37.狩り | 【作品集】蒼色で桃色の水

【作品集】蒼色で桃色の水

季節にあった短編集をアップしていきます。

長編小説「黄昏の娘たち」も…

 工藤達は横浜港につくと百合子を捕らえるべく罠を張り巡らしていた。

コージは公園を暫く歩き回るとベンチに座っているカップルに目をつけると男が離れる機会を狙った。

男が飲み物を買うために立ち上がると、コージは音もなくその男に近付き公衆トイレへと誘い込んだ。

早速、生まれ変わった自分の力を試してみたかったのだった。

男の首に思い切り噛み付くと華奢で繊細な唯一の姿を思い描いた。

二人で永遠の夜を彷徨うのもいいかも知れない…

しかし男が思った以上に抵抗してきたので思わず首の骨を力任せに折ると息絶えてしまったので血が吸えない事と自分と唯一の想像をぶち壊されたことに腹を立てその屍を壁に投げつけると、自分の姿が映っていない鏡の前に立ち、さも見えているかのようにポーズを取ってから水道で手と顔を洗うと身だしなみを整えてからこの力さえあれば唯一を自分のもので出来るだろうとほくそ笑むと恋人を待っている女のもとへと向かった。

拓也と潤はヴラドに自分たちの存在を気付かせる為にわざと派手に獲物を狩り始めていた。