14.青山霊園 | 【作品集】蒼色で桃色の水

【作品集】蒼色で桃色の水

季節にあった短編集をアップしていきます。

長編小説「黄昏の娘たち」も…

 青山霊園方面の担当の六人は赤坂図書館に集合すると地図を持ってきて港区の処を広げた。

六人の中で一番年上のコージが分担場所を検討仕始めた。

「唯一。悪いが、これと同じ地図を探して、霊園付近の地図拡大して人数分コピーしてきてくれる」

唯一は直ぐに立ち去ると言われた通りコピーしてくるとそれを全員に配り元の席に座った。

ずっと地図を見ていたコージは顔を上げると指示を始めた

「まず、バイクで来ているのは…裕と田中だよな。裕は工藤を後ろに乗せてココ」

青山陸橋下のバス停を指した

「で工藤を降ろして、ちょっと広いけどまずこの立山墓地を見てからこの区域を担当する。工藤はその隣のココ。田中は智を乗せて葬儀所で降ろし、智はそこを探す。田中は青山公園とここの部分を調べて。今言った四人はココ。青山霊園中央を目指して探索する事。バイクが問題になるよな」「後で取りに行くしかないんじゃないですか、取り敢えず俺らはココで集まって四人揃ったらコージさんに連絡しますよ」

「じゃ、唯一は俺が青山浄苑迄乗っけて行くから、そことここら一帯な。終わったらこの管理事務所から俺にコールする事。俺はこの文化人達の墓を見物してから、黎さんと連絡とりながら皆を迎えに行くから…じゃぁ頑張りましょう」

黒尽くめの格好をした場違いな六人組はそれぞれ地図を眺めながら図書館を後にした。

唯一はコージの車に乗り込んでからも地図をじっと見つめていた

「何かコージさんのところ狭くないですか」

「俺は監督だからいいの。なんなら俺と一緒に廻ったっていいし…お前本当に見て回るだけでいいからな。俺達はあの人達の事何もわからんし…不老不死にしてやるなんて眉唾ものだからな。実入りが良い分やることやってればいいわけよ。一得一失一利一害俺は稼ぐだけ稼いだら深入りしないうちに海外へ行こうと思っている。お前も若いからって多寡をくくってないでちゃんと考えておけよ…もしなんならさ…俺と一緒に来てもいいし、二人でフロリダ辺りで暮らすのもいいんじゃにか?」

コージは無骨そうな顔とは似合わずに少しはにかんだ表情で唯一をチラッと見ながら言った

「僕にはそんな資格ありませんから…今は自分のできることしか…黎さんには感謝してますし」

「ま、俺もそうだけど。無茶はすんなよ。ほら着いたぞ。本当に一緒に行かないか?」

コージは唯一の手を握りたいと思ったがそれをとどめペコリと頭を下げて車から降りる唯一の姿を熱い視線で見つめた。走って行く唯一の姿が見えなくなるまで見送ると赤坂高校の近くに車を止め、サングラスをかけ直して鏡で身だしなみをチェックしてから自分も霊園の中へと姿を消した。