第212話「情報」

放映日:1976/8/6

 

 

ストーリー

午後3時、閉店直後の矢追信用金庫南支店に、通用口から強盗3人組が侵入してきた。

主犯格の森岡(阿藤海さん)は店員の1人を射殺し、店員を威圧した。

店員の1人は森岡の威圧から、非常ベルを押すのを止めた。

森岡達は金庫から大金を強奪し、信用金庫の脇に停車させていた車で逃走した。

行員が逃走した車のナンバー「品川55 め 45-26」を覚えていた。

一係室に信用金庫の強盗事件のことが通報され、捜査員が信用金庫に急行した。

支店長(福岡正剛さん)は森岡達が信用金庫内に飛び込み、何もしていないのに店員を射殺したと証言した。

手がかりが全くなく、強盗を素早くこなしていることから、犯人が初犯でないと推測した。

支店長は主犯が180cm以上の大柄だったことしか覚えていなかった。

山村は田口に、前科者カードからのリストアップを命じ、各地に検問を敷いた。

森岡達が逃走に利用した車が発見された。森岡達は別の車に乗り換えたと思われた。

車からは盗難された持ち主の指紋しか検出されず、遺留品は発見されなかった。

条痕検査の結果、拳銃は前科が無い45口径の大型拳銃であることが判明した。

三上は犯人が七曲署管内にもういないと意見した。

山村は警戒網を突破せず、管内のどこかに潜伏し、捜査の手の緩みを待っていると思っていた。

田口は身長180cmのガッシリした体型の男のうち、強盗の手口が酷似している5人をリストアップした。

藤堂は石塚と三上に森岡達の潜伏場所の捜査を、野崎と島に拳銃のルートの捜査を指示した。

藤堂は主犯の森岡が常習犯だった場合、簡単に発見されるような場所に隠れていないと考え、容疑者の写真を情報屋に配ることを提案した。

山村と田口はパチンコ屋で情報屋を待っていた。

そこに情報屋の中本安五郎(谷村昌彦さん)が現れた。

山村は容疑者の写真と「強盗の手掛かりを探す」という内容のメモが入ったタバコの箱を渡した。

山村と田口は喫茶店に行った。

田口の前に情報屋の有田(石橋蓮司さん)が現れ、因縁をつけてきた。

山村は有田にピーナッツと酒と写真付きメモを渡していた。

山村と田口は競艇場で情報屋の玉川(江幡高志さん)と接触し、写真付きメモを渡した。

次々に情報屋に写真付きメモを渡す山村と田口の前に、情報屋の岡部(西田健さん)が現れた。

山村は岡部を無視し、田口に岡部の情報に手を出さないように注意した。

岡部は元戸川組の組員だが、情報屋をしていることを戸川組に感付かれているため、今度失敗すると命が無い状態だった。

田口は山村に指示され、単独で一係室に帰還した。

一係室の田口に中本から電話が入り、自分が山村を呼んでいたと伝えるように言った。

田口はパチンコ屋に行ったが、中本に情報料として5000円を請求された。

田口は仕方なく5000円を支払った。

中本は竜神会のチンピラの矢澤が、45口径の拳銃を見せびらかしているという情報を話した。

山村と田口は矢澤(遠藤征慈さん)に署への同行を求めたが、矢澤は逃走した。

矢澤は公園で田口に取り押さえられた。

山村は矢澤の衣服から拳銃を取り上げたが、拳銃はモデルガンだった。

田口は中本に対し怒りを爆発させたが、山村は中本が矢澤の拳銃を本物と思い間違えたと諭した。

玉川は、容疑者の1人を競艇場で目撃したと述べた。

山村と田口は競艇場を捜索していた。

田口は偶然玉川と鉢合わせした。

玉川は山村と田口が本気で捜索に行ったのかと口走り、逃走した。

玉川は田口に駐車場で取り押さえられた。

田口は玉川の態度に憤慨したが、山村は玉川に1000円を支払った。

玉川は今朝、大久保のベッドハウスで容疑者の1人を見かけたという噂があるという情報を話した。

山村と田口はベッドハウスを隈なく捜査した。

田口はベッドハウスの男(三重街恒二さん)に声をかけ、警察手帳を見せた。

田口が警察官であることを知ったベッドハウスの宿泊者は、田口をベッドハウスから叩き出した。

田口は情報屋を怠け者でずる賢いと思い、山村の捜査方法に反対した。

山村と田口は情報屋から、容疑者の1人を目撃したという情報を次々に入手していた。

田口は自動車のスクラップ工場にいる有田に3000円を支払った。

有田は容疑者の1人が、45口径の拳銃2丁が入った鞄を矢追川に投げ捨てたという情報を告げた。

山村は競艇場にいた情報屋と公園で会い、情報屋から矢追町名画会館に容疑者の1人とそっくりな男が入ってきたという情報を得た。

山村は容疑者がもういないことを覚悟で、矢追町名画会館に向かった。

田口は矢追川を捜索していたが、橋の上に有田がいるのを目撃した。

田口は有田の態度から、情報が偽であると確信したが、川で転倒してしまった。

田口は藤堂に、自分を拳銃ルートの捜査に任命するように申請したが、藤堂に拒否された。

一係室に岡部から、山村を指名する電話がかかってきた。

岡部は犯人の隠れ家を発見していた。

