その日、私は東京本社のオフィスに泊まり込んで、ある作業をしていた。
公的評価といわれる鑑定評価業務の大詰めで忙殺されており、1月は正月もなく、下旬にかけて寝る間もないほど作業に追いまくられる。
夜中に一人、作業をしていると聞こえてくるのは、端末キーボードを打つ音と、プリントアウトの音くらい。長丁場の業務でありタイトなスケジュールと、他の〆切業務を考えると、もう何日か泊まらないとできないなあと思いながら作業を黙々と続けていた。
朝を迎え、今夜も泊まってしまったなあと朝飯でも買いに行こうとしたとき、
となりの部署の社員が出社してきた。
「神戸で大きな地震があって大変なようだ」とのこと。
兵庫県出身の私は即座に反応した。
とりあえず、実家のある姫路に電話をした。・・・不通・・・
親父の携帯へ電話する。
電話の向こうから「すごい揺れたけど姫路は大丈夫や。でも神戸とは全く連絡がとれん。」
そうだ。神戸には弟がいる。。。
話を聞けば聞くほど、とんでもないことが起きているように思えた。
すぐにでも駆けつけたい思いが強く自分を襲う。
しかし、この業務は部署の責任者である方の直轄業務で、私しかできないものである。
当の責任者は出張中で数日後に戻ってくる。
焦りと苛立ちの中で、不安にさいなまれながら、業務を続けざるを得なかった。
結局1月から月末まで休みなく働きどうしで、ようやく帰るめどが出来た月末の日曜日に私は高熱を出し、帰省できなかった。
翌日からはまた大きなプロジェクトが始まり、年度末にかけ休みない状況。。。
結局、帰省できたのはその年のゴールデンウィークだった。
家族全員は無事、知り合いにも大きな被害を受けたものはなかったものの、
当時の苦労話を聞き、神戸や西宮のまちの震災の跡を歩きながら、涙が止まらなかった。
こんな大変な事態にもかかわらず、自分を育ててくれたこの地域に、自分は何もできなかった。
”地”に対する思いが強いからだろうか。私は自分自身を責めた。
そして、その曲がった怒りのやり場は、あの業務にも向けられた。
そのあと数年間、この業務をするときは変なトラウマがあった。
何とも言えない息苦しい感覚が常にあった。
・・・・・
今、私は独立開業し、不動産鑑定業を営んでいる。
その中には、あの業務も含まれている。
大阪支店に転勤後に、さまざまな経緯があり、この業務を再スタートさせ、この業務が退職のきっかけの一つにもなった。
あの年から15年間、毎年9月~1月下旬までこの作業をするとある思いがわき出てくる。
特に佳境に入る年末年始にはその思いが強くなる。
それは、協力できなかった申し訳ない思い、自分を育ててくれた”地”への愛着の気持ちだと思う。
なんとなく息苦しい感覚。
しかし独立した今年は少し違う。
それは
今こそ”地”に対して恩返ししたいという熱い気持ちなのではないだろうか。
1月17日、いつまでも忘れない、とともに、新たなスタートにしたい。
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Dr.お不動さん(1つめの事業)
自称:地球のお医者さん
不動産鑑定士・大学非常勤講師
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深澤俊男不動産鑑定士事務所
~物言わぬ不動産と不動産マーケットの現状、そして将来を語り伝える専門家~
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Mr.お不動さん(2つ目の事業)
不動産業界一筋で18年余り(兵庫→東京→大阪、カバー範囲は全国)
宅地建物取引主任者・不動産コンサルティング技能登録・専門学校講師
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