今日は本郷で教授会。


会議の後、研究室でしばし期限が近い論文執筆中。そこに自宅から電話。また電車が止まるかも知れないとの家内からの一報を聴き、あわてて自宅に向かう帰路、計画停電の影響でか、急遽便数削減した小田急線の超満員の急行の車中。


病院の帰りだろうか、お母さんの背中の赤ちゃんが泣いていた。節電した超満員列車の異常さか、まったく、泣きやまない。気の毒だなと、思っていた矢先。


その時、向こうから男性の澄んだ明朗な声。


「赤ちゃんのお母さん、よろしかったらこちらにどうぞ。」


車内の皆が、驚いてそちらを振りむく。


お母さん、これから遠距離だったのか、疲弊した顔に安堵した表情。お辞儀しながら、空けてくれた男性の席に歩み寄る。見事に赤ちゃんの泣き声もぴたっとやんだ。車内に安堵の空気が広がる。


ほんのささやかな出来事であったが、ふと目頭が熱くなった。


こうした大変な時期こそ、人は人に優しくなれるのかなと、ふと思った。