いずれも東京都が作成した入間川流域の浸水実績図だ。微妙な違いがあるので、あわせて掲載する。


@黒柴チャッピ@の入間川だより-浸水図説明入り
東京都のHPで公開されている浸水実績図
(おそらく「床上・床下浸水」の被害実績をベースとした図であろう)


@黒柴チャッピ@の入間川だより-説明会浸水図
2008年11月末「分水路説明会」で示された「水害の発生状況」
(会場スライドを撮影、上図と比較しやすいよう90°回転した)

被災者の実感・土地感覚として「分水路説明会」の図の方が、実情に近い。



●甲州街道北側(暗渠となっている中仙川跡)・三鷹市境は、内水氾濫被害と呼ばれる。入間川の氾濫による直接的な水害ではないものの、入間川の排水能力に余裕があれば、この内水氾濫は軽減されていたのではないかとの指摘もある(入間川の排水能力については後述する)。

●内水氾濫の被災者によると、国分寺崖線および甲州街道(キューピーの工場側)から水が滝のように流れくだってきたという。ちなみにキューピーの坂の名称は「滝坂」といい、京王線に沿って「調布市立滝坂小学校」がある。

●下の写真に、入間川にかかる2つの橋の名前が出ている。「西野橋」と「本村橋」である。

2つの橋の間、もっとも浸水面積が広い(おそらく浸水の深さも最大であったろう)地域にかかる橋が「神明橋」である。三鷹市側だけでなく、国分寺崖線・東つつじヶ丘両方向から押し寄せた洪水が河川の排水能力を超えたため氾濫した(外水氾濫被害ともいう)。

神明橋の東側には「武者小路実篤記念館」および「実篤公園」がある。西側は一段と低くなった住宅地である。

●「実篤記念館」の被災・復旧の様子は同館のホームページで詳しく報告されている。

若葉町地域は河川氾濫に加え、河川から少し離れた場所(ハケ下)ではやはり内水氾濫被害があった。家屋への浸水のほか、調布市の下水道の排水能力を超えたため、屋内の排水口から下水が吹き上がったという報告もある。

また国分寺崖線の方から、樹木の枝や瓦礫などが流水とともに押し寄せた(ハケ下の内水氾濫は、河川が氾濫にいたらずとも、豪雨のたびに起こるうることに注意しておきたい)。

調布市消防団は氾濫した外水および内水をポンプ車などをつかって吸い上げ、下水道へ安全に放流する排水作業など、氾濫被害の最小化に尽力した。住民の通報による要請出動か、何らかの警報による出動かは未詳である。


若葉町地域のハケ下には「調布市立若葉小学校」および「第四中学校」がある。児童生徒の数は、教職員と合わせて1,000名にのぼる。


当地域にゆかりのない方々にはたいへんローカルな話でまことに恐縮だが、いずれも東京都によって示されている実績図であるので、このような被害があったことをご理解いただければ幸いだ。


東京都による入間川分水路整備計画は、時間雨量90ミリあるいは100ミリの豪雨によって惹き起こされうる(浸水実績図に示された)内水・河川氾濫被害を回避させるための当面緊急の施策として策定されたものである。