Vol.4 別れたくない!
離れていく気持ちに気付きながらどうすることも出来なかった。好きだけじゃどうにもならない事を思い知らされて、ただひたすら怖かった。
もうダメかなって思いながら、その気持ちをかき消す作業を何度も繰り返す。
5月中旬のサークルの飲み会で、私はユウに無神経な質問をした。
「浪人、つらかったですか?」
「うーん、まぁ周りの受かった友達は楽しそうに大学行ってて、そうゆうのはうらやましかったかな」
「友達にひどいこと言っちゃったりしました?」
「えーそれは、ない!友達に俺がどうこう言うのは、おかしいしょ。…誰かになんか、言われた?」
「…知り合いが、すごく優しかったのに、もう今じゃ別人みたいで。遊びに言った話をしたら無神経だって責めるし、勉強の邪魔しないようにってメールも電話もしなかったら怒るし。私が何をしても、しなくても機嫌悪いんです」
「彼氏?」
ユウには彼氏がいるって知られたくないのに、話を聞いてほしくて不思議な気持ちだった。私はユウの問いかけに答えずに続けた。
「もう、一緒にいても楽しい気持ちにならないかもって思うんです」
「連絡がなくて怒ったり、束縛するのも全部、好きだからじゃない?ちゃんと話し合った?」
ユウは、これが私の彼氏の相談と悟ったようだった。
「話なんて、できないです。きっと別れ話になるから」
「なんで?だってそんな人なら別れてもよくない?」
ほんとにそうだ。今だって何もない。これ以上失うものなんてないのに。
「私は、彼氏の存在がなくなるのが嫌なだけかも。もう好きな理由がないのに、別れたくない」
「ほんとに?別れたくないでしょ?じゃあ好きなんだよ。結局、好きな気持ちに理由ないと思うもん。優しいとか、みんな好きに理由つけようとするでしょ?でもどんな優しくても、友達以上にならない人っていっぱいいるもん」
力説する彼の話に、相槌さえ打たずに、ただ耳を傾けた。
「何黙っちゃって。ちょっと俺、語りすぎた?」
照れたように、ユウは私をのぞきこむ。私はちょっと笑って、そうかも、とだけ答える。
「好きには単純な理由よりも、なんか別にもっと、あるんじゃない?」
一呼吸おいて、ユウが再び問いかける。
「別れたくないでしょ?」
「…別れたくない!」私は答えた。
もうダメかなって思いながら、その気持ちをかき消す作業を何度も繰り返す。
5月中旬のサークルの飲み会で、私はユウに無神経な質問をした。
「浪人、つらかったですか?」
「うーん、まぁ周りの受かった友達は楽しそうに大学行ってて、そうゆうのはうらやましかったかな」
「友達にひどいこと言っちゃったりしました?」
「えーそれは、ない!友達に俺がどうこう言うのは、おかしいしょ。…誰かになんか、言われた?」
「…知り合いが、すごく優しかったのに、もう今じゃ別人みたいで。遊びに言った話をしたら無神経だって責めるし、勉強の邪魔しないようにってメールも電話もしなかったら怒るし。私が何をしても、しなくても機嫌悪いんです」
「彼氏?」
ユウには彼氏がいるって知られたくないのに、話を聞いてほしくて不思議な気持ちだった。私はユウの問いかけに答えずに続けた。
「もう、一緒にいても楽しい気持ちにならないかもって思うんです」
「連絡がなくて怒ったり、束縛するのも全部、好きだからじゃない?ちゃんと話し合った?」
ユウは、これが私の彼氏の相談と悟ったようだった。
「話なんて、できないです。きっと別れ話になるから」
「なんで?だってそんな人なら別れてもよくない?」
ほんとにそうだ。今だって何もない。これ以上失うものなんてないのに。
「私は、彼氏の存在がなくなるのが嫌なだけかも。もう好きな理由がないのに、別れたくない」
「ほんとに?別れたくないでしょ?じゃあ好きなんだよ。結局、好きな気持ちに理由ないと思うもん。優しいとか、みんな好きに理由つけようとするでしょ?でもどんな優しくても、友達以上にならない人っていっぱいいるもん」
力説する彼の話に、相槌さえ打たずに、ただ耳を傾けた。
「何黙っちゃって。ちょっと俺、語りすぎた?」
照れたように、ユウは私をのぞきこむ。私はちょっと笑って、そうかも、とだけ答える。
「好きには単純な理由よりも、なんか別にもっと、あるんじゃない?」
一呼吸おいて、ユウが再び問いかける。
「別れたくないでしょ?」
「…別れたくない!」私は答えた。