田口は岡部の情報を購入することに躊躇ったが、岡部は偽情報でないと念押しし、午後3時に1丁目の書店「旭屋」で待つと指示した。

田口は旭屋で岡部と対面したが、岡部は10万円を要求した。

田口は10万円を持ち合わせていなかったが、本ネタだった場合、10万円を払うと約束した。

岡部は元戸川組の幹部から犯人が、戸川組が経営している第二矢追ビルの空き事務所にいることを聞き出していた。

岡部のもとに戸川組組員2名(新井一夫さん)が現れた。

田口は第二矢追ビルに接近していた。田口のもとに石塚と島が合流した。

第二矢追ビルの隠し事務所に、犯人のいる形跡は無かった。

第二矢追ビルに山村が急行し、田口に岡部と接触したことを叱咤した。

田口から、田口と岡部が旭屋で待ち合わせしていたことを知った山村は旭屋に急行したが、既に岡部は不在だった。

山村達は店員の証言から屋上に直行し、全治1ヶ月の重傷を負った岡部を発見した。

岡部の情報は戸川組が、自分が情報屋であるかを暴くために吹き込んだ偽情報だった。

岡部は夫人の入院費のために10万円を必要としていた。

山村は昨日に警察病院に行き、岡部夫人の入院手続きを行っていた。

田口は岡部と接触したことを後悔した。

田口は居酒屋にて三上に、情報屋を信用する気になれないと愚痴った。

山村の情報屋に対する考えは、100回騙されても1回本ネタが取れればいいというものだった。

田口はコインロッカーの前で有田と会った。

田口は1000円しか持ち合わせていなかったが、有田は1000円を受け取った。

有田は森岡が強盗の主犯であること、3人の強盗が隠れているのは戸川組が解体を請け負っている廃屋であること、45口径の拳銃を戸川組が探していたという情報を伝えた。

田口は藤堂と山村に有田から入手した情報を報告したが、有田の情報を偽と思っていた。

有田の情報は戸川組の内情が火の車だったため、偽であるとは限らない状態だった。

山村は田口から、有田が今日情報を1000円で話したことを聞き出した。

有田は真実の情報のときほど金を欲しがらない性格だった。

山村と田口は廃屋に急行し、2階に駆け上った。

山村と田口は2階の部屋に3人の強盗が隠れていることを確認し、扉をノックした。

山村は強盗の共犯が扉を少し開けた隙に、田口を部屋に飛び込ませた。

森岡達は逃走した。石塚と三上、野崎と島も現場に到着し、森岡達を包囲した。

石塚と三上は廃墟の外の空き地で共犯Aを逮捕した。

島は共犯Bの拳銃を撃ち落とし、非常階段で野崎と一緒に共犯Bを逮捕した。

山村は森岡の拳銃に怯まず、森岡に接近した。森岡は拳銃を全弾撃ち尽くし、田口に逮捕された。

田口は山村の捜査方法を批判したことを謝罪した。逮捕の経緯を有田が見ていた。

田口は中本に対する情報提供謝礼5000円の出金伝票を藤堂に提出し、捜査費用から捻出してもらおうとしたが、藤堂に却下された。

中本は競艇で5000円を当て、田口に返すために山村に渡していた。

 

 

メモ

*サブタイトル通り、山さんの情報屋が多数登場。どれも個性豊かで、癖のある性格の者ばかり。

*ゲストがかなり豪華。若手の悪役俳優が多数出演している。

*有田は粗暴な性格で、やたら物を蹴ったりする男。しかし、本当の情報を流す時は安値で情報を売ってくれる。彼は後に「脅迫」にも登場する。

*「パチンコの安」こと中本安五郎は、パチンコ玉にうるさく固執する情報屋。情報料は毎回5000円。

*玉川は山さんとボンが本当に探しに行くと思わず、でたらめな情報を2回も流した。江幡氏の胡散臭く飄々とした演技と嘘泣きが最高。

*岡部は元戸川組組員の情報屋。夫人の入院費用の10万円欲しさに、戸川組の偽情報に騙され、暴行される羽目になる。

*ストーリーには書かなかったが、この他にも山さんの情報屋は、靴磨きの情報屋(邦創典氏)、料理屋「大黒屋」の女将、新宿中央公園にて待ち合わせた老紳士(大村千吉氏)が登場した。

*テキサスは山さんに「100回騙されても1回本ネタが取れれば良い」と教えられたことがあるという。

*ドラム缶を蹴った後、木の柱を殴って手を痛める有田。

*(ボンの礼のために)中本から渡された5000円で、ボスと酒を飲もうとする山さん。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

三上順:勝野洋

田口良:宮内淳

野崎太郎:下川辰平

 

 

矢島明子:木村理恵

有田:石橋蓮司

中本安五郎:谷村昌彦、玉川:江幡高志

岡部:西田健、矢澤:遠藤征慈、森岡:阿藤海(現:阿藤快)

矢追信用金庫南支店長:福岡正剛、老紳士風の情報屋:大村千吉、猪野剛太郎、靴磨きの情報屋:邦創典

朝野謙次郎、森正親、ベッドハウスの男:三重街恒二、和泉喜和子、若原初子

ノンクレジット 竜神会組員:荻原紀、戸川組組員:新井一夫

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

 

 

脚本:杉村のぼる(後の杉村升)、小川英

監督:小澤啓一