。




上海のCD店にはJポップの正規版ソフトがずらりと並ぶ

 音楽や映画のソフトを違法にコピーした海賊版が横行している中国で、日本のレコード各社が正規版CDの販売に力を入れ始めた。日本の法改正で昨年から海外向けの低価格CDの日本逆輸入が禁止されたからだ。割高でも正規版を買う邦楽ファンが中国で増えてきたことも後押しする。だが、正規版が流通していない映画やテレビドラマは依然として海賊版天国が続く。


CDの販売に力を入れるから、法改正されたのであって。因果が間違ってます。
×邦楽ファン→○日本に原盤がある音楽


 上海の繁華街にあるCD店。女子高生の孫●さん(16)は歌手の大塚愛さんのアルバムを手に取った。「08年まで日本国内頒布禁止」と記載された正規版だ。

まるで記載されていたら正規盤みたいだけど、それ関係ないから。

18元(256円)。8~10元で買える海賊版の2倍だが、

価格については、後で。

「音質が信頼でき、訳詞も正確だから」と話す。

いいなあ。海賊コピーが異様に少ない日本では、コピーコントロールが導入されて音質も犠牲になったのにな。あと、訳詞が正確なのは、非常にうらやましいですね。洋楽の日本盤は必ずしもそうじゃないから。そういう努力を日本盤出す時にやってくれれば、国内盤を買う理由になるのになあ。

 「小皇帝」と呼ばれる一人っ子の孫さんは、母親から毎月100元のCD代をもらい、Jポップを4~5枚買っている。

サーチナ 消費者モニター属性
ホーム > 属性一覧 > 全国 > 上海市 > 平均月収
http://searchina.ne.jp/indetail/index.cgi?index=7&mbprov=3

中国の最先端を突き進む上海の平均給与は4万円強(3000元)と言われる。
[ITmedia PCUPdate:中国の所得別PC事情に泣け (1/2)]
http://www.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0503/14/news002.html

この平均月収を日本でたとえば30~40万円としたら、この女子高生はCD用に1万円のお小遣いもらってるって感じか? うらやましいですな。高校生で毎月4~5枚新譜を買うなんて、当時の俺にしたら想像も出来ないような贅沢ですよ。


 日本のレコード各社はもともと中国での発売に消極的だった。海賊版が広く出回っているうえ、採算に合わないためだ。日本と同じ3000円前後では高すぎてとても売れないが、現地価格に近づけて値を下げると、日本に逆輸入される懸念があった。それが05年1月の改正著作権法施行で、海外販売用の正規版CDを販売目的で日本に持ち込むことが違法となった。

曖昧なのか正確なのかよくわからんな。
逆輸入は懸念でしかないわけで、国内での国内盤の販売に影響があるような実態があったわけじゃない。怖がりすぎてただけですね。3000円のものを1/10の値段にして売っても採算が合うって商品も恐ろしいですが。
改正著作権法では、正しくは、
【申請が受理されれば】【邦楽に限らず】海外販売用の正規版CDを販売目的で日本に持ち込むことが違法となった。



 中国で発売や値下げが相次いだのは昨年から。エイベックスは1枚58元から18元に値下げし、種類も36タイトルに倍増させた。

エイベックスで中国での還流禁止は3枚。
AVT 浜崎あゆみ MY STORY AVCD-17611 2005/2/7
AVT BoA メリクリ AVCD-30630 2005/3/28
AVT 大塚愛 LOVE JAM AVCD-17538 2005/4/5

のこり33枚は還流禁止になっていないけど、日本国内では還流盤みたことないです。ていうか、36タイトル中3タイトルしか禁止にしてないんだから、値下げ攻勢は還流禁止と関係ないんじゃないでしょうか。

36タイトルってのは、「相次いだ」とか「力を入れはじめた」じゃなくて、「じょじょにはじめた」「取りかかった」とするのが日本語としては自然です。はやくがんがん売って利益を出して日本の価格に反映させてください。


「倍増させた」の主語はエイベックスと読むのが普通だと思うんですが、ひょっとして朝日新聞様は違いますか。



ソニー・ミュージックエンタテインメントも28元(400円)に値下げ。中国、香港、台湾で販売されている正規版の邦楽CDはのべ約250タイトルに上る。大半は日本でヒットしたJポップだ。

「のべ」ってことは、単純に3地域で割っても80タイトル程度ですか。

さすがソニー。エイベックスの5割増の値付け。

ちなみに、日本円換算を、記事中最初に出てきたやつから1円14.2元ほどってのを割り出して適用すると。
エイベックスは1枚58元(825円)→18(265円)元に値下げ
ソニー・ミュージックエンタテインメントも28元(400円)
海賊版だと8~10元(115円~140円)

 05年に60万枚売れたエイベックスは「まだ市場が小さく、利益が出る段階ではない」としながらも、将来に向け発売を増やす方針。ソニーも「中国でJポップファンが増えており、発売すれば買い手は多い」とみる。

リリース数がまだ少ないんだから市場が小さいことだけを理由にされましても。市場が大きくなればその値付けで利益が出るんでしょうか。利益って、どの程度の範囲で考えているんでしょうか。大塚愛が中国でどれだけ売れなくても、制作費は日本での売り上げで回収してるだろ。あとは権利関係とモノとしてのコストと流通コスト。原価割れさえしていなければ、利益は出なくても損益は出にくいものですから、いい商売です。

 一方、著作権法改正の対象外だった映像ソフトは、日本の正規版がほとんど売られていない。上海郊外の大型店には、欧米や日韓の映画やドラマの海賊版が数千タイトル並ぶ。DVDは10元だ。
 アニメ映画「ハウルの動く城」は、日本や韓国で上映された直後から、盗撮映像にずさんな中国語訳の字幕を付けたDVDが数種類出回った。NHKドラマ「義経」は放映中の昨秋から店頭に並んだ。

還流すると困るから映画やドラマの映像ソフトは作らないんでしょうか? 日本では単に権利処理が出来ていないからパッケージ化していないか、利益がでないから進出しないかじゃないですか? リージョンコード付ければ?中国語字幕や吹き替えをoffにできないようにすれば? 法改正で映像ソフトが対象にならなかったのは、還流させることができても影響がないと判断されたからなのであって。


 そんな中、米映画大手ワーナー・ブラザーズは米映画業界で初めて昨夏から正規版を22~28元で発売し、店頭には約100タイトルが並ぶ。政府に海賊版摘発の強化を求める一方、消費者に正規版購入を促す狙いだ。

アメリカにも還流禁止の法改正があって、それでワーナーが動いたんですか?


 日本貿易振興機構(ジェトロ)上海の中沢義晴コンテンツ流通促進センター長は「まず正規版の販路を確保して、着実に普及させることが、海賊版を減らす効果的な対策だ」と指摘している。

まず正規版を売るところからはじめないとな。正規版がないのに海賊版買うのはけしからんといわれてもどうしようもないんですから。


 ※●は「さんずい」の右に「けものへん」、その右に「奇」