その解を、真正面から解き起こそうとした人物がいました。それが、シルビオ・ゲゼルです。かつて、メイナード・ケインズはその主著『雇用・利子および貨幣の一般理論(The General Theoryof Employment,Interest and Monay)』の第6編「一般理論の示唆する若干の覚書」のなかでシルビオ・ゲゼル(Silvio Gesell)について触れ、「将来の人々はマルクスの精神よりもゲゼルの精神から多くを学ぶであろうと私は信ずる」と述べ高く評価しています。
シルビオ・ゲゼルは彼の論文「自然的経済秩序(Die Natürliche Wirtschaftsordnung,Rudolf Zitzmann Verlag; Lauf bei Nürnberg; 9. Auflage August 1949;)」の第3部「お金の実態(Das Geld, wie es ist)」の「序論」にてこう述べています。
(注2)J. MaynardKeynes”The General Theoryof Employment,Interest and Monay”(1971) ケインズはゲゼルが利子率と資本の限界効率を明確に区別し実物資本の成長率に限界を画するのは利子率であると喝破している点を高く評価すると同時に彼の「スタンプ付貨幣」を「健全なものである」と評価している。一方、彼が流動性選好の考え方を見落としてる点を彼の理論の限界であると批判している。(邦訳本「一般理論」356p参照)