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いまさら聞けない投資のキホン


社会人になり、貯金や保険などお金とつきあう機会が増えてくる中で「投資もやった方がいいのかな?」なんて考え始めている人もいるのでは?とはいえ、周りを見てもまだまだ「投資」に対して不安に思っている人が大勢いるのも事実。特にそうした人達からよく聞こえてくるのは「リスクがあるから怖い」ということ。それじゃあ、そもそもこの「リスク」って一体何なのでしょう。

○「リスク=危険」じゃない!?

金融商品には必ずリスクがあります。こう聞くとほとんどの人が「値下がりするリスク」「破綻するリスク」のように悪いことをイメージするのではないでしょうか。普段、リスクという言葉が「危険」という意味で使われることが多いので、当然のことかもしれません。 ですが、投資の世界で「リスク」の意味は少し違います。「この先どうなるかわからない不確実性」などと説明されることもありますが、一言で言ってしまうと「価格の振れ幅(動きの大きさ)」のことです。

ここに2つの金融商品(A、B)があったとします。下のグラフがそれぞれの価格の動きを表したものだとしましょう。

矢印の長さは価格の振れ幅を示していますので、これがリスクの大きさとなります。この長さが短ければ価格の振れ幅が小さいので「リスクが小さい」となり、矢印が長いと価格の振れ幅が大きいので「リスクが大きい」となるわけです。 つまり、Aよりも振れ幅の大きいBの方がリスクの高い商品ということになりますね。

○ローリスク・ハイリターンはない!?-リスクとリターンの関係-

「ハイリスク・ハイリターン」という言葉を聞いたことがあるかと思います。言葉の通り、リスクも高いけれど、高いリターン(投資して得られる収益)も期待できるという意味ですが、それではリスクが低くてリターンは高い「ローリスク・ハイリターン」の商品というのは存在するのでしょうか?

答えはNOです。先ほど説明したように、リスクというのは「価格の振れ幅」のこと。そうなると、ローリスク・ハイリターンは、「リターンは高いのに、振れ幅が小さい」ということになりますが、そんな商品があればその商品が一つあれば十分で、他の商品はいらなくなってしまいます。

リスクとリターンの関係は、「高いリターンを求めるとリスクも高く」なって「リスクの低いものは期待できるリターンも小さく」なります。

高いリターンを期待するなら、その分リスクを受け入れないといけないということ。どの世界もそうですがローリスク・ハイリターンなんてそうありませんから、甘い話には気を付けないといけませんね。

○リスクと上手につき合う3つのコツ

ここまで「リスク」について見てきましたが、リスクとは価格の振れ幅のこと。また、リターンを求めれば、それだけリスクを取らなければならないこともわかりましたよね。だとするとこれから実際に投資をする時のために、リスクをコントロールするコツを知っておけば心強いもの。ここでリスクと上手につき合っていくために、3つのコツをご紹介します。

(1)資産分散でリスクを抑える投資の世界で「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があります。卵を一つのカゴに盛ってしまうと、落とした場合に全部の卵が割れてしまいますが、いくつかのカゴに分けて盛っておけば、一つのカゴを落としたとしても全部の卵がダメになることを避けられます。このことから損をできるだけ少なくするためには、複数の資産に分けて投資すること(分散投資)が大切だということを例えた言葉です。

では具体的にどういうことか。一般的に株式と債券は異なる値動きをすると言われています。仮に株式と債券の両方に投資していたとしましょう。この場合、株式が値下がりしても債券が値上がりしていれば株式の損を債券の値上がり分で補うことができますよね。でも、株式だけに投資していたらどうでしょう。株式が値下がりしても、その値下がり分を値動きの違う他の資産の値上がり分で補うことはできません。このように、一つの資産へ集中的に投資するよりも、値動きの違う複数の資産に投資した方が、資産同士で損を補うことができるので、結果として資産全体で見た時の価格の振れ幅を小さくできるのです。

(2)投資タイミングの分散でリスクを抑える値動きのある金融商品ですと、投資のタイミングによっては高い時に買いすぎたり、安い時に買い損ねたりすることもあります。そこで、一度に全てのお金を投資するのではなく、何回かに分けて投資したり、毎月一定金額をコツコツ投資していく「積立投資」のように投資するタイミングを分けることでこのリスクを避けることが期待できます。

例えば投資信託ですが、多くの金融機関で、毎月5千円や1万円といった金額から積立できる「積立投資」のコースが用意されています。投資信託の価格(基準価額)は変動しますので、毎月同じ金額で投資信託を買付ける「積立投資」の場合、基準価額が低い時には多くの数量を買付け、基準価額が高い時には少ない数量を買付けることになります。

この毎月一定金額を買い付ける方法ですと、毎月一定の数量を買い付ける場合に比べ、投資信託の平均購入単価を低く抑えることができると言われ、結果として高い時に買いすぎたり、安い時に買い損ねたりというリスクを避けることができます。

(3)長期保有でリスクを抑える相場は短期間で見ると一時的な要因で大きく変動することがあります。ここ数年ですと、2008年に起きたリーマン・ショックや2010年にギリシャの財政問題が発端になって起こった欧州危機の時、日本の相場も大きく下がりました。しかし現在、相場はリーマン・ショックが起こる前の水準まで回復しています。リーマン・ショックや欧州危機が起こった時、この一時的な要因による相場の急な下落に反応して資産を売却してしまった人は大きく損をしたと考えられますが、売却せずに保有し続けていた人の資産価格は、相場の回復と共に持ち直していると考えられます。

相場は短期的に見ると価格の振れ幅が大きい時期もありますが、上がり下がりを繰り返していますので、長期的に見ると短期的な振れ幅の影響は小さいものとなります。ですから、資産も長期で保有しておけばおくほど、短期的な相場変動のリスクを受けにくくなるというわけです。

ただし、長期保有とはいっても資産の種類や銘柄が偏っていると、極端に値下がりした場合などリスクが大きいので、リスクを減らすためにも長期保有は分散投資と併せて行うことが大切になります。