花の季節⑨ | きのこガリ★島根&広島を勝手に応援マンガ

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「きのこガリ」は広島で暮らすきのことガリクソンと子供たちの日常を描いたエッセイ漫画です!たまに島根の実家にも帰ります。
見てくれる人が和やかな気持ちになれるマンガを目指しています。どうぞ見て行ってくださいね♡

花の季節⑧からつづく




からすまんが


盛大な拍手が街中に響いた。



その中には「お帰り」という声も雑じっていた。



温かな、自分を迎え入れるかのような拍手に

イレイナは胸がいっぱいになった。



自分は一人じゃない。



自分の歌を心待ちにしてくれるみんながいる。



父の伴奏がないのはやはり寂しいが、

これからも大好きな歌を歌い続けようと心に誓うイレイナだった。






それからは毎日、イレイナは噴水の前で歌を歌い続け、

街の空には暖かい拍手が響き、コインが弧を描いていた。



歌うたびに春が近づいているような気がした。



イレイナは歌の最中、ふと

あのピンクのバラの花束をくれた人のことを想う。


からすまんが


歌を聞きに来てくれる人の中に、その人はいるのだろうか。



できればその人に直接会ってお礼が言いたいものだ。



しかしイレイナには、

その人が誰なのか知るすべはなかった。





花の季節⑩へつづく