第205話「ジョーズ探偵の悲しい事件簿」

放映日:1976/6/18

 

 

ストーリー

鮫島勘五郎(藤岡琢也さん)は現職時代の経験を最大限に活用し、半年前に「ジョーズ探偵社」を設立していた。

ジョーズ探偵社は都心屈指の探偵社として発展の一途を辿っていた。

鮫島は七曲署に業績の一端を報告し、開業記念大パーティーを開催するという招待状を届けていた。

鮫島は田口の憧れの的だった。田口は中野の警察学校で鮫島から教わっていた。

田口は鮫島の退職を警察の一大損失だと思っていた。

七曲署一係室に鮫島が入ってきた。鮫島は調査方法にコンピューターを使用していた。

藤堂と石塚は鮫島に田口を紹介した。鮫島はパイプを忘れ、一係室を去った。

ジョーズ探偵社に何者かが侵入し、調査中のファイルの箱を持ち去った。

「玉枝」ではジョーズ探偵社開設記念パーティーが開かれていた。

遅れて藤堂が入り、玉枝(北あけみさん)に祝い金を差し入れた。

「玉枝」に、探偵社に泥棒が入ったという内容の警察からの電話が入り、鮫島が出た。

鮫島は電話を切り、玉枝にのみ要件を伝え、単独でジョーズ探偵社に向かおうとしていた。

鮫島は「玉枝」の前で、息子の鮫島常彦(阿部仁志さん)と会った。鮫島は常彦に店を手伝うように頼んだ。

鮫島はジョーズ探偵社に到着し、七曲署の巡査(石田太郎さん)と発見者と会った。

泥棒は午前1時よりも後にトイレの窓から探偵社に侵入した様子だった。巡査は刑事でないのに現場を物色する鮫島を注意した。

探偵社に、藤堂の命令で直行した三上と田口が到着した。

田口は巡査に、鮫島が元城北署の警部補であることを教えた。

盗品は2つの調査依頼書であり、1つは浮気調査の依頼書、もう1つは麻薬ルートの調査依頼書であった。

鮫島は島に、麻薬ルートの調査依頼書のことについて口止めしようとしていた。

麻薬ルートの調査を依頼したのは戸川組で、目的は銀竜会の麻薬の中継ルートを探り出し、潰すことだった。

島は探偵社に侵入してファイルを盗んだのが、銀竜会組員である場合に命が無いと警告した。

鮫島はファイルを盗んだのが銀竜会と断定していた。鮫島は自分の手で犯人を捕まえようとしていた。

藤堂は田口をボディガードに付ける条件で、鮫島の捜査を承諾した。

鮫島の調査方針は、バイオリズムの法則を使い、生年月日さえ分かれば大体の運命が一目瞭然に分かるという仕組みだった。

鮫島は電話帳に見せかけた「大日本帝国犯罪者名鑑」を作成していた。

鮫島は暗黒街の金貸しである、黒井甚八(大正3年9月4日生まれ、61歳)(嵯峨善兵さん)という男を例にあげた。

鮫島は人間のリズムがプラスからマイナスに変わる境目の「中間周期日」を付け目にして、乗り込もうとしていた。

黒井は電卓によると、不調期間だった。鮫島は田口を連れ、黒井のもとに向かった。

麻薬は必ず現金取引だが、暴力団でも大金は簡単に用意できないため、鮫島は銀竜会の幹部が金を借りるために、黒井と連絡を取っていると考えていた。

鮫島の目的は黒井から連絡を取っている銀竜会の幹部を自白させること、ファイルを盗んだ犯人でもある幹部を探し出し、ファイルを取り返すことだった。

鮫島と田口は金子歯科医院に虫歯を治療しに来た黒井を待ち伏せしていた。

鮫島は銀竜会の名前を使い、黒井の愛人から黒井の行先を掴んでいた。

黒井は虫歯の治療をしようとしたが、鮫島は刑事と騙り、駐車違反容疑で任意出頭させようとした。

鮫島は黒井のボディガードを蹴散らし、黒井の車に乗り込み、黒井の口を掴んで痛めつけていた。

黒井は連絡相手が銀竜会の沢田であることを自白したが、鮫島はなおも沢田の自宅を追及した。

黒井は沢田の自宅が大久保のハッピーマンションであることも自白した。

鮫島と田口はハッピーマンションに到着し、鮫島は沢田宅に入った。

沢田は不在だったが、鮫島は家の留守を担当していたヤクザを蹴散らし、沢田の居場所が三軒茶屋の映画館であることを自白させていた。

ジョーズ探偵社を襲った泥棒の指紋は、銀竜会関係者のものではなかった。

山村は泥棒の手口が幼稚すぎるため、素人ではないかと指摘した。

島は何者かが浮気調査の資料を取り戻しに来たのではないかと推理した。

鮫島は昨夜、開設記念パーティーで早めに閉店していたため、内部事情に詳しい者と推定された。

鮫島と田口は映画館に赴いたが、沢田は不在だった。

鮫島は沢田が所持している鞄の中に盗まれたファイルがあると直感していた。

鮫島と田口は映画館を出たところで、鞄を持った沢田(橋爪功さん)がフリーパスで映画館に入るのを目撃し、映画館に再び入った。

鮫島と田口は映写室で沢田を発見した。

沢田と映画館職員が持っているフィルムケースの中に、大金とヘロインの袋が入っていた。

鮫島はヘロインを入手したが、沢田は拳銃を突きつけて脅迫した。

沢田の鞄の中には黒井から借りた金が入っていた。

沢田は鮫島を人質に取ったが、鮫島は自分の命に構わず、沢田を撃つように命じた。

鮫島は拳銃を撃つことを躊躇う田口を叱った。

田口は沢田に拳銃を向け、鮫島は沢田を威圧した。沢田は拳銃を落として観念した。

田口は鮫島に感激した。鮫島は自分も怖かったことを伝えた。

野崎と三上は主人の内海が外国旅行に行くために、一家総出で内海を見送る内海家を張り込んでいた。

内海の姑はジョーズ探偵社に、内海の息子の夫人に、結婚前の動向の素行調査を依頼していた。

野崎と三上は「玉枝」に向かおうとしていたが、同じ電車に内海の孫娘(鈴木美江さん)も同乗していた。

内海の孫娘は野崎と三上と同じ方向に歩いていた。

内海の孫娘は公園で常彦と密会していた。

常彦は内海の孫娘に、探偵社から盗まれた浮気の調査報告書を渡し、焼却した。

内海の孫娘は立ち去った。三上は鮫島が常彦の書類焼却を知った場合を危惧していた。

野崎と三上は「玉枝」に入る寸前、藤堂と会った。

野崎は藤堂に常彦のことを告げた。藤堂と野崎と三上は「玉枝」に入店し、野崎はトイレに行くふりをして常彦と会った。

常彦は同じ学校である内海の孫娘に依頼され、逮捕を覚悟で、ジョーズ探偵事務所から調査依頼書を盗んでいた。

内海の孫娘は仲の良い家庭を保ちたかったため、調査依頼書をこの世から無くそうとしていた。

野崎は常彦に、鮫島に心配をかけてはいけないと励ました。

野崎は藤堂達の宴会の席に戻った。田口は鮫島に感謝した。

鮫島が一係室に現れ、探偵を辞職したことを告白した。

一係室に矢追町の交番から、万引きの常習犯の静子が逮捕されたために連行してほしいという通報が入った。

山村は全員で行こうということを提案し、全員で出動した。

常彦は隠し事ができない性質で、常彦が鮫島に全て自白していた。

鮫島は自分が年齢に似合わない探偵社を開業したせいだと思っていた。

常彦と内海の孫娘の仲はうまくいっていた。

 

 

メモ

*鮫島が5回目の登場。「刑事狂乱」で刑事を懲戒免職になり、探偵社を設立。以後、鮫島が登場する回には、自分の会社を設立して登場というパターンが確立する。

*今まで鮫島は本編で名前を呼称されていなかったが、今回やっと「鮫島勘五郎」というフルネームが付けられた。ちなみに、「闇に向って撃て」から「刑事狂乱」までは「鮫島隆」と台本に記載されていた。

*「ジョーズ探偵社」。映画「ジョーズ」が公開されたのが1975年であるため、それに引っ掛けたネーミング?

*鮫島が解決した事件はテキストにもなっている。鮫島の名刑事ぶりが伺える。

*鮫島とボンは同じ関西出身であることからか、相性が良い。

*ボスとゴリさんが笊蕎麦を食べている。

*一係室に入る寸前、婦警に痴漢をする鮫島。「鮫島結婚相談所」ではあろうごとかアッコに痴漢を働き、全員からたしなめられた。

*「刑事狂乱」のラストシーンでは鮫島は板前になっていたが、結局辞めたようだ。

*七曲署捜査一係にマイコンが来る8年前に、既にコンピューター(ただし電卓)を導入していたジョーズ探偵社。

*テキサスに自分のアシスタントにならないかと奨める鮫島。テキサスも鮫島がボスなら大歓迎という。長さんも自己推薦するが、鮫島曰く「長さんがアシスタントなら自分と長さんどちらがボスか分からない」という。

*鮫島とゴリさんは相性が悪い。

*ジョーズ探偵社開設記念パーティーではアッコが酒汲みを担当している。

*ジョーズ探偵社は電車が通ると、音が全く聞こえないくらいうるさい。

*鮫島はかつて、響組の麻薬関係を調査した際、太平洋に沈められそうになったことがあるという。

*鮫島の誕生日は9月4日。

*鮫島は黒井の顔を「明治30年(1897年)生まれ」に見えると発言。ちなみに嵯峨氏は1909年(明治42年)生まれ。

*鮫島と黒井の拷問のシーンは何か笑える。黒井の虫歯を思い余って抜いてしまった鮫島だが、告訴されなかったのだろうか?

*荒っぽい調査のために、女子トイレにまで入る鮫島。

*鮫島は拳銃を向けられても全く動じない性質。「鮫やんの大暴走」でも、犯人の警官に拳銃を向けられても全く動じなかった。

*鮫島の脅しに負け、あっさり拳銃を落とす沢田。沢田のメンタルが弱いのか鮫島の脅しが強いのか…

*長さんと常彦は顔見知りのようだ。

*浮気の調査依頼書強奪の真相は、調査依頼書を無くして家庭崩壊を防ぎたかった内海の孫娘が、友人である常彦に依頼したというものだった。

*「あんまり力まんほうがええんとちゃうか」by山さん

*今回は「鳩時計」と同時撮影。

*予告編の最初の不気味な叫びは何だ?

*今回は市川氏の「太陽」最終作。

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

三上順:勝野洋

田口良:宮内淳

野崎太郎:下川辰平

 

 

矢島明子:木村理恵

鮫島勘五郎:藤岡琢也

鮫島玉枝:北あけみ

沢田:橋爪功、七曲署巡査:石田太郎、黒井甚八:嵯峨善兵、鮫島常彦:阿部仁志、内海の孫娘:鈴木美江

大井小町、入江正夫、宇都宮英世、山本恵子、麻ミナ

ノンクレジット ヤクザ:吉中正一(現:吉中六)、黒井のボディガード:戸塚孝

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

 

 

脚本:市川森一

監督:児玉